402 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.3-168 愚者であっても野生の勘は働くもの
しおりを挟む
「んぅ?おかしいな、眷属どもの姿が見えぬような?」
下水道の中に作られた、とある秘密の空間。
そこを拠点にしているオデールは本日の夕食の時間になって、いつもならばこの時間に集まってくる眷属たちが、本日は姿を見かけないことに疑問を抱いた。
手駒に利用できるだけ利用して、使い捨てなところもあるが、それでも今の計画を考慮するならば数を減らす気はない。
多少は面倒を見てしっかりと数を増やしていき、万全の状態にしていきたいのだ。
まぁ、たまには招集がかかりにくいときもあるだろうと思っていた…その時だった。
【ヂュヂュヂュゥーーーーー!!】
「お、ようやく出てきて…様子がおかしいな」
奥の方からドタバタと走ってきた、ここで眷属にしているネズミの一匹。
細かい場所に潜り込み、潜入捜査をさせることに関してうってつけの役割を持つので、情報は力ということで集められるだけ集めたほうが良いと考え、その数を増やしていたはずだが、やっていた数はまばらなほどしかいない。
それどころかふてぶてしいほど健康的だったはずの眷属たちだったのに、よく見ればところどころに血痕などの跡が確認できる。
「どうした、お前たち…っ!?」
何事かと思い、問いかけようとしたところで、オデールは気が付いた。
何やら後方から大きな影が見えており、その影に遅れた眷属たちが次々に捕食されていることに。
「な、なんだあれは…」
背後から迫ってきてたのは、巨大な影。
下水道の薄暗さの中でも近づいてくれば否応でもその姿を確認することが出来る。
その姿はそう、わかりやすく言えばワニのようなもの…しかし、ワニであってワニにあらず。
巨大な肉体は全身の血管が浮き上がって脈動しており、不気味な赤黒さが薄暗く発光している。
牙自体も巨大で鋭く、あごの大きさも何もかの丸呑みできそうなほど大きなものになっているだろう。
なおかつ、見た目こそは確かに以上に肥大化した化け物のワニと言って良いのだが…四足歩行ではなく、いくつもの足が生えてしっかり立って走っており、余計に化け物じみたものになっているのである。
「こんな化け物が、ここに住んでいるなんて聞いたことがないぞ!?」
自身も吸血鬼というある意味化け物の仲間にあるような類なのだが、方向性が大きく違い過ぎる。
こっちが普通に洋画だとか、そこそこ有名なホラー映画に出演しそうな姿をしているが、あの化け物ワニの姿はB級映画にでも出てきそうかつバイオレンスでバイオな感じのやばい方向性に出演良そうな見た目なのだ。
【ワニワニグワァァァァァァァ!!】
「げぇっ!?」
そこで相手のほうもオデールの姿に気が付いたのか、はたまたは新たな獲物として見定めたのか、咆哮を上げて突進してきた。
すさまじい勢いで、踏み抜くだけで地面が砕け散り、爆音と砂埃を立てて迫ってくる。
「うおぉぉぉぉぉ!!この由緒正しい吸血伯爵が負けてたまるかぁぁぁ!!」
【ワニワニグワァァァァア!!】
「だが、三十六計逃げるに如かず!!ここはさらばだ!!」
相手の迫力ににビビり、すぐさまこの場から逃げ出そうとするオデール。
いくら吸血鬼であっても、相手が得体の知れなさすぎる化け物ワニでは相手が悪すぎると、流石立ち向かおうとしない判断だけはできる奴だったようで、すぐに動き出す。
全速力で疾走し、人間ではない吸血鬼だからこそ、驚異的な速度で逃走し始めたのだが…
【ワニワニグワァァァァ!!】
「相手の足速ぇぇぇぇぇぇぇ!?」
陸上にもかかわらず、たくさんの足と立てるだけの力があるせいなのか、化け物ワニのほうも同じく驚異的な速度を出して追跡してくる。
化け物が化け物に追いかけられる光景は、中々見れるものではないだろう。
「ひぃぃぃぃ!!なんだこの化け物はぁぁぁぁ!!」
いったいどうしてこうなったのか、状況を理解することはできないオデール。
だが、そんな彼の頭でもわかるのは、相手は吸血鬼だろうが何だろうが、何もかも喰らいつくす気満々の化け物であり、追い付かれたその時が最後であると凄まじい警鐘が頭の中に鳴り響くことだろう。
全速力で、追い付かれないように。
我が身を一番大事にして、生き延びるために。
長い吸血鬼人生の中で、めったに出さないような全力を尽くし、逃亡を図るオデール。
しかし、運命というのは残酷であり…相手のほうが、一枚上手であった。
【ワニワニグアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
ドォォォォォォォン!!
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
足が速いことにいら立ったのか、化け物ワニの口から光線のようなものが吐き出され、直撃する。
幸いなことに、並の人間であればバラバラになっていたであろう衝撃だったが、生半可に頑丈な吸血鬼の体だったがゆえに、押し倒された位である。
でも、倒れたということは逃走するだけの速さを失ったと同じで…立ち上がろうとした彼の目が最後に捕らえたのは、巨大な化け物の口の中身。
「あ…」
―――バグン!!ゴリゴリバギグシャァァァ!!
