アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-135 深夜に眠るものたちの

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―――真夜中、人々がぐっすり眠る中、ロロは起動していた。
 何者かが家に近づいていることを感知し、最初は警戒をしていたが…ある程度の距離にまで来たところで、感じ取れた生命反応から何者なのか理解して警戒を解く。

 そして扉が開き、入ってきた人物を見て間違っていなかったと確認することができた。

【おかえりなさいませ、ミント様。しかし…お早いお帰りですネ?もう少し時間がかかるものだと伺ってましたが、解決されたのでしょうカ】
「ああ、その通りだよ。それでも、こんな遅い時間帯の帰りになったけどね…」

 時間帯としては丑三つ時ギリギリのところで、かなり遅い時間の帰宅となる。
 とはいえ、帰ってきたのであればそのまま寝床へ向かうのかと思ったが、少し小腹がすいているというので、夜食を作ってあげることにした。

【そこそこもたれても良いということでしたので、インスタントラーメンをちょっと調理して、お好み焼きにしまシタ。野菜多めデス】
「ラーメンそのままにしないの?」
【こちら、最近主様が気に入っていたので、ミント様のお口にも合うかと思いまシタ】

 とりあえず作ってくれたし、不味いものでもないので、おとなしくミントはいただくことにした。

 もぐもぐと食べる中、ふとミントはつぶやいた。

「そういえば…私が行っている間、春は何をしていたのかな?ログインしているのは当たり前だけど、何かやることあったのかな」
【えっと…海行ってましたネ】
「海?」

 かくかくしかじかとロロから説明を受け、何をどうしてそうなったのかという経緯を確認する。
 その場に自分がいなかったのは残念だったが、それよりも一つ気になる情報があった。

「…ルカドン?海王惑星の名前になっているものの名前がそれなの?」
【そうらしいと、主様のご友人である中三病さんド・苦労人がおっしゃられていましたネ。流石にもう深夜なので眠っていらっしゃるでしょうが、別れた後にテイムを目指して動いているはずデス。それがどうかしましたカ?】
「うーん…いや、気のせいなら良いんだけど、どこかで私、その名前聞いたような気がするんだよね。ゲーム内の惑星の名前の元になったものだっていうけど…なんだったかな?牧場産のものを売買しているときに、お客さんから聞いたんだっけ?」

 春たちが訪れていた海王惑星。
 その惑星の元で、中三病がテイムを狙っている存在のルカドンというものに関して、その名前を聞きミントは何かが引っ掛かった。

「何だったかな?リゾート地とかたくさんの海があるのは聞いたけど…あ、そっか。友人から聞いた話に出ていたかな」
【どなたでしょうカ?】
「常に一人で、各惑星の激レアモンスターを狙って狩ろうとしている人で…確か、職業が伝説のマタギとかになっている人が、話していたよ。狙っている獲物で、大地の竜バルルンギや星のクラゲのクラゲントゥス、獄炎の大ミミズのワームッシュだとかなんとかいう中に…海滅のルカドンって確か言ってたなぁ」

 お客さんとの会話を覚えておくと、何かと役立つことが多い、
 NPCからは特殊なクエストが発生したり、プレイヤーからは有益な情報が得られたりするので何かと耳にしてはちょっと覚えておいたりするのだが、その知識の中でルカドンの名前を聞いたことがあるのを思い出したのである。

「海滅のルカドン…別名が、触覚水龍だったはず」
【どういうことですか、ソレ?】
「なんでも、ルカドンって伝えられている内容だと描かれている絵は、海からずっと水龍のような姿があるらしいんだけど、実はそれって体の一部に過ぎないものらしい。その本体は海の中…海王惑星そのものだという話なんだよ。まぁ、その人の聞いたのは、NPCが伝えているらしい各惑星の伝説のモンスターのものだけど、ほとんどが眉唾物の真偽性が疑わしいものばかりらしいけれども…ごくまれに本物が混ざっているんだとか」

 なお、そのマタギの人曰く、ある程度大きすぎる獲物は自身の狩れる範囲にはないので、狙うことはないと明言しているらしい。
 あくまでもまだギリギリ狩れそうなサイズだけを狙うらしく、星そのものぐらいのサイズだと想定できそうなものは避けるようだ。

「本当かどうかはわからないけど、もしもルカドンが本当に惑星なら…テイムできたところで、どうするんだろうか」

 惑星そのもののモンスターであれば、その巨体の時点で相当強力なのは間違いない。
 中三病の目的が姉から逃れるためということであれば、かなりの大幅な戦力アップは確実に見込めるだろう。

「だけど…そのルカドンって、話を聞くと一度テイムされているけど、テイムした人がやらかして滅亡させたんだっけ?」
【大体はそのようにお聞きしていマス】
「真偽は不明だけど、もしも本物だった時…そんなやばいことをやらかした人の記憶がある同一の個体だったら…テイム、おとなしくされるのかな?」
【…】

 疑問が浮かんだが、そもそもの話として中三病がルカドンを呼び出せるかどうかが分からない。
 そのあたりの謎は、明日ログインしたところで聞いてみたらいいかという結論になり、考えを端っこの方へ片づける。

 なんとなく嫌な予感も抱いたが…流石に色々と調べた人が、そこまでやらかすことはないだろうと思い、気にしないことにしたのであった…

「ふぅ、ごちそうさま。さて、寝るかな…そういえば、ふと思った別の疑問を聞いて良いかな?」
【何でしょうカ?】
「いや、この家って春の家だよね?今更なんだけど、まだ若いのに、よく家を借りられたなと思って…普通はマンションとか安めのアパートとかに身を置きそうだよね。流石にこの歳で一戸建てを購入したとかないだろうし…」
【ああ、それですカ?主様、家賃を払っている体になってますが…調べたらこれ、主様の祖父母が思いっきり関わっていることが分かりまして…そのあたりはややこしい話なので、また後日にしましょウ】
「え、ややこしいって…この家、住んでいて大丈夫なものなの?」
【主様に内緒で確認したところ、魔改造をする許可もいただけましたので問題なかったデス。…あ】
「ちょっとまって!?魔改造って何をしたの!!」
【電源ガ僅カニナリマシタ。充電・スリープモードニナリマス】
「ロボット風にごまかさないでぇぇぇぇぇぇ!!」

…寝る前にまさかのやばそうな爆弾話が飛び出し、思わずミントはロロに詰め寄るのであった。


 なお、結局ごまかされたが…その魔改造された一部が、後日判明するのは言うまでもない。


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