アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-105 利点を活かせば思いっきり

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…海賊狩りで、資金も素材も十分に集まった。
 最後のほうで何か妙なこともあったが、何事もなかったのだから気にしないほうが良いのだろう。

「なのでコスプレ用装備を作っているけど…このぴっちりスーツは何?」
【身体測定兼内部装飾用の特殊装備「フィットデス」デス】

 黒いぴっちりスーツだが、どうやらサイズ合わせに使用するらしい。
 ついでに今回のコスプレはメカ方面にしたわけなのだが…内部に人肌が見えないようにしたほうが良いようで、隠す役目も持つようだ。

「見た目がかなりぴっちぴちだけど…わぁ、かなり伸びるな」
【伸縮性に優れた合金ゴムですからネ。見た目以上に防御力も高いのデス】

 グレイ号の艦内工場で作成した代物で、ゴッデスメタルやドラメタルのような特殊な金属を使用せず、独自の配合で生み出された合金を練りこんでおり、万が一これ一枚になっても防御力を確保できるようになっているらしい。

 なお、ミーちゃんもこれを着て測定するようだが、本日は予定が合わずログインをしていない。

 なので今は、このグレイ号の艦内工場に僕とロロしかいない状態だったりする。

…ぴっちりスーツを着た人とメイドの光景って、客観的に見たらどうなのだろうか。
 うん、誰もいないから気にしないでおこう。これもコスプレのための、必要なことである。

【うーん、主様の身体データを見ると、いくつかの装備品を追加すればコスプレが可能そうですが、他に人がいれば、合体変形とかもやれそうですネ】
「流石にそこまでやらないよ。自己完結できる程度のもので良いよ」

 合体ロボ風なものもロマンはあるが、そこまでやるにはもっと調整と人手が必要になるようだし、やる意味もない。
 いや、マリーたちテイムモンスターで人数は確保できるが…人数が多いせいで、合体に向いていないというべきか。

【それでもまぁ、色々とできそうデス。ふむ、なるべく動きに支障がない様に、可動域を確保して…主様、そちらの台座の上に立ってくだサイ】

 言われるがままに、設置されていた台に乗ると、何やら立体映像の様なものが出てきた。

「これは?」
【特殊な光生成型プリンターデス。3Dプリンターに近いものですが、実際にどういう風に再現されるのか、より視覚でわかりやすくセットできるようにしたものデス】

 ある程度のサイズは割り出せるので、すぐに作成に取り掛かることもできる。
 だが、それでも調整のための作業が必要になるのだが…こうやって立体映像の形でかぶせることで、生み出す前に調整が楽にできるようにしているのだとか。

【えっと、主様のリクエストが蒸気王や魔王特急などのコスプレのようですが…事前に、資料からどのようなものなのか、オリジナルのほうの立体映像を用意しておきまシタ】
「わぁ、これがオリジナルの…え、これアニメで3D化していないのに再現度凄いな」
【資料集、情報共有で得られていますからネ。私の同僚の他の使用人の主に、何やらものすごいマニアがいるようでして、情報自体はかなり楽に手に入っているのデス。それで、このオリジナルデータを利用して、コスプレ用に調整すれば…】

 コスプレ元のものに関しての立体映像がかぶせられたかと思えば、僕の体に合わせてサイズや形が調整されていく。
 生成してからの調整ではなく、こうやって事前にわかるところから調整することで、手間を減らしているようだが…このオリジナルのほうを作り出す作業のほうが、より手間がかかっているような気がしなくもない。

【なお、立体データとしてモデリングしていますので、現実のほうでプリンター出力は可能デス。それに、今の主様自身もモデリングできましたので、同様に出すことも可能ですネ】
「やらなくていいけど…そうか、そういうのもできるのか」

 まぁ、そんなプリンターなんて、現実の方では持っていないけどね。
 そこそこいい値段がするし、プリントアウトするほど欲しいとは思わないからなぁ…情熱があれば全力でやったのだろけれども、そこまでのものはない。


 なんにても、いくつかのデータを元に調整を重ね、ある程度の候補を作成してみる。
 実際に着用したらどうなるのかと再現映像も作り上げられて、自分でも確認を行う。

「うーむ…どれも良いけど、やっぱりこの蒸気王かな?変形機構は?」
【用意できますヨ。ロコモーティブモード、バトルヒューマンモード、どちらにも対応可能で、追加で蒸気砲もセット可能デス】
「なら、それにしようかな」

 多少の変形機構はロマンである。
 現実でやったら相当大変だろうが、ここはオンラインの世界であり、ある程度の自由が利くのは良いだろう。
 自分でやりたいものを決めて、ある程度のリクエストも入れてさらに調整を進めていく。

「しかし、こうやって作る段階で結構ワクワクしてきたような…参加を決めてよかったかも」

 最初こそ、平和そうなイベントだから参加してみようかなと思ったが、実際にやってみると相当楽しめそうな気がする。
 様々な期待を抱きつつ、僕らは準備を進めていくのであった…




【…あ、そうだ主様。念のために、スーツを着た状態で黒き女神の各形態にもなっていただけないでしょうカ】
「え?何で?女神の状態で、コスプレする気はないんだけど」
【不測の事態に備えてデス。主様がなる気がなくとも、どこぞやの変態が強制女神化ビームみたいなものを取得して、浴びせられたら…装備品が体の変化位に耐え切れずに全裸パージになる恐れがありますからネ】
「全裸パージって最悪なんだが!?というか、流石にそんなことが起きるとは…あ、いや、用意しておくに越したことはないか…」

 ありえないと叫びたいが、特定しないがあの執念深い人たちはやりかねない。
 女神なことはマッチョンやアティ以外にはバレていないが、どこかでやらかされでもしたら目も当てられない事態になるだろう。

 そんなありえないなんてことが無い最悪の事態も想定しておくのであった…

「しかし、女神になってこれを着ると…おおぅ、かなりきついかも…」
【…なんか、人前に出せませんネ】
「この姿で出るなんてこと、絶対に無いぞ」

…念のため、抑止力として人も呼んでおくか。
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