アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-114 改良は改善できるから改良と呼ぶのデス

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―――以前、まったく解析のできない正体不明の何かに遭遇したことがあった。
 あの時は、戦闘中なのもあってそちらにエネルギーも割いていたが、それでもできないことがあったというのは非常に悔やまれるところである。

 いつ、いかなる時も正確にかつ最適な情報を届けなければ、使用人としての面子もつぶれてしまうので…


【…見直して、解析室の精度をアップさせて正解でしたネ。かなり遠距離にいるようですが、それでも情報がしっかりとれてマス】
『この光線を砲撃しまくっている相手に関して、何かわかったのでしょうカ?』
【ええ、ばっちりとデス】

 衛星軌道上を、半次元潜航状態で航行し、降り注ぐ光線を回避する中、グレイ号に備え付けられている解析室内にて、ロロは相手に関しての情報を分析しまくっていた。

 

 現在、通信妨害によって主であるハルの状態が分からないが、デスペナルティなどのログが無いところを見るに、まだ生存はある模様。
 それとセットでミントも一緒にいるので、同じく生き延びている可能性は高い。

【そもそも、この光線はマッチョンの放っていた技ですが…ええ、似ていましたがエネルギーの比率分析結果から見て別物ですネ。本人に限りなく近いですが、波長のずれからして、コピー品…クローン、もしくは模した何かが撃っているようデス】
『マッチョン本人が操られて乱発しているってことじゃないのカ』
【そうなりマス】

 突然の攻撃で慌てたが、冷静に分析してみたところマッチョンの手によるものではない。
 離れた距離が欲望戦隊の現在いるはずの位置に近いが、彼らが何か狂って攻撃を仕掛けるように命じたわけでもないだろう。
 まぁ、あの変態戦隊は腐っても変態たる矜持ゆえか弱者をいたぶるようなことは無いだろうし…嫌な信頼の仕方にはなるが、悪人へ身を堕とすまではギリギリいかないはずである。
 一時期、悪の幹部の五人衆みたいな感じをしていたが、アレはアレでイベントのノリにのってしまった悪ふざけの延長線上の様なものなはずである。



【ただ、分析結果からすると、マッチョンの何かしらのものが使われているのは不味いですネ。黒き女神の力に匹敵するほどの、勇者オーク…悪用は最悪の事態を招くでしょウ】

 一時期女神と争った際には、かろうじて勝利をもぎったこともある実績があるゆえに、その力が何者かに悪用されるというのは不味いだろう。
 あの欲望戦隊の手に置いてもダメではないかという意見もありそうだが、マッチョン自身の倫理観がまともゆえに、良い感じのストッパーになるのでおくしかないという現実もある。


【それに、これは本気の襲撃とかではないですネ。撃つ場所がランダムすぎますし、恐らくは試し打ちに近いものをしているように思えマス】

 本気でやろうと思えば、乱発している光線を一束にまとめて、星そのものを破壊することも可能なはずである。
 だがしかし、そうはせずに適当なところを撃ちまくっているようで、どことなく試し打ちのような気配が見える。
 良い実験材料として扱われているのか、試射することで今後の使用をどうするのか検討しているのか、相手の目的まではわからない。

 ただ、だんだん撃たれている本数が減ってきていることから、乱発するだけのエネルギーも少なくなってきており、そのうち収まる可能性もある。

【人の多い場所を狙っているようですし…人として発するエネルギーを感知して、攻撃をしているのでしょうカ】
『人としてのエネルギーか…ならば、本艦が先ほどから狙われていないのも納得スル。エンジンから生み出されるエネルギーは莫大なはずだが、それはあくまでも機械的に生み出されたもので…』
【ええ、恐らくは人そのものの活力や感情、生命エネルギーなどの何かを察知し、多い場所を狙っているのでしょウ】

 こうなってくると、相手の目的も少しだけ見えてくる。
 エネルギー量が多い相手を捕食するとかの類ではなく、どちらかといえば数を減らすために動いているのだろう。

 そういった意味では、最もヤバそうなのは欲望戦隊だろうが…あの一味の変態力が強すぎて、流石にかかわりたくないという感情を抱かれている可能性も否定できない。

【とにもかくにも、ある程度分散したのもあってエネルギー量が減った分、相手の攻撃も比例して減少しているようデス。このペースならばそのうちなくなるでしょウ】

 自身の主たちがそう簡単にやられるわけがないだろうし、生き延びることはできるはずである。
 万が一に備えて、ハルたちの装備に他に細工も施しているので、彼らだけが生き残る手段も取れないことはない。

『それでも、攻撃してきている輩がいるのは嫌だな…こちらから、反撃しても良いだろうカ。特殊兵装の中に、超ロングレンジ攻撃が可能な火炎…』
【いえ、それはよしたほうが良いでしょウ。相手のロングレンジ攻撃に対抗して攻撃をやませる前に沈黙させることは可能ですが、今回の攻撃を見る限り、他に強力なマッチョンを模した攻撃手段がこちらに向けられる可能性はありますからネ】

 どのようにして入手したのか、最悪の可能性だって想像できる。
 そこから得られる情報もこの攻撃意外にあるだろうし、女神と対等に戦えるような相手の攻撃をまともに受ける可能性があるのは避けたいところ。
 いくら頑丈にグレイ号が作られているとはいえ、流石に限度はある。

【ひとまず、今は主様たちの位置情報を探しましょウ。そのうち収まる攻撃だと思われますが、安全な船の中に入れたいですからネ…】

 いくら通信妨害が行われているとはいえ、既にどのような仕掛けで行われているのか分析が完了しており、潜り抜ける手段は用意できた。
 あとは連絡を取れるように、それ用の装置を作成するだけであった…




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