アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-12 ミステリートレイン in 目的地

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…ミーちゃんとの、勝負一本目プラモバトル。

 一般的なものだと、ガン〇ラだとか美プラだとか言われるような、人型のものを使って戦闘するイメージがあるかもしれない。
 だがしかし、ここにそろえてあったのはそれらばかりではなく…

「というわけで、ミーちゃんに挑むために作ったのは、このアクティオンゾウカブトをモデルにした甲虫プラモを改造した『タンクビートル01』!!甲虫型でありつつ背中に戦車砲や機銃を付けた、ヘビー級の戦車甲虫に勝てるかな?」
「こっちだって、春のやりそうなことを考えて作ったよ!!目には目を歯には歯を!奇想天外な方向で来るならこっちだって、クラーケンをモデルにした魚介類プラモを改造した『スプランクルス』で相手にするよ!!10本の触手で武器を扱う怪魚で戦うよ!!」

 どうやらお互いに、王道の形ではなく邪道と言える方向で作ったようである。
 まぁ、何もこうスーパーロボットのようなものを使うばかりではないが…虫とイカかぁ…。

『あのー、お客様、一ついいでしょうカ』
「「ん?」」

 お互いにこれで戦おうとしている中、ふと、声をかけられた。
 見れば、このプラモバトルの司会用に開発されたというAI『モリリン』だが…何やら困った顔になっている。

『申し訳ございまセン。人型兵器をモデルにしたプラモで想定されてますので、そのような奇怪な形式のプラモですと、少々操縦に難があると思うのですが、よろしいのでしょうカ』
「一応、操縦できなくはないんだよね?」
『ハイ。ぶっ飛んだ改造をされる方もいますので、対応できるようにしてますが…明らかに別の形状のものですと、正しい動作をしない恐れがありマス。それでも、これで対戦なさるのでしょうカ』
「…対戦する。おかしな操縦になるならそれはそれで隙を作らせることができるはず」
「正攻法も良いけど、たまには変わった形式でやってみたいからね」
『かしこまりましタ。それでは、対応プログラムを使用しますので、誤作動にはご注意をお願いいたしマス』


 お互いにプラモを専用のフィールドにセットし、操縦するためのマシンに乗り込む。
 直接プラモに乗り込むのではなく、ゲームセンターとかにあるような筐体を利用して遠隔操作で行うようだが、軽く動かしてみてもまぁまぁ問題はない様子。
 しいていうのであれば、やはり少しだけ予定通りの動作にならない部分もあるが…それも利用すればいいだけの話。

『それでは、両者ともに向かい合って…試合開始!!』






 開始の合図とともに両者攻めるが、どちらも普通のプラモでは中々ない形状。
 このファンタジックアイランドで作られたプラモということもあり、ちょっとやそっとでは壊れないようになっているせいか、試合はそこそこ長引いた。
 クラーケン側の足はうねうね動きまくるが、懐に潜り込まれたときに対処がしづらく、ビートル側は重量を活かした体当たりや攻撃受けて動かずにこらえることができても、重さゆえに少々機動力が殺されていたりと、お互いのメリットデメリットがぶつかり合う状況。

 一進一退の戦いが続き…そして、ようやく決着がついた。

「スプランクルスの、10本同時攻撃で…」
「いまだ!!全力で突撃だ!!」

 最後の攻めで少し焦ったのか、一斉に足が上がりノーガードとなる。
 わずかな間だが、そこに一気に加速して…

ドッガァァァァァン!!
「ああああああああああ!!」
『試合終了!!スプランクルスの破壊を確認、試合続行不可能!!よってこの勝負、タンクビートル01の勝利!!』
「よっしゃぁぁぁあ!!」


 危ないところではあったが、どうにか三本勝負の一本目でミーちゃんに勝利した。
 なお、ここで両者が使ったプラモに関してだが、このまま破壊されて終わり、作られて終わりではなく、申し込めば後日修復されて家に届けてくれるらしい。

 せっかくなのでその手続きを行いつつ、これで三本勝負の一回目の勝敗が付いた。

「さてとミーちゃん、三本勝負だから次勝てば、僕の勝利が確定するよ」
「ふふふ…流石、春。でも、そううまくはいかないよ。二本目の勝負は絶対に私が勝つ!!」

 お互いに笑みを浮かべつつ、ばちばちっと視線のぶつかり合いで火花が生じたような気がした。
 昨日の勝負ほどやばいものはないが、それでも一度勝負をしてついたこの火はお互いに燃え上がり、勝利を確定させるまで真っ赤に輝く。

 市場へ回る前の滅茶苦茶発達した技術によって、普段はできないようなことができるファンタジックアイランドでの勝負。
 こういう未知の技術を使っての勝負は、お互いにものすごく楽しくなってくる。

「ぶつかり合いの勝負は熱くなったから、今度は少しだけクールダウンして…っと、その前にちょっと、お花摘み行ってきていいかな?」
「ん?ああ、別に良いよ」

 お互いに全力で操縦したからこそ熱くなったのもあって、次は少し冷静になれるような穏やかな勝負が良い。
 そう意見は一致したが、いったん休憩を取るのであった。

「…それにしても、作ったのが後で届くのは良いけど、どこに置こうかな?家にある黒き女神のフィギュアの横にでも…絵面、大丈夫かな?」

 作っておいてなんだが、アクティオンゾウカブトとイカが近くに置かれた状態…色合いは合うだろうが、絵面としてはどうなのか。
 まぁ、気にするようなこともであるまい…多分。


「いっそ、合体させてイカビートルタンクとして統一させたほうが良いか…?」

―――――
『ターゲット、確認』
『別行動、数秒前』

『周辺警戒、気配を感じている模様』
『紅き月、探知能力優秀なのは確認済。過去記録では、襲ってきた者たちが全滅している』
『油断しているように見えて、していない状態…』

『細工は完了』
『あとは…かかるのを待つのみ』




『…成功。仕掛けたピコマシン稼働』
『回収、迅速に…生き残るために…』
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