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志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-96 殲滅戦

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 干渉を仕掛けてくる、何者かの存在。
 今は空間を遅延させることで出てくるのを抑えているが、このままでは時間の問題だろう。

 ただ、そちらの方に意識を向けていれば敵陣のど真ん中にいるため、集中砲撃を喰らってしまう恐れがある。

「ちょっとやそっとじゃやられないけど、流石に数が数だし…一気に殲滅を行う!!グレイ号、後部砲塔は遅延弾を撃ちだしつつ、他の武装を周囲へ向けろ!!」
『了解デス!!』

 一部火力は正体不明の相手を抑えさせ、今のうちに周辺を片付ける。
 敵の強力な兵器の類は既に轟沈させており、勢いに乗ってか他のプレイヤーたちも攻めてきており、こちらへの攻撃を集中させにくくなる。


「さてと、時間稼ぎのようなものだが…ロロ、正体不明の干渉してきた相手の解析は可能か?」
【難しいですネ。艦の解析装置をフル稼働させていますが、干渉物そのものの存在定義がおかしなものになっており…むぅ、この手の技術は専門外の類ですネ】

 普通の使用人がこんな魔改造戦艦を作れるのはおかしいが、そんな彼女でも分析は厳しいらしい。
 一応、一部技術は機械神のところから提供してもらったのもあるようだが、そちらの技術を使っても足りない部分があるようだ。

「専門外か…まぁ、分析できない相手だとしても、こんなところに干渉をかけようとしている時点でろくでもない可能性のほうが大きいしな…」

 遅延弾のおかげで時間を稼げているが、考えてみたらそこでおかしい。
 元々かなりおかしなロロお手製の砲弾だというのに、効果がこの程度しかないのだ。

…いやまぁ、彼女のこれまでやらかしてきた、信頼したくないけど信頼できてしまうような実績の積み重ねによるものだが、「時間稼ぎにしかならない」レベルな時点で、相手が相当厄介なのが理解できる。
 これが並大抵の相手であれば、とっくの昔に干渉できないほどどこか遠くに行っていたり消し飛ばされていたりするはずなのに、存在したままだし撃たれ続けても残っているのが、正体不明の相手の厄介さを示しているだろう。

 厄介度でいえば、下手すると欲望戦隊クラスか…んー、別ベクトルの方だけど、間違ってもないか。



 とにもかくにも、グレイ号の砲撃で周囲が片付きつつある中、正体不明の相手という問題が遅延されても確実に迫ってきている。
 どういう存在なのかが不明なのに、明らかに厄介であるということだけがはっきりしてしまうのは物凄く嫌な話だ。


「ロロ、正体不明の相手…敵か味方かもわからないけど、確実にこの場から追い返す方法だけは思いつかないか?」
【現在の状態で、相手の分析を放棄してそのエネルギーを回せば…グレイ号船底に備え付けている『空間歪曲砲』でどうにか引き離せるかとは思われマス】
「何その変な名前のもの」
【空間そのものをゆがめ、物理的なものを破壊可能にするものデス。エネルギー・物理的砲弾では破壊が厳しい頑強な相手でも効果的なものになりマス】

 結構えげつないものが出てきた。
 なお、グレイ号に装備されている武装としてはエネルギー消費量が馬鹿みたいに大きいらしく、この魔改造による莫大なエネルギー生成が出来なければ、一発撃つだけでエネルギー切れになりかねず、物凄く扱いづらいものだったらしい。

 まぁ、出力が上がったことでそこまで使用する機会も失われて、日の目を見ることはほぼ無いだろうと思われていたようだが…そういうものこそ、こんなこともあろうかとのセリフで出すべきものだろう。

「わかった。ならその空間歪曲砲を正体不明の相手へ向けて撃ってくれ。破壊…とまでいかなくても、遅延弾が効力を発揮するなら、もしかすると干渉できないような空間にまでずらすことが出来るかもしれないからね」
【承知いたしまシタ。グレイ号、35番回路を接続、63番エネルギー管からエネルギーを回して使用可能な状態へ移行】
『艦艇部、特殊兵装口開きマス。空間歪曲砲、船外にセット』

 がこんっと音が鳴り響き、艦艇部の様子をモニターが移せば、下の方に大きな大砲の様なものが出現していた。
 
『対象へオート照準セット。歪曲のためのエネルギーを流し、充填開始。1分で砲撃可能になりマス』
「あ、よくある『あと十秒』とか短いレベルじゃないんだ」
『流石にエネルギー消費量が大きいですからネ。生みだせるエネルギー量は多いですが、砲撃可能なレベルまで溜めるのには少々時間がかかりマス』

 これで魔改造前のグレイ号だったら切り札レベルになりそうなものなのだが、この歪曲砲よりもさらにヤバいものがまだいくつかあるらしい。
 そんなものを搭載しても意味がない相手がいるとは思いたくはないが…うん、気にしたらフラグあ立ちそうなので、考えるのをやめよう。

 照準は自動でセットされ、エネルギーが充填されていつでも砲撃可能になる。
 

『遅延弾砲撃停止、空間歪曲座標設定。破壊可能レベル最大!!』
『エネルギー充填完了、射出!!』

 ドウォォウ!!っと物凄い音を立てて、砲撃が放たれる。
 撃ちだすエネルギー自体が相当空間をゆがめているのか、一直線に飛ぶのではなく物凄く不規則な軌道を描きつつも、着弾し…目に見てわかるほど大きく空間そのものをゆがめた。

グニュギギギギギギィィィ、バギィィィィィィィ!!

 むりやり何か固いものをへし折ったかのような音が鳴り響き、すぐに空間が元に戻った。
 けれども、そこには確かに先ほどまで存在していたはずの正体不明の何かが、いなくなっていたのであった…



「…撃ちだす光景はすごかったけど、なんか見た目的にちょっと地味かも」
【ですが、威力は相当なものデス。…あ、でもやはり、破壊できていないですネ。緩衝領域をいったんは慣れさせるとに成功したようですが…】

…これでもまだ、その場しのぎにすぎない可能性があるの?
 というか、これを喰らっても存在があるって…本当に何が、いるの?
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