アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-116 チェンジしたいけどそうじゃない

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…アルケディア・オンライン内において、スキルは成長する。
 そして、大抵の場合はそのままパワーアップしたスキルを使っていくことになるだろう。

 ならば、その前の状態…成長前の時のスキルは使えないのだろうか。
 いや、答えは否。成長していても、実は成長前の状態を使えたりする。

 例えば魔法使いでもの凄く強力な呪文が使えるようになっても、MPの消費量の多さや相手の少なさなどで見合わないときに、あえて弱い方を選択することがある。
 メラ〇-マが使えるけど、相手が弱いならメ〇で十分…そんな感じだろう。


 それと同様に、実は黒き女神もその前の状態のスキルが使えていたりする。
 まぁ、基本スペックの高さや慣れから女神になってばかりだったし、今はスキルそのものがダメージを受けているのならば下位の状態のスキルも使えないのではと思われそうだが、どうやら別物枠として利用することが出来るらしい。

「まさか、影の沼地を生みだして全員を飲み込むなんて…結構強力なスキルじゃない?」
「いや、普通はここまでないはずだべ」
「くノ一スキルは、女子限定で手に入ったりするけど、検証されたデータを見るとひとりしか飲み込めない緊急避難先だけどねぇ」
「やっぱり、ここまで効果が上昇するのは性別を合わせただけではないようにおもえるのだーぜ」

「「「「急に、女体化したのは驚いたけど(全員経験済みだが)」」」」
「くノ一スキルだけを使おうと思ったら、女体化のほうで効果が上がることが分かったから、仕方がなく使ったんだよ!!」

 全員の感想に対して、僕は答える。

 そう、黒き女神が使えない現状、逃げ込む手段としてサブ職業「くノ一」を使用した。
 ただし、それだけではやや不足していたものがあったので、女神化…ではなく、かつて使用していた「女体化」スキルも併用したのである。

 女神のほうが全体の能力が向上するが、実は女体化スキルも隠れた効果があったりする。
 それが、適正な職業の場合スキル使用時の効果が増幅されるもの。


 どうやらくノ一のサブ職業もその対象に含まれるようで、使用するスキルの効果が増幅され、本来は2人ぐらいしか飲み込めないという影沼という技を10人以上の見込めるようになっていた。

…流石にサブ職業にセットした上に女体化の状態になったとはいえ、くノ一の格好にはなっていないけれどね。
 まだジョー・キ・オーの装備品を付けたままで、ロコモーティブモードから人型へ変形させた状態である。フィットしやすい素材で作られた内側の部分は、肉体の感じが変わっても装着に問題は無いようだ。


「とりあえず、影沼…くノ一の職業で使用できたこのスキルで影の中に潜っていれば、空から降り注ぐ光線が終わるまで無事でいられそうかな」
「ハル、どのぐらい持つの?」
「MPを消費し続けるけど…ステータスも戻っているから、結構大量のMPになって、30分ぐらいは維持できるかな」
「ふむ、影沼のスキルは結構MP消費量が多いらしいが…メインがMPが豊富な系にある職業のままにしておけば、そのあたりの解決は容易のようだべ」

 入手してしまった当初はいらないと思っていたが、こういう時に使えるとは思わなかった。
 案外、サブ職業やスキル、称号などの中で不要と思われていそうなものの中には思わぬ使い道が見つかりそうなものが隠れまくっているのかもしれないと思うのであった…








…ハルたちが影沼に潜み始めたその頃。
 アルケディア・オンラインの運営では今、事態に関しての情報が集められていた。

 すでにどのようなことが起きたのか、ある程度のものはそろっている。
 また、出されていた妨害電波の類も撤去可能になっており、光線の発信源も特定していた。

「…だが、その大本に関してのものは…これは…」

 あとは今回の騒動の根源を丁寧にすりつぶせばいい。
 そう思われていたが、詳細な情報を入手し、運営の者たちは渋い顔を見せる。

 いつもならば、問答無用で叩き潰すことが出来るのだが…どうやらそうはいかないらしい。
 
 事態の早期解決を行いたいのに、世の中どこでもうまくいかないのは同じようであった…


「だが、放置はできまい。すぐにやらなければ意味がないだろう」
「万全の艦隊を揃え…といっても、まだ修理が多いか」
「いっそ、外部委託をしなければならないか?あの龍のところから…」
 
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