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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-71 欲望の果てに

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―――欲望戦隊最終奥義。
 それを直接目にすることは、滅多に無い。
 
 何故ならば彼らの強さはほどほどなものであり、ピンチに陥るようなこともない。
 仮にあったとしても、マッチョンやアティがいる時であれば奥義を使うまでもなく、彼らの強さによって反撃できるからだ。
 
 そのため、彼らの奥義を目にするような人は中々おらず、そもそもの話、行動を共にするようなもの好きはそんなにいない。

 けれども、必要であればいつでも使えるようにしており…今こそ、その奥義を使用する状況だろう。


 自分たちよりも強さが上であり、頼れる味方のマッチョンやアティがいない。
 変態力では敗北しており、それでも引き下がれないというこの状況だからこそ、奥義を使用するにふさわしい場なのだろう。


 そして、その奥義は代償として…

「「「「我らが変態力を捧げ、顕現せよ!!『グランドトランスフォーム』!!」」」」

 欲望戦隊たちがそう叫び、手を取り合って飛翔する。
 赤黄青緑の戦隊コスチュームがまがまがしい色合いとなって発光し、その姿形が光に包まれて溶けていく。
 
 それと同時に混ざり合ったまがまがしい色合いのものは、一つの巨大な人型の発光物へと変化した。


【欲望究極奥義、『大いなる変態の巨人』こと『大変人』変身完了!!】

 がぱっと口元らしい部分が開き、そう口上を述べる変態集合体…大変人。
 もう少しいいネーミングセンスがなかったのかと言いたいが、まがまがしい色合いで光り輝く巨人と化した集合体に、良い名前が浮かぶわけがない。



「…何かと思えば、合体系スキルか。同族性のものを持った者同士でなけれ成功しないと言われるような代物…これはこれで、面白いね」


 大変人の姿を見て、そうつぶやくミゾルテ。
 彼女の巨大な鎧の巨人の姿と同等の姿となっており、まるで巨人同士の戦いの場のようになっている。

 まぁ、ここは大要塞島の内部なので、この大きさの者同士が激突すれば悲惨なことになるのだが…彼らにはもう、関係ないことだ。

【ガンガンガンと勢いよく、このまま攻めようぞ!!大変人、出動!!】
「ダサいけどね」

ゴッスゥゥゥゥゥゥン!!













…巨人と巨人の戦いのせいで、要塞等が内部崩壊をし始めていたその頃。
 ある監獄の内部を、黒き女神は突き進んでいた。

 本来であれば、脱獄者を出さないように内部から閉じ込めていく様になっている監獄。
 内部へ突き進むものに関しては妨害するようなものが無いかと思ったのだが、そうでもないらしい。

 外部からの手助けをするものがいることも考えて、対策としてある程度の用意はされているらしい。
 ぬるぬるした床に、マグマの雨が降る場所、爆弾の付いた槍に凍てつく寒い廊下…妨害どころか、生身の人間が通ることを考えていない作りになっている。


 まぁ、そんなこと、女神の前に意味をなさないが…本当にここ、人間が収容される場所だよね?明らかに人外対策なものもあるっぽいんだけど。



「高圧レーザーに聖水、銀の銃弾嵐…これ、脱獄できる方が凄いな」

 行きでもこれだから、帰りも同字ようなものがあることを考えるとかなり気が重い。
 黒き女神の力で楽々と進めていても、明らかに容赦ない攻めがやってくるのは辛いものがあるだろう。
 本当に、女神の力が無かったらやばいよなぁ…




 そんなことを思いつつも、先へ進むこと十数分ほど。
 まだまだ欲望戦隊は粘っているようで、情報によると巨人同士の対決のような形になりつつあるようだ。
 どこの進撃の…いや、この場合はどこかの大戦の世界というべきだろうか。

「欲望戦隊が倒れる前に終えないとな」

 女神の力をもってしても、かなり大きい監獄ゆえに進むのに時間がかかる。
 時間をかけ過ぎれば、欲望戦隊がダウンしてしまうだろう。

 その前にまずは、ここにいるという専門家の部屋を目指すべきなのだが…


【ジェジェジェッゲェ!!】
【ギョリギギョリィ!!】

「…本当にここ、現実の世界のほうのはずなんだよね?ゲームの中で見るような、モンスターもでるのかよ」

 どこかの妖精女王がやってきた例もあったが、こうも現実にいないような怪物がいる光景というのは恐ろしいものだろう。
 むしろここ、監獄というよりも脱獄してこようとしたものを問答無用で抹殺するために作られた場所なのではかと疑いたくもなる。

「何にせよ、通らせてもらうよ」

 時間が惜しいのでね。
 ここで脱獄囚相手に戦っている業務中なんだろうけれども、敵対するのであればこちらとしても対応しないといけなくなる。

 現実の世界のはずなのに、ゲームの世界のような怪物が出てきたのは少し驚かされたが、それだけのことと割り切って問答無用で突き進むのであった…




「…おや、床に遺品らしいものが…凄いな、フォークで作ってあるボウガンに、ガラスの破片だけで作ったナイフとか…」

…流石に監獄だから十分な資材が無いのだろうけれども、それでもありったけのものを利用して抵抗した形跡もあるようだ。
 それだけ脱獄したい執念があったのか…
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