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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-131 反逆の炎、今炎上

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…海王惑星上空にて、燃え上がる一隻の船があった。
 わざと・・・大炎上してコントロールを失い、重力に引っ張られて降下し、大気との摩擦で真っ赤に熱されて熔解していく。

 そんな中で、船の側面の一部が爆発し、小さなカプセル状の乗り物が射出された。

 ぼんっと勢い良く吹っ飛び、船から大きく離れて着水した場所は、海王惑星の海の中でもかなり濃い濃度の危険地帯となっている濃硫酸の海。
 まともな船であれば、その場であっというまに溶かされて、第三艦橋どころかそこからずぶずぶと沈没していっただろうが…このカプセル状の乗り物はその対策を施しており、溶解することなく無事に浮かんでいた。

「ふふふ…事前に調査を行い、これでリスポーン地点へ確実に行ったと錯覚してくれれば、当分時間が稼げるはずだ…だが、まだ油断できないぞ」

 ばかっとカプセルの側面が開き、中から出てきたのは…ここ最近、行方不明になっていた中三病だった。



 以前、シアのボディの元になった魔改造しまくった使用人を利用して恐竜女帝に決闘を挑み、敗北してその手に収められてしまった中三病。
 他のフレンドからも行方不明になって心配されていたのだが、これまでずっと恐竜女帝の元で色々と施されて囚われていたのである。
 さながら、毎度毎度攫われまくる某配管工で有名なお姫様のような身の上になっていたわけだが…じっとしていることもなく、今回脱出計画を練って女帝の元から逃げ出すことに成功したのである。

 決闘で勝敗に関して決めた条件で、負けたときに自分は留まり続けるような約束をしていなかっただろうか?
 いや、その条件はもう意味をなさない。最初から破る気はなかったが、長い間の女帝の元での生活で再び反逆の炎が点火され、大炎上したのである。

 律儀に守ろうとしたが…それでも、女帝の元での日々を考えると反逆の炎を再度燃やすのには十分すぎるほどの燃料が投下されており、見事に燃え上がらせた。

 そして今、彼は見事に恐竜女帝の元から脱獄することに成功したのである。



 だがしかし、脱獄できたとしても再び捕まっては意味をなさないだろう。
 そこで、彼は考えた。あえて、自分の居場所を偽装することで、追ってくる手を誤認させて捕まりにくくしようと。
 現実とこのアルケディア・オンラインの世界両方で策を練り上げ…本日実行し、成し遂げて見せたのである。
 
 今はこのVRMMOによるオンラインの世界でプレイヤーの身としての自身は逃亡できた。
 現実のほうも何重にも色々と策を練ってそう簡単にたどり着くことができない居場所に置いており、ここから女帝が追手を差し向けてきたとしてもそう簡単にとらえることはできないはずである。

「でも、それでもこの程度ではまだ時間稼ぎ…ならば、より強力な味方をどうにかして得なければ、再収容される恐れはいつまでも付きまとってくるか」


 悲しいが、戦力差に関しては痛いほど痛感している。
 中三病さんのテイムモンスターはモンスターで食虫植物の様なやばいモンスターが多めなのだが、恐竜女帝のほうはその名が示すように恐竜系統のモンスターで固めており、まともに戦えば勝利の女神はそっぽを向いて敗北の女神が代わりに喜んでやってくるだろう。
 ならば、敗北の女神を追い払って勝利の女神を振り向かせるためには、よりすさまじい力を女帝よりも得る必要がある。

 その手段としては、以前の魔改造の策も考えられたが…残念ながら現実の方にもリスクが高すぎるので、二度と手を出す気はない。

 ならば、どうするのかといえば、まだ違法性のない正攻法でやっていくしかない。

「海王惑星ルカドン…その名のもとになった、ルカドンの戦力を得ねば…」





…圧倒的強者の居場所というのは、それ相応に整っていることがある。
 囚われの身でありつつも、その環境をフルに生かし、オンラインの宇宙にある様々な惑星の情報をあさりまくり、彼は得ていたのだ。
 この惑星の元になった、信仰されていた神ルカドンに関しての情報を。

「…神としての信仰はあったようだが、その実態はこの惑星上で最強のモンスター。そして何よりも、過去にテイムされた記録もあるらしいな」

 プレイヤーたちが踏み入るよりもはるか昔、ルカドンの固有NPCの手によってつくられていた記録の中に、ルカドンを手中に収めることができたNPCの情報があった。
 残念ながらずっとテイムできていたわけではなく、テイムモンスターにやってはいけないことをやらかしまくり、結果として滅亡したようだが…その記録が存在していたことから、テイムする手段も同時に存在していたのである。

「だが、条件が厳しいが…そこもぬかりなく調べてよかったな。この惑星上で行われているイベントの中で、まさかのイベントの景品になっているものがカギを握るとはな」

 普通のイベントの景品に見えるだろうが、ルカドンをテイムしようとする人にとっては喉から手が出るほど欲しい代物。
 しかしながら、それを得るためのイベントに出る条件も厳しいが…現地での行き当たりばったりでずさんな計画を立てているわけではない。

 事前に確認しておいたのだ。ネットの情報の海から、その目撃情報を。
 フレンド登録をしているからこそ、居場所も既に確認しており、そしてどうにかするための色々なものを女帝の秘密倉庫からこっそり拝借しており…あとは、その最大の説得を成功させてどうにかやるだけである。

「まずは、さっさと港へ向かって続きを行い、素早く探さねば。今でないと、ダメなんだ…!!」

 カプセルの船の内部からオールを取り出し、手漕ぎで動き始める中三病。
 いつこの機会が失われるかも不明なので、時間との勝負になるだろう。

 自分の自由のために、姉に対して再び反逆ののろしをあげるために、彼は全力を尽くす。
 その熱意は今、まっすぐに突き進むための原動力となって、潜在能力からもどぶどぶと力を溢れさせているのであった…

「首を縦に振ってくれないかもしれない、頼み込んでもだめかもしれないが、どうにかしてもらうしかないのだ!!あの姉の魔の手を追放するために…!!」
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