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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.2-139 顕現せざるは人にあらざるもの
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―――ゴウゴウと荒ぶる嵐の中、その甲板上もまた同じように豪雨に襲われている…はずだった。
だが、そんな大荒れの舞台はふさわしくないとでも言っているのか、解放されたランプからすさまじい爆炎が吹き上げ、周囲を炎で包みあげていく。
爆発して大炎上しているかのような爆炎だが、不思議とその炎に熱を感じることはない。
降りかかる雨風のみを焼き尽くしていき、気が付けば空を覆い尽くしていた雲もまとめて炎に飲まれていく。
長いようで短い様な、わからない時間。
けれども確実に炎が吹き上げる時間は終わりを迎え…収束したが、その爆炎の猛威は周囲に映し出されていた。
通常版重力航行で船が浮いているが…その炎を中心にして、周囲一帯が焼き尽くされてしまい、一時的に嵐だった場所は台風の目のように、穏やかな場所に変り果てていた。
そして、その原因となった炎を吹き出しまくったランプは、一緒に炎に飲み込まれていたかと思えば、収束しつつあった炎を纏っていき、人の形を形成していく。
ぼうぼうと燃え続け、全てを飲み込むような黒い色合いの炎は形を作っていき、次第に火が消えて人の体が現れていった。
『-----』
ぼうっと最後に一瞬だけ全身が燃えたかと思えば、次の瞬間にはその場には黒き女神の姿が顕現されていた。
いつもと異なるのは、その場にはハルの姿も一緒にあったこと。
ハルがなっている時とは異なり、黒き女神の表情はどこか感情がない…いや、無表情とは違う、より神としての畏れを持たせるような雰囲気を纏っていた。
「…なんか、思っていた以上にすっごい顕現されたんだけど」
「そりゃ、船の中でやらないでって言われるわな…」
アイテムを使うといってもランプだから、なんとなくこうぼわっと現れるランプの魔人みたいな出現方法をイメージしていたが…超巨大火球を生みだして出てくるとは、これまた派手な演出だろう。
ただ、黒き女神に炎の要素があったかといえば、アリスの黒い焔を使える程度でそこまであったとは思えなかったが…そこは、火の神からもらったアイテムだからこそ起きた現象なのかもしれない。
―――
>『御霊分身ランプ』の使用により、スキルが一時的に分離いたしました。
>【黒き女神(黒焔体)】の顕現が確認されました。
>自立稼働を確認いたしました。
―――
『…稼働。自己思考良好、顕現理由…確認完了』
ログのほうに女神の出現の情報が出てきたところで、口を開いた黒き女神。
どうやら先ほどまでハルの中にあったスキルだったがゆえに、どういうことをしたいのかということが分かっているらしい。
『思案。終了、これより実行いたします』
神の名を持つが故か、人からの望みを聞くよりも、理解しているせいなのかすぐに黒き女神は動き出す。
蓄えられていた神の力を使用し、両手を掲げたかと思えば…
『実行。海王惑星の海全て、一時的な蒸発をさせるため…恒星を精製します』
さらっととんでもない発言をしたかと思った次の瞬間、ドワォウッ!!っと轟音を立て、女神の両手からまっすぐに光が伸びて点に突き刺さる。
上は台風の目のごとく、雲一つない空になっていたのだが、見えていた星々すら貫通するような勢いで光は上昇し、ある程度の高さで止まる。
そこからどうなるのかと思いきや…
カァァァッ!!
「「ま、眩しっ!?」」
閃光のように強烈な光が発生した。
しばし目を閉じて、落ち着いたところで…改めて空を見れば、驚くべき光景が広がっていた。
ジュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「す、すさまじい勢いで海が蒸発して消えていくんだけど!!」
「というか空、空、空!!でっかい太陽がいくつも出来上がっているんだけどぉ!!」
まさかまさかの太陽生成。しかも、一つではなく複数の太陽が周囲を照らしているようだ。
いや、出現時に巨大な火球を伴っていたのでやれないことはないだろうとは思ったが、流石に規模がでかすぎる。
【外部スピーカーで主様に報告デス!!海王惑星の周囲にいくつもの恒星が生成されたようデス!!しかも、ロッシュ限界を超えている上に現在軌道が不規則な海王惑星に合わせて公転を開始していマス!!】
幻とかではなく、本物の太陽を生みだし、複数もの莫大な熱量によって惑星全体の海を蒸発させる方法を選んだらしい。
蒸発させる手段としては手っ取り早いが…それでも、ここまでのすさまじいものには驚かされてしまう。
「嘘だろ、黒き女神…プレイヤーの手から離れたら、こんな無茶苦茶ができるのかよ…」
「人間の型枠に収まった状態じゃないから、思いっきり神としての力を行使したのだろうか」
『---疑問受諾。回答…いえ、それは違います』
と、僕らがあっけにとられている中、出てきた疑問に対して黒き女神はそう答えた。
「違うって、どういうこと?明らかに、僕が使った時よりもすさまじいほどの力を使っているんだけど」
『訂正。これは、本来持っている神としての力ですが、そうでもありません。火の神の力がランプに僅かにありましたので、それを増幅させて行いました。私は一人では、力のない神…ですが、何かがあれば、変わります』
