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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-120 封じ手に対しては破り方も

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 まさかまさかの、黒き女神の力が使用不可能。
 こんな状況は流石に予想はしていなかったが、使えないのであればすぐに気持ちを切り替えるしかないだろう。

【ゲェェェェェェン!!】
「嘆いている暇がないというか、また体当たり攻撃が来たぁぁl!!」
「またハルのほうに行ったよ!!」

 先ほども喰らった、クイーン・シャドウフェニックスの体当たり攻撃。
 何度も喰らうのが厳しいほど、その圧倒的巨体と重量から繰り出される単純な攻撃は驚異的な破壊力を持っていることは、すでに確認ができている。

 追尾式の様な技のために回避も厳しく、正面から攻撃して減速を促したくともあの巨体ゆえに厳しいものがあるだろう。

「だけど、何度も喰らう気はないよ!!RMPでセレアの槍術!!」

 黒き女神の時よりもかなり威力は下がるが、それでもテイムモンスターたちの力を借りる力は封じられているわけではない。
 黒き女神で扱えるような槍も、大幅なパワーダウンとはなるがそれでも扱えないことはない。

 真正面から突き刺して対抗する?いや、あの巨体相手では槍が先に折れてしまうだろう。
 ならばどうするのかといえば…槍の先を地面に向ける。

「高速回転からの掘削逃亡!!」
【ゲェェン!?】

 地面に突き刺して回転させた瞬間、すさまじい勢いで土砂が生まれて掘削を行い始める。
 自身の足を推進力として使い、あっという間に地面に潜って体当たりを回避し、すぐに穴から飛び出ておく。
 これでのんきに穴の中で待ち構えていたら、直接炎を吐かれて蒸し焼きになる未来が見えるからね。長々と居つくわけもないし、距離をとったほうが体当たり攻撃が来た際に対処がしやすい。

「からの、続けて周辺に毒液噴射!!」

 燃え盛るボスモンスター用のフィールドの熱気は、先ほどの燃焼ダメージに追加して色々と削ってくるものがある。
 そのお返しと言わんばかりに毒を与えたいが、まともな毒攻撃は回避されそうなため、ここは周囲の炎を利用させてもらう。

 水ではないし、完全に消火はできないのだが、炎上する炎に近づくと蒸発して煙が発生するが、ただの煙ではなく毒液が蒸発した毒の煙になっているので、あっという間に周囲を毒で覆い尽くす。
 羽ばたいて散らされる前に、ある程度の大量の毒煙ができたところで…

「こちらから風を起こしてぶつけるよ!!リンからの蹴り技を貸してもらっての『大旋風脚』!!」

 高速回転による猛烈な蹴りを叩き込む技だが、今回はこれを活かす。
 回転によって生じた空気の渦にあっという間に毒の煙が巻き込まれて、猛毒の竜巻になって相手へ一気にぶつける!!

ドォォォォン!!ぼっよ~~~ん!!
【ゲェェェン!!】

 相手の体がたぷたぷで丸々とした雉の体ゆえか、この程度の攻撃は弾き返せるほどのタフさを持っていたらしい。
 だが、それでも毒の効果までが弾き返されたわけではなく、猛毒状態にすることはできただろう。


「あとはひたすら回避に専念し続けよう!!自然治癒してしまうならまた毒を浴びせて、繰り返せばいい!!」
「結構姑息な戦法だけど、今はこれが正解かも!!」

 真正面から挑むには厳しい相手ならば、このような搦め手のほうが有効だろう。
 状態異常を利用した攻撃だと流石に倒しきれることはないのだが、合間にちまちまと攻撃を加えていけば、それでもどうにかなるだろうと思っていた…が、そう簡単にはいかなかった。

【ゲェェェ、ゲェェェン!!】
ジュボゥッ!!
「え!?」
「なんか発火した!?」

 突然、元から火は出していたが、それ以上の火力の猛烈な火柱が、突然クイーンを覆うように出現した。
 何が起きたのかと思ったが、次の瞬間火柱の炎が真っ黒に染まり…そして、クイーンが飛び出してくる。

「…形態が変化した?」
「えっと…げっ、不味いかも。ハル、今の攻撃で余計に怒らせちゃったみたい…」

【ゲェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!】

 丸々と肥え太った雉みたいな体型だったはずが、火柱から改めて出たクイーンのボディは変わっていた。
 急激にやせ細り、翼と尾羽がより巨大化し、眼光がめらめらと炎のように燃え上がり、鋭いまなざしとなっている。
 嘴と爪のほうは鋭くなるどころかよりギザギザとした形状に変化しており、凶悪さが増しているだろう。

「バルナックさんの資料にあったんだけど…あれが本来のクイーンの姿『真・エンプレス・シャドウフェニックス』っていうみたい。自身の蓄えた力を一気に身に収束させて、戦闘へ極振りした姿だって…」
「…うそーん」

 どうやら今の毒攻撃によって、相手をより刺激してしまったらしい。
 何で僕の方ばかりを狙うというか、最初からけんか腰だったのかという疑問はあったのだが、余計に怒りを買ってしまったらしく、完全にここで焼却処分する気満々な状態にさせてしまったようだ。


【ゲェゲェゲェゲェェェェェェェェェェェl!!】
「なんか波〇砲みたいに、さっきのレーザーよりも圧倒的にやばいものを溜め始めたんだけど!!」
「あ、これ終わったかもしれない。ハル、この攻撃避けられないよ!!」

 溜めている間に攻撃をすればいいのかもしれないが、距離をとられており、間に合わない。
 防ごうにも先ほどの雪兵大量召喚では明らかに間に合いそうにない威力なのは目に見えており、もはやここまでかと、即死する未来を幻視してあきらめに近い感情を抱いた…その時だった。


ピカァァァッツ!!
【ゲェェッ!?】
「うわっ!?」
「何!?」

 突然、真っ黒な炎が燃え盛るこのフィールド内に、まぶしい光が降り注いだ。
 何事かと思えば、次の瞬間にはあの引きずり込まれた時と似たような感覚が、瞬間的に世界がひっくり返ったような感触がしたかと思い…目を開けて、状況を理解した。

「うわっ!?ハルさんと誰かが、なんかもっとやばそうなのと一緒に影から出てきたんだけど!?」
「えええ!?アレもしかしてクイーンなのか!?でもなんか見た目が違うんだけど!!」

「え?え?…欲望戦隊と、前線・攻略組の…皆さん?」

 前にいたのは驚いたような表所を浮かべているぽっけねこさんたちや変態たち。
 どうやらフィールドから引き上げられたかのような…彼らがMACのスキルを使いでもしたのか、僕らは影から引っ張り上げられたらしい。
 
 そのおかげか火口のほうに戻っており、クイーンのほうを見ればこちらもメカメカしい表面装甲が出来上がっており、影響を受けたようだ。

【ゲェェンッ!?】
 
 僕らの装備も影響を受けたようでメカメカしいものに転じていたが、今はそんなことは関係ない。

「ぽっけねこさんたち!!今あいつらに襲われていたんだけど、助けてほしい!!」
「えーっと、なんでハルさんたちがいたのかはわからないけど…まぁ、こっちももともとクイーンを狙ってきていたし、なんか見たこともない