アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-109 人の趣味趣向はそれぞれで

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 いよいよ開催された、アルケディア・オンライン内でのプレイヤーによるコスプレイベント。
 現実では絶対に着こなすことが出来ないようなものだとしても、装備品として着用してどうにか着こなせるということもあってか、中々お目にかかれないようなものになる人も多い。

「というか、元々が艦隊…なんかそういうのに近いコスプレがメインのイベントだというのに、明らかにそれ以外のものになっているのが多いなぁ…」
「重装備の鎧武者、ミニサイズ化、変身系のスキルを活かしてのリアル感触獣人コスプレ等、ゲーム内だからこそ活かせるものを存分にこだわって利用しているのかも」

 現実世界だと、絶対に重量や質量保存の法則やらで縛られているところがあるだろうが、ここはオンラインの世界。
 現実に近い物理演算もされているらしいが、現実には無い効果を活かしてコスプレに生かしている人も多く存在しており、パッと見ただけでもなかなかお目にかかることが出来ないものばかりだ。

 まぁ、スーパーロボット系コスプレしているけどね。
 ジョー・キ・オー、これアニメ設定クラスでは流石に厳しいから、縮小化に伴いある程度軽量化したとはいえ、明らかに100kg以上の装甲を持つ…現実世界だったら確実に身動きが取れないどころか下手すりゃ死亡している可能性がある。

 そんなものにしていたとしても、ここなら万が一のことが起きようが、せいぜいデスペナルティを受ける程度で済む。
 一応、アップデートに伴い追加された冥界に行く可能性もあるらしいし、NPCだったら僕らのように済まないって聞くけど、この会場でそんなことが起きることはないはずである。


 なのでここはそんなやばそうなことを一切考えずに、全力でイベントを楽しむべきか。

「お、あっちで同じアニメのコスプレの人たちで集まっているところがあるみたい。あっちへ行こうよ」
「コスプレが多いと、自然とそれと同種のものが集まる感じか…」

 そろっていたほうが見栄えが良いのもあるだろう。
 だがしかし、同じものを参考にしてた場合、同じネタで被ってしまうこともある。

 実際に、この会場内で見渡すと多種多様な人がいるにも関わらず、似たような姿のコスプレになっているのもいるだろう。
 僕のジョー・キ・オーのコスプレもやっている人がおり、いくつかの機体の種類があるとはいえ、初号機同士だったり、3号4号その他超巨大最終…

「…いやいやいや!?流石にサイズが人型サイズにまで縮小されているけど、実際にやる人いたの!?超巨大なのに複雑な構造物が滅茶苦茶あるのに!?」
「サイズ縮小化でもちょっとした大型車サイズ…しかも、3千以上の細かな武装ディテールも手を抜かず…凄まじいね」

 僕らはまだまだ初心者レベルだが、どうやらガチのコスプレイヤーなんて言われるような人もログインしているらしく、現実ではできないことがある環境だからこそ、余すことなく才能を存分に生かしているのか…恐るべし、本職の方々。

 楽しイベントのはずだが、早々にこの業界の底知れなさを実感させられるのであった…


「ん?あっちは600人以上のヒロイン集合…と言っても、流石にオンライン内でもそこまで集まるのはないか」
「代わりに、脳みそとかが浮かんでいそうなポットに大量に小さな人形を詰め込んだ人がいるんだけど」
「ああ、あれって確か45話の『最後の手段、全員封印で平和を!!』に出てくる、ジョー・キ・オー味方メカのポデッスマン…食い破られてものの数分でダメになったやつだっけ」

…しかも、結局全員封印できなかったうえに、その技術を奪われて主人公が狙われる展開になるんだっけか。いるよね、味方になったつもりが役に立つどころか敵に塩を送ってしまうキャラ。












 コスプレ会場にて、ハルたちが楽しんでいたその頃。
 会場周辺に結界を張りつつ、身を隠して様子を見ている黒き女神がいた。

 欲望戦隊は遥か彼方の星にいるが、いつ向かってきてもおかしくはない。
 先日の正体不明の何かが、ここにやってくる可能性も否定できない。

 そう言った理由もあり、安全のために女神の力を使用しているのだが…結界を張ること自体はさほど手間でもなく、維持管理も容易いため暇になってくる。
 
 ランプによる自立稼働の女神だが…ステータスの大半を受け取りつつ、元々の女神のスキルそのものな彼女は今、暇を持て余すだけの感情を持っていた。

 そのため、警戒を怠らないようにしつつも、コスプレ会場内部の様子を暇つぶしとして目を通す中…ある存在を見つけた。

(…アレは、信者になるのかな?)

 まだ位置的には、ハルたちからは離れた場所。
 そのため姿は見えていないだろうが、その容姿を見て黒き女神はそう思った。

 コスプレ会場ゆえに、誰がどのような姿をするのかは自由だろう。
 そして中には、このオンラインの中で有名なプレイヤーを真似して、その姿を模すものがいてもおかしくはない。
 だからこそ、自然に発生してもさほど驚くことはないのだが…本人ハルからしてみれば、かなり複雑な気持ちになるのは間違いない。

 ただ、黒き女神としては自信を信仰するような形にも受け取れるので、複雑な気持ちになるようなことは…


(…いや、流石にバニーとか…何故、再現した?)

…しかも、それ以外にも水着やメイドの姿も確認できる。
 何故、このコスプレ会場にて、黒き女神の姿でわざわざそれをやるのか。

 色々とツッコミを入れたいが、とりあえずそれは本人のほうに任せようと思い、見なかったことにしておくのであった…
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