アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-66 要塞で彗星ではない

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…かつて、とある鏡面ののじゃが流れ着き、中三病と意気投合して改造した無人島。
 当時の設備はバージョンアップを経てだいぶ旧型になっていたため、あちこち大改造が施されており、既に性能は比較にならないほど向上している。

 例えるならば、火縄銃から波〇砲…いや、流石にそれは比較対象がおかしいか。

「ついでに言うのならば、海底からの侵入を考慮して切断し、浮上させることも可能…宇宙空間も航行できるように特大のエンジンを搭載し、大口径の主砲のみならず、無限とまでいかないがかなりの量の弾薬や自動錬成システムによる連続ミサイル一斉射撃も可能…まぁ、これだけの火力をもってしても、解決につながらないのがかなりの痛手だがな」

「「いやいやいや、相当ヤバい場所でしょ、ここ」」
「うーむ、前にこちらのものが思い出したように言ってたことがあったが、実物がその時よりもはるかに魔改造されているとはのぅ…」
「でも、火力だけでは解決しない相手にはこれですら不十分ということか」



 海に浮かぶ大要塞島ハルカンディア。
 その要塞内部のメインルーム内にして、一通りの島に関しての説明を終え、そう口にした中三病に対して、欲望戦隊は思い思いの感想を述べた。



 黒き女神の試練として、友人の救済…中三病を救うために、島へ訪れた欲望戦隊。
 どういった事情で救済を求めているのかなどの事情も確認するついでに、この島のスペックも教えてもらったのだが、彼らの想定をはるかに超える代物だった。

 しかしながら、黒き女神が力では救いにならない言っていたのもあり、要塞島のぶっ飛び過ぎた魔改造ぶりを見ても解決策につながらないことは容易に想像できる。

「…確かに、プレイヤーをひとり、徹底的に叩きのめすだけならばオーバーキルにもほどがあるばしょじゃな。しかし、相手の話を聞く限り、強すぎる武力はむしろ喜ばせる結果になりかねない危険性もあるか…」
「違う方向の変態性を持つようだが、どれほどの変態力を持つのか…話を聞くだけでも恐ろしい、いや、おぞましいと言えるな」
「何、その造語」

 その造語が作られるほどのインパクトがあったのだろうか。
 同じようで全く違う方向性の変態と言えるような相手に対して、同族嫌悪かそれとも変態としての何かで嫌悪感を感じるのか、欲望戦隊たちですらも相手にしたくないような存在のようである。

 それでも、女神に頼まれた以上、やるしかないだろう。

「事情も確認して、この島で迎え撃つことにするようだが…監獄すら脱獄して見せるような相手がいるのであれば、単純な防衛では厳しいだろう」
「そうなのか?」
「ああ、多少は難しいだろうが、抜け出せるということは何かしらの穴を、そいつは見つけるのが非常にうまいということだ。法の穴だろうが物理的な穴だろうが、自身が逃れることが出来る方法をいともたやすく見つけ出すのだろう」
「そう考えると、攻めに転じた際もその能力を活かして、守りの穴をかいくぐる可能性は容易に想像できるはずだ」

 どれほどの守りを固めたとしても、使用するのは人であるからこそ、人故に作られてしまう抜け道がある。
 そこを利用されれば、どんな堅牢な場所だろうとも意味をなさなくなるのだ。


「ゆえに、相手の情報を聞き取り…それに合わせた防衛網を引くのが効果的だと思う」
「だがしかし、一般人の感性では厳しいだろう…」
「「そこに、我々がいなければの話だがな!!」」

 毒を以て毒を制す。
 方向性が違えども、変態が相手ならば変態をぶつける。
 その効果は今、実証されようとしているのであった…



「…というか、そこは自ら変態と認めて良いものなのだろうか」
「欲望戦隊、欲望五人衆と名乗ったりするのだが…」
「大抵、変態戦隊のくくりで呼ばれるからな…」

…あきらめの境地に達することが出来るほどの自覚があるのならば、多少は改善に努めようと思わないのだろうか。
 残念ながら、この世には不治の病があるように、不治の変態もあるのだ…
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