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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-54 トレイン・ドレイン・どれがいいん

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…ニガ団子の調合というのは、野外でやったほうが良い。
 うかつに室内でやろうものならば、気が付けばニガ団子の臭いが充満してHPやその他諸々ががりがりと削られるからだ。
 そんなやばいもの、既に団子ではなく毒物とか化学兵器の類ではないかと言いたくなるが、何故かそれでも団子の定義から外れず、食べ物扱いのまま。

 扱いに慎重なだけの食材として見られているのかは不明だが、実は錬金術師の職に就いている人よりも、食材関係に深く関わって料理人などの職業を得た人のほうが、より評価の高い団子が出来上がるなんて情報もあったりする。

 まぁ、漫画とかにあるような激マズ飯製造機的な人でも、物凄く高い評価になる事例もあるそうなので、うまい下手とかそういうのは関係なく、天性の才能が重要なのかもしれないという可能性もあるらしいが…それはさておき、実験を繰り返す中で団子が尽きたので、製造しなければならないだろう。

「というわけで、しっかり周囲の安全を確保したうえで、調理しないとね」
「団子を作るはずなのに、準備が団子を作るものじゃないと思うんだけど」
【最初はまだ、ギリギリ団子調理風景だったシャゲ】

 毒物の扱いにもなりかねないということで、毒の専門家と言って良いようなマリーを出しつつ、一緒にニガ団子の製造に取り掛かる。
 レシピはまだまだあるので、色々と作って補充しておくべきだろう。

 物資の不足がいつどのようなピンチを招くかというのは、先日の実験体とやらの事件で理解しているからね…用意しておくだけでも十分利用できる。
 

「しかし、今回のレシピだと絵面が…魔女鍋だな」

 ニガ団子の種類は固形にとどまらず、ゲル状、スライム状、液状などもあるらしく、今回はその手のレシピを用意してやっているわけだが…どう見ても、団子ができる雰囲気ではない。
 というか、その形状の時点で団子ではないというツッコミがありそうだが、何故か団子の名称が付くのだから仕方がない。

 そう思いつつも、用意した鍋に材料をいれてぐつぐつと煮込み、独特の色合いの煙と臭いが漂ってきた…その時だった。


―――ブロロロロロロォォォォン!!
「「ん?」」

 何やらこのフィールドでは聞きなれないような、エンジン音らしい音が聞こえてきた。

 音の方向に目を向ければ、そこには自動車の様なものが…流石に完全に自動車というわけでぇなあく、オープンカーのようになっているものが爆走しており、運転手の姿を視認する。


「あれは…中三病さん?」

 結構久しぶりに見たような気がするのだが、どうしてここにいるのだろうか。
 中三病さんがいるのであれば、恐竜女帝もセットでついてきそうなものなのだが、それらしい姿も気配も見当たら無い。

 やってきているのは中三病さんだけのようだが…様子がおかしい。


「って、アレ気絶しているぞ!?思いっきり、グロッキーな状態で後方に倒れ掛かっているしハンドルも握ってないでこっちに暴走うしてきているって!!」
「気絶状態で車運転って、最悪の暴走車になっているんだけど!!」

 ブロロロロォンっと、アクセルからは足を放していないようで、全速力で暴走車と化して突っ込んでくる中三病さん。
 何があったのかは知らないが、このまま放置するの不味いだろう。


 他のプレイヤーに出くわして跳ね飛ばしたりしたら、いくらアルケディア・オンラインというゲームの世界でも絵面が最悪すぎる。


「とりあえず止めないと!!えっと、ああいうのを止めるなら…コユキ、雪兵召喚で雪兵士たちを大量に出して防いでほしい!!ネアも糸でタイヤを固定、地面に縫い付けるように!!リン、車両から中三病さんを脱出させろ!!」
【了解ユッキー!!】
【一発で、縫い留めるピキィィィ!!】
【任せるガウガウガァァウ!!】

 各自に指示を出し、素早く中三病さんを車内から脱出させ、車を無理やり止める。
 万が一の大事故にもつながりかねない状況ではあったが、的確に連携が取れたので最悪の事態を防ぐことはできただろう。

 だがしかし、何故中三病さんがこんな暴走車両に乗っていたのか…話を聞かなければわからないのであった…


「…また、恐竜女帝から逃げたとか?」
「そういう話は、最近なかったけどね。それに、ただ逃げるだけならそこまでおとなしくしていないと思うし…」

…いつものことかと思ったけど、それとは状況が違うのだろうか?
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