アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.0-20 上に立つものがみるもの

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…どこかの国で相当ヤバい事案が発生していたその頃。
 本日は平日のために出勤し、仕事に励んでいた春だったが仕事に身が入りにくかった。

 いつもならば公私をしっかり分けて、まじめに仕事に取り組むことが出来ている。
 しっかりとこなすことで余裕を持ち、残業することなく定時で帰宅し、オンラインを楽しむだけ楽しめるようにしている日々だったが、この日は少々違っていた。

 なぜだろうか…いや、疑問に思うまでもない。
 その理由は単純明快にして、それでいてどうしてこうなったのかと頭を抱えたくなるものだ。


ズンダバズンダバ♪
ドンバンドンバン♪
「イーヨッホィホイホイ!!」
「「「ホイホイノッサッササ!!」」」

「…黒魔術祈禱部が、凄いことになっているな」
「あれはあれで、なんかやばいことしている集団にしか見えないぞ」
「でも、仕事が凄い速さで終わっているのだが…どうなっているのだ、あれは:

 そう、別にカイニスのことで今、悩まされているわけではない。
 あっちはあっちで眷属だからか会社まで付いて来ようとしていたが、流石に連れてくるのは厳しいと思い、どうにかなだめてミーちゃんと留守番をどうにかしてもらっている。
 そんなことよりも、所属する企業内に創設されている部の一つ…黒魔術祈祷部のやばすぎるありように、社内の全員がドン引きしているだけであった。

 もともとあれは、太郎丸という社員がこの職場に勤めていた際に発足し、謎の儀式を始めていたことがきっかけで生まれたもの。
 今は太郎丸は異国の地へ身を移しているため、この場で行う必要もなくなり、自然に消滅すると思われていたのだが…何をどうしてか色々と発展、分裂、抗争、調和、再形成と摩訶不思議な道をたどり、正式に社内の部活の一つとして何度も身を変えて定着しているのである。

 明らかなカルト系っぽく見えるが、そう指定されないのが不思議なところ。
 しかも、何故か所属している者たちはその儀式のためになのか、渡されてくる仕事を手早く済ませることが出来ており、手抜きではなくきちんとこなされているため、誰もツッコミを入れたいのに入れにくい状態になっているのである。


…なお、白昼堂々こんなことをしていたらアウトだとは思うのだが、流石に普段はやっていない。
 ひっそりと、会社に作られている地下室内で秘密の儀式を行う程度で、こうやって表立ってやることはないはずだった。

 それなのに、なぜか今日に限って外に出ている活動となっており、混沌とした儀式と完ぺきな仕事という相反するような相容れぬような、矛盾しているような光景が広がっているのである。


「なんで急に、活性化したんだあの人たち…確か、この間数名ほど結婚が決まったとかで、寿退職だったり新婚旅行のための休職手続きなどをしていたはずだったが…」
「いや、数名ほどが独立なんとか国家にいる太郎丸を追っかけて、そこで何かしでかしたとか」
「どういう理由があっても、それでなぜあんなことになるのかが疑問になるよなぁ…」
「「「うんうん」」」

 会社の仕事としては迅速かつ正確にできているのだから、普通ならば文句は言いづらい状態。
 けれども、あの不気味な儀式的行動のせいで、むしろツッコミをしたくなるのである。

「こういう時に限って、社長やら課長やらはどうした?」
「それぞれ、本日は出張のようだ。何でも、上の方で妙な案件が出てきたようで、それの対応に追われているそうだ」
「妙な案件?」
「細かい部分までは知らないが…どうも提携しているオンライン運営会社のほうで、緊急会議が開かれたとか」

 その言葉に、なんとなく心当たりがあった。
 というか、そのオンライン運営会社のほうの会議内容…多分、眷属に関することの可能性がある。

 運営側が想定していない内容に関しての、対策会議や予防策に関しての会議が開かれても、おかしくはないだろう…

「あとは、ニュースだと突然とんでもない変態が爆誕したとかいうものがあったな」
「ああ、ネットニュースでだろ?街中で堂々と…どんなニュースだよと思ったが、すぐに映像が消去されていたしなぁ」

…それよりも余計にヤバそうなものが出ている気がする。何、その変態爆誕ニュース。全国報道されていいものなのだろうか。
 気になるところだが、残念ながらそちらのニュースの詳細は内容がアウトだったのかすぐに削除されまくったようで消えたようだ。

 まぁ、変態はあの欲望変態戦隊だけで十分か…むしろ、その変態を超える変態が爆誕することはないだろうし、そこまでのレベルではないだろう。
 アレを超えた変態が爆誕することも、そうそうあるまい。


 そんな風に高をくくりながらも、謎の儀式を続ける人たちを横目に仕事のほうに意識を向けなおす。
 こっちのほうが、それよりも余計にやばい様な気がするのだが…うん、気にしたら負けだ。まじめに仕事をしている中での、変な余興に過ぎないだけだ。

 ツッコミを放棄して流した方が、精神衛生上気が楽になるのだと長い経験の中でしっかり身に付いたと思うのであった…




…だがしかし、それではまだ甘かったと、春が思い知るのはこの後のことだった。

ポヨン♪
「ん?社内のほうのメールに…あれ、見たことないアドレスなのに、迷惑メールのほうに入ってないな…?」


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