…この日、一体の吸血鬼が姿を消し、その力は化け物へ取り込まれてしまうのであった。
下水道の中に作られた、とある秘密の空間。
そこを拠点にしているオデールは本日の夕食の時間になって、いつもならばこの時間に集まってくる眷属たちが、本日は姿を見かけないことに疑問を抱いた。
手駒に利用できるだけ利用して、使い捨てなところもあるが、それでも今の計画を考慮するならば数を減らす気はない。
多少は面倒を見てしっかりと数を増やしていき、万全の状態にしていきたいのだ。
まぁ、たまには招集がかかりにくいときもあるだろうと思っていた…その時だった。
【ヂュヂュヂュゥーーーーー!!】
「お、ようやく出てきて…様子がおかしいな」
奥の方からドタバタと走ってきた、ここで眷属にしているネズミの一匹。
細かい場所に潜り込み、潜入捜査をさせることに関してうってつけの役割を持つので、情報は力ということで集められるだけ集めたほうが良いと考え、その数を増やしていたはずだが、やっていた数はまばらなほどしかいない。
それどころかふてぶてしいほど健康的だったはずの眷属たちだったのに、よく見ればところどころに血痕などの跡が確認できる。
「どうした、お前たち…っ!?」
何事かと思い、問いかけようとしたところで、オデールは気が付いた。
何やら後方から大きな影が見えており、その影に遅れた眷属たちが次々に捕食されていることに。
「な、なんだあれは…」
背後から迫ってきてたのは、巨大な影。
下水道の薄暗さの中でも近づいてくれば否応でもその姿を確認することが出来る。
その姿はそう、わかりやすく言えばワニのようなもの…しかし、ワニであってワニにあらず。
巨大な肉体は全身の血管が浮き上がって脈動しており、不気味な赤黒さが薄暗く発光している。
牙自体も巨大で鋭く、あごの大きさも何もかの丸呑みできそうなほど大きなものになっているだろう。
なおかつ、見た目こそは確かに以上に肥大化した化け物のワニと言って良いのだが…四足歩行ではなく、いくつもの足が生えてしっかり立って走っており、余計に化け物じみたものになっているのである。
「こんな化け物が、ここに住んでいるなんて聞いたことがないぞ!?」
自身も吸血鬼というある意味化け物の仲間にあるような類なのだが、方向性が大きく違い過ぎる。
こっちが普通に洋画だとか、そこそこ有名なホラー映画に出演しそうな姿をしているが、あの化け物ワニの姿はB級映画にでも出てきそうかつバイオレンスでバイオな感じのやばい方向性に出演良そうな見た目なのだ。
【ワニワニグワァァァァァァァ!!】
「げぇっ!?」
そこで相手のほうもオデールの姿に気が付いたのか、はたまたは新たな獲物として見定めたのか、咆哮を上げて突進してきた。
すさまじい勢いで、踏み抜くだけで地面が砕け散り、爆音と砂埃を立てて迫ってくる。
「うおぉぉぉぉぉ!!この由緒正しい吸血伯爵が負けてたまるかぁぁぁ!!」
【ワニワニグワァァァァア!!】
「だが、三十六計逃げるに如かず!!ここはさらばだ!!」
相手の迫力ににビビり、すぐさまこの場から逃げ出そうとするオデール。
いくら吸血鬼であっても、相手が得体の知れなさすぎる化け物ワニでは相手が悪すぎると、流石立ち向かおうとしない判断だけはできる奴だったようで、すぐに動き出す。
全速力で疾走し、人間ではない吸血鬼だからこそ、驚異的な速度で逃走し始めたのだが…
【ワニワニグワァァァァ!!】
「相手の足速ぇぇぇぇぇぇぇ!?」
陸上にもかかわらず、たくさんの足と立てるだけの力があるせいなのか、化け物ワニのほうも同じく驚異的な速度を出して追跡してくる。
化け物が化け物に追いかけられる光景は、中々見れるものではないだろう。
「ひぃぃぃぃ!!なんだこの化け物はぁぁぁぁ!!」
いったいどうしてこうなったのか、状況を理解することはできないオデール。
だが、そんな彼の頭でもわかるのは、相手は吸血鬼だろうが何だろうが、何もかも喰らいつくす気満々の化け物であり、追い付かれたその時が最後であると凄まじい警鐘が頭の中に鳴り響くことだろう。
全速力で、追い付かれないように。
我が身を一番大事にして、生き延びるために。
長い吸血鬼人生の中で、めったに出さないような全力を尽くし、逃亡を図るオデール。
しかし、運命というのは残酷であり…相手のほうが、一枚上手であった。
【ワニワニグアアアアアアアアアアアアアアアア!!】
ドォォォォォォォン!!
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
足が速いことにいら立ったのか、化け物ワニの口から光線のようなものが吐き出され、直撃する。
幸いなことに、並の人間であればバラバラになっていたであろう衝撃だったが、生半可に頑丈な吸血鬼の体だったがゆえに、押し倒された位である。
でも、倒れたということは逃走するだけの速さを失ったと同じで…立ち上がろうとした彼の目が最後に捕らえたのは、巨大な化け物の口の中身。
「あ…」
―――バグン!!ゴリゴリバギグシャァァァ!!
…この日、一体の吸血鬼が姿を消し、その力は化け物へ取り込まれてしまうのであった。
11
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる