アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-51 普通が一番素晴らしい

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…無事にアルケディア・オンラインの世界に船は戻った。
 流石にかけた負担が大きすぎたのか、妖精郷に何とか到着した時にはシステムが全部ダウンしたため、専用に作られた特別なドックへ入れて検査した結果…

【…現実時間で、およそ1週間、魔導船使用できないですネ。緊急事態であったからこそかなりの無茶をしでかしたのは分かるのですが…】

 出てきた結果を見て、ロロが物凄くしかめっ面になって内容を確認し、そうつぶやく。
 どういう状態で書かれているのかは不明だが、彼女にそんな顔をさせるぐらい酷い状態になっているのは間違いなさそうだ。

「それだけ、船を使えないと」
【そうなりますネ。通常空間とは違う場所を無理やり突き進んだことで、船の機器類だけではない概念個所にまでダメージを負っていたようデス。素材不足の中でもなんとか戻れるだけの修理をしたばかりですが、それでも細かい部分までは完全ではなかったようで…わかりやすく言えば、開腹手術をした病人がフルマラソンを全力疾走した上にプロレスやらボクシングやらを行った状態というべきでしょうカ】
「相当な無茶だったんだなぁ…」

 穏やかに帰還するだけならば、戻っても特に問題もなく、緩やかに物資の補充及び細かい部分の修理を行い、万全な状態に戻せるはずだった。
 だがしかし、あの謎の筒状船…実験体と名付けられていた正体不明の相手から逃げきるために、相当な負荷をかけすぎたようである。

 外観上の損傷個所はないが、内部のほうで見ればデータ的に相当なダメージがあるらしい。
 つぎはぎとか溶接とかそういう手段どころか、丸々交換が必要になる箇所が多いようだ。

【ついでに言えば、データに残されております実験体とやらの逃走での改良点も含め、あちこち変えなければいけないようですね…うーん、これ、私の技術だけでは無理ですし外部に頼ることになりそうデス】
「外部?」
【ここまで改造したのは使用人としての技術がありますが、ここからだと専門職の方でないと厳しいってことデス。いくら一介の使用人であっても、専門家や職人には及びませんからネ】
「いや、普通の使用人がそもそも帆船レベルからこの宇宙戦艦レベルまで改造することが出来ないと思うんだけど…」
「前々から思っていたけど、このオンラインの使用人ってどのあたりを基準にできないことってあるのだろうか…」

 そこ、確かに気になるところである。
 妖精郷をSFチックな光景にしたりと相当なことをやっているのに、それでもまだ専門家とかに負けるって…その手の人たちが効いたらどう思うのだろうか。
 いや、でもそう言われると専門職系の人ならば可能そうだなと思えるような…可能だよね?






 とにもかくにも、当分グレイ号が使用不可な状況には変わらないようで、改めて確認したところ使用不可状態へと変更されていた。
 現実時間で1週間程度の療養生活になる。
 船だから療養というよりも修理生活というべきなのだろうか。

「…まぁ、別に良いか。そこまで急いで宇宙に出たり遠くに向かう用事もないし…いざとなればミーちゃんの魔導船というか列車を借りることになるけど、別に良いよね?」
「問題ないよ。グレイ号に乗船させてもらっていたけど、私も船を所有しているからね」

 移動に関して不便はなさそうではある。
 しばらくの間はそこまで移動するようなこともないし、そこまで支障になるようなこともあるまい。
 むしろ、使えないからこそ改めて自分の足であちこち見て回るのも良いだろう。


「基本的な初期フィールドがあったこの星…宇宙に旅立つ前からプレイヤーたちが確実に一度は過ごしているここの探索を行うのもいいかもね」

 アップデートを積み重ねているからこそ、どこか新しくなっている可能性がある。
 一度作られた場所が放置されることはなく、このオンライン内では常に新しくなっているところが多いだろう。


…一応、今の予定ではのじゃロリのいるあの大樹の村に行く予定もないが…それ以外の場所に向かうのも悪くはない。
 たまにはこうやって、初心に戻って最初の場所をゆっくりと探索するのも悪くはないかと、思うのであった…


【しかし、ちょっと危ない状態でしたネ】
「というと?」
【もう少しで、エンジンが爆発寸前でしたよ、コレ。グレイ号自身の判断で強制停止したようですが、あとちょっと遅れていたら…実験体に喰われる前にあの空間の迷路で爆発四散デシタ】

…本当に、やばい状況だったな、アレ。
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