アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-127 都合というのはどこでも生じるもので

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…火山の攻略も終わり、目的のMACのスキルも獲得することができた。
 最後のほうで火の神から気になる話を受けて、空っぽのランプをもらったわけだが、本日はここまででログアウトを行う。

「…そして時間が経ってようやく退院の日になったのは良いけど…振り返ってみると、全然病院内で過ごした気がしないなぁ」
「一日3時間の制限付きとはいえ、アルケディア・オンラインで遊ぶと一日が濃いもんね。なんかちょっと外出した感じ程度に感じられるかもよ」

 傷もすっかり完治し、本日をもって無事に春は退院した。
 ただし、病み上がりということで完全な職場復帰は3日後になり、すぐに仕事に追われるようなことはない。
 まぁ、休みがあればその分、休み明けの仕事は大変になりがちだが…現実を少々逃避したくなるものだ。

 そのため、本日もログインを行って現実逃避しようと思っていたのが…

ヌヌンヌー♪ヌヌンヌー♪ヌヌッヌヌヌンヌヌヌヌッ♪
「お?私の携帯に誰かかけてきたかな?」
「ミーちゃん、なんなのその着信音」
「ヌンダーZの主題歌だよ」
「あー、あれか」

 少々気が抜けるような音がありつつも、ミーちゃんの携帯に誰かが電話をかけてきたらしい。
 誰からかかってきたんだろうと思いつつも見ていると、何やら話しがあったようだ。

「え?嘘?…ちょっと待って、それってことは…えええぇぇぇ…」

 電話の相手が誰だかわからないが、何やらものすごく不都合な話があったようで、見る見るうちにミーちゃんの顔からやる気が削られて行った。
 そのまま数分ほど話し合ったようで、どうにか話が終わったことには…ミーちゃんの顔はものすごく面倒そうな表情になっていた。

「ああもぅ…面倒だなぁ」
「どうしたのミーちゃん、何かあったの?」
「何があったというか、起きちゃったと言うか…私のお母さん、今この国であちこち回っているって前に行ったよね?」
「そういえば、伯母さんがなにやら全国を巡っているとかなんとか言っていたけど…それがどうかしたの?」
「どうもお母さんが、どこかの県でいざこざを起こしちゃったらしくて、ちょっと来てほしいって言われたんだよ。絶対に面倒ごとの予感しかしないよー」
「あー…」

 ミーちゃんのお母さん、自称敏腕凄腕捜査官だとかスパイとか言っているが、その腕前は本当なのか、そもそも自称と言っている時点で色々と怪しいものである。
 そんな伯母さんに対する信頼は微妙なものしかないが、そのやらかすことに関しては物凄く面倒ごとが多いというのはわかっていること。

 そして今、どうもどこかでやらかしたようで、それの解決のためにミーちゃんを呼んでいるらしい。

「何かすぐに終わらなくて、3日ぐらい帰ってこれないかも。ああもぅ、お母さん何をしでかしたの…」
「詳しい事情とか、分からないの?」
「わかんない。電話で聞いても、納豆盆踊りトライアスロンで何か絡まれたとかぐらいで、意味が分からないよ」

 なんだその謎の奇祭の様なものは。
 バラバラならまだしも、まとめてやっているそれって聞いたこともないんだが。

 そんなことはさておき、その解決のためにどうしてミーちゃんが必要なのかわからないが、とりあえず絶対に来てほしいということで、泣く泣くミーちゃんはいったん伯母さんの求め向かうことになった。
 ネット環境がない田舎でもあるようで、アルケディア・オンラインを通じてのプレイも一緒にできないようだが…本当に何をしでかしたのだろうか、あの伯母さん。昔、山姥カーニバルとかに巻き込まれて、三日三晩山の中を駆け回る羽目になったとかいう話は聞いたことがあるけどなぁ…






「でも、ミーちゃんが少なくとも3日は戻ってこないとなると…うーん、今日は一人でやろうかな」

 一緒に楽しみたかったが、できないのであれば仕方がない。
 もともとソロプレイをしていたので楽しめないこともないが、それでもミーちゃんと最近一緒にやりまくっていたので、少し味気がないのは残念なことだろうか。
 そう考えると、ミーちゃんが来てからの影響って何気なくあったんだな…うん、存在感しっかりしていたんだなぁ。

 そう思いつつも、ひとまず今日もログインを行い、アルケディア・オンラインの世界に入った。
 久しぶりのソロプレイとなるが、まぁ元に戻ったと割り切ってしまえばやれないこともない。

「というか、せっかく一人で行動できる時間ができたんだし…先日のフェニックス戦でも思ったけど、ここはひとつ、全員レベル上げでもやってみようかな?」

 機械惑星に降り立った際に、現地のモンスターが強すぎて、全滅しかけたことがある。
 皆一応強いといえば強いのだが、それでもレベル的に見ればまだまだ育つ余地はあるだろうし、ここは思い切って全員強化するために動いてもいいのかもしれない、

 黒き女神の使い魔という種族にはなっているが…もしかするとそれより上のものもあるかもしれないからね。これ以上どう変化していくんだと思うところもあるが、思いがけない爆弾を落としてくるのがここの運営だしね。
 いっそのこと、新しいテイムモンスターも入手して戦力補強を狙うのもありか…一応、フィールド上に一緒に出せる数も増加しているので余裕はあるといえばある。あとは普通に女性型というべきものが多すぎるので、ここいらで一つ男性もしくは無性か、まともな獣やサイボーグとか…ちょっとでも中和できるような存在が欲しいところ。

 ただ、テイムモンスターを入手する条件は厳しいものが多いし、レベル上げも並行して行うとなると、その両立は厳しいものがある。
 でも、どこかに抜け道がないかとネットで少々探してみたところ…どうやら都合良いものはあったようだ。

「倒した時の経験値もそこそこあって、テイム条件が単純明快に倒した時に確率でというわかりやすいのが…あった!」

 ここ最近は何かと大変なことが多かったが、ここいらでその分のツキがやってきてくれたというように、都合のいいものが輝いていた。
 いや、物理的に輝いているというか…錬金術の素材も入手しやすい場所としても人気のようで、悪くはないだろう。

「ドワーフたちが宇宙進出した結果、生まれた鉱山惑星!!しかもALも稼げるようだし、色々といいかも!!」

 都合よい目的地が決まり、まずはその星へ向けて魔導船の舵をきることにしたのであった…


「ん?ネット情報だと、始まりの町のほうにいた鍛冶師の親方のガルバンゾリアさんの…息子さんが工房を開いているの!?え!?あの親方独身じゃなかったっけ!?思い込みだったのかな!?」

…ついでに見てしまったまさかの情報に、すぐに驚愕してしまうのであった。
あの人、独身かと思っていたけど普通に奥さんいたのか…いやまぁ、ミートンさんでさえ一応孫娘がいるだけあって奥さんいたんだろうけれども、それ並に…ん?それ以下の衝撃かな?なんかミートンさんが一応既婚者だって事実がある時点で、誰でも結婚できそうな気がしてきた。

 そう考えると、独身で彼女無しの自分って…なんだろう、この負けた悔しい変態一味に気持ちは。
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