そう言いながら、上げていた両手をおろし、僕のほうに黒き女神が近寄ってきた、
普段はあの視点にいるはずだが、客観的になるとなんとなく神としての尊厳のようなものを感じ取ってしまう。
『私はスキル、黒き女神。所有者の有する力であり、所有者そのもの…使用される際に、貴方はどこかで制限をかけているに過ぎないのですが…それでも、わずかな力を、大きなものに変えることが可能な事は、理解できたでしょう』
近寄り、穏やかな口調で語る黒き女神。
ふと気が付けば、いつの間にか足先から再び炎に戻り始め、小さくなって…元のランプへ戻ろうとしていた。
『力、一気に使ったので顕現限界になりました。流石に太陽を複数個同時出現は消費が激しかったようですが…それでも、こうやって表に出られたのは良い経験になりました』
ふふふと笑うかのように、穏やかな笑顔となり、炎として消えていく黒き女神。
『さぁ、これで後はルカドンを探すことができるでしょう…私はまたスキルとなり、貴方の中へ戻ります』
―――でも、忘れないでください。私は貴方でもあり、貴方は私であることを。
最後に小さな声でそう告げると、ぼうっと小さく燃えて、ランプへ戻った。
どうやら今の太陽をいくつもつくる行為で、蓄えていた分を一気に消費してしまったようだ。
なんにせよ、女神が消えてもまだ太陽はあるようで、その間海王惑星の海は干上がった状態。
天変地異が起きるほどだった大嵐も、この神の力の前にはまとめて吹き飛ばされたようで、かなり明るいから滅茶苦茶周囲が見やすい状態。
黒き女神が作り出してくれたこの機会を逃すまいと、僕らはすぐにルカドンの触覚を探し始めるのであった…
「…というか、海が蒸発しているのになぜだろうか。全然暑くないんだけど」
「ここまで太陽があると、重力とかも影響しあいそうなものに、全然変わらないのって怖いな」
【個人的に言わせてもらうなら、滅茶苦茶物理法則をぶち破っているのが恐ろしいですネ】
…結果としては邪魔な海がなくなったので捜索しやすいけど、恐ろしいな黒き女神。
あれ、でも自動で動くって話だったけど…なんか、のじゃロリとかみたいに感じるような部分もあったような?なんだろう、この妙な予感。
だが、そんな大荒れの舞台はふさわしくないとでも言っているのか、解放されたランプからすさまじい爆炎が吹き上げ、周囲を炎で包みあげていく。
爆発して大炎上しているかのような爆炎だが、不思議とその炎に熱を感じることはない。
降りかかる雨風のみを焼き尽くしていき、気が付けば空を覆い尽くしていた雲もまとめて炎に飲まれていく。
長いようで短い様な、わからない時間。
けれども確実に炎が吹き上げる時間は終わりを迎え…収束したが、その爆炎の猛威は周囲に映し出されていた。
通常版重力航行で船が浮いているが…その炎を中心にして、周囲一帯が焼き尽くされてしまい、一時的に嵐だった場所は台風の目のように、穏やかな場所に変り果てていた。
そして、その原因となった炎を吹き出しまくったランプは、一緒に炎に飲み込まれていたかと思えば、収束しつつあった炎を纏っていき、人の形を形成していく。
ぼうぼうと燃え続け、全てを飲み込むような黒い色合いの炎は形を作っていき、次第に火が消えて人の体が現れていった。
『-----』
ぼうっと最後に一瞬だけ全身が燃えたかと思えば、次の瞬間にはその場には黒き女神の姿が顕現されていた。
いつもと異なるのは、その場にはハルの姿も一緒にあったこと。
ハルがなっている時とは異なり、黒き女神の表情はどこか感情がない…いや、無表情とは違う、より神としての畏れを持たせるような雰囲気を纏っていた。
「…なんか、思っていた以上にすっごい顕現されたんだけど」
「そりゃ、船の中でやらないでって言われるわな…」
アイテムを使うといってもランプだから、なんとなくこうぼわっと現れるランプの魔人みたいな出現方法をイメージしていたが…超巨大火球を生みだして出てくるとは、これまた派手な演出だろう。
ただ、黒き女神に炎の要素があったかといえば、アリスの黒い焔を使える程度でそこまであったとは思えなかったが…そこは、火の神からもらったアイテムだからこそ起きた現象なのかもしれない。
―――
>『御霊分身ランプ』の使用により、スキルが一時的に分離いたしました。
>【黒き女神(黒焔体)】の顕現が確認されました。
>自立稼働を確認いたしました。
―――
『…稼働。自己思考良好、顕現理由…確認完了』
ログのほうに女神の出現の情報が出てきたところで、口を開いた黒き女神。
どうやら先ほどまでハルの中にあったスキルだったがゆえに、どういうことをしたいのかということが分かっているらしい。
『思案。終了、これより実行いたします』
神の名を持つが故か、人からの望みを聞くよりも、理解しているせいなのかすぐに黒き女神は動き出す。
蓄えられていた神の力を使用し、両手を掲げたかと思えば…
『実行。海王惑星の海全て、一時的な蒸発をさせるため…恒星を精製します』
さらっととんでもない発言をしたかと思った次の瞬間、ドワォウッ!!っと轟音を立て、女神の両手からまっすぐに光が伸びて点に突き刺さる。
上は台風の目のごとく、雲一つない空になっていたのだが、見えていた星々すら貫通するような勢いで光は上昇し、ある程度の高さで止まる。
そこからどうなるのかと思いきや…
カァァァッ!!
「「ま、眩しっ!?」」
閃光のように強烈な光が発生した。
しばし目を閉じて、落ち着いたところで…改めて空を見れば、驚くべき光景が広がっていた。
ジュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「す、すさまじい勢いで海が蒸発して消えていくんだけど!!」
「というか空、空、空!!でっかい太陽がいくつも出来上がっているんだけどぉ!!」
まさかまさかの太陽生成。しかも、一つではなく複数の太陽が周囲を照らしているようだ。
いや、出現時に巨大な火球を伴っていたのでやれないことはないだろうとは思ったが、流石に規模がでかすぎる。
【外部スピーカーで主様に報告デス!!海王惑星の周囲にいくつもの恒星が生成されたようデス!!しかも、ロッシュ限界を超えている上に現在軌道が不規則な海王惑星に合わせて公転を開始していマス!!】
幻とかではなく、本物の太陽を生みだし、複数もの莫大な熱量によって惑星全体の海を蒸発させる方法を選んだらしい。
蒸発させる手段としては手っ取り早いが…それでも、ここまでのすさまじいものには驚かされてしまう。
「嘘だろ、黒き女神…プレイヤーの手から離れたら、こんな無茶苦茶ができるのかよ…」
「人間の型枠に収まった状態じゃないから、思いっきり神としての力を行使したのだろうか」
『---疑問受諾。回答…いえ、それは違います』
と、僕らがあっけにとられている中、出てきた疑問に対して黒き女神はそう答えた。
「違うって、どういうこと?明らかに、僕が使った時よりもすさまじいほどの力を使っているんだけど」
『訂正。これは、本来持っている神としての力ですが、そうでもありません。火の神の力がランプに僅かにありましたので、それを増幅させて行いました。私は一人では、力のない神…ですが、何かがあれば、変わります』
そう言いながら、上げていた両手をおろし、僕のほうに黒き女神が近寄ってきた、
普段はあの視点にいるはずだが、客観的になるとなんとなく神としての尊厳のようなものを感じ取ってしまう。
『私はスキル、黒き女神。所有者の有する力であり、所有者そのもの…使用される際に、貴方はどこかで制限をかけているに過ぎないのですが…それでも、わずかな力を、大きなものに変えることが可能な事は、理解できたでしょう』
近寄り、穏やかな口調で語る黒き女神。
ふと気が付けば、いつの間にか足先から再び炎に戻り始め、小さくなって…元のランプへ戻ろうとしていた。
『力、一気に使ったので顕現限界になりました。流石に太陽を複数個同時出現は消費が激しかったようですが…それでも、こうやって表に出られたのは良い経験になりました』
ふふふと笑うかのように、穏やかな笑顔となり、炎として消えていく黒き女神。
『さぁ、これで後はルカドンを探すことができるでしょう…私はまたスキルとなり、貴方の中へ戻ります』
―――でも、忘れないでください。私は貴方でもあり、貴方は私であることを。
最後に小さな声でそう告げると、ぼうっと小さく燃えて、ランプへ戻った。
どうやら今の太陽をいくつもつくる行為で、蓄えていた分を一気に消費してしまったようだ。
なんにせよ、女神が消えてもまだ太陽はあるようで、その間海王惑星の海は干上がった状態。
天変地異が起きるほどだった大嵐も、この神の力の前にはまとめて吹き飛ばされたようで、かなり明るいから滅茶苦茶周囲が見やすい状態。
黒き女神が作り出してくれたこの機会を逃すまいと、僕らはすぐにルカドンの触覚を探し始めるのであった…
「…というか、海が蒸発しているのになぜだろうか。全然暑くないんだけど」
「ここまで太陽があると、重力とかも影響しあいそうなものに、全然変わらないのって怖いな」
【個人的に言わせてもらうなら、滅茶苦茶物理法則をぶち破っているのが恐ろしいですネ】
…結果としては邪魔な海がなくなったので捜索しやすいけど、恐ろしいな黒き女神。
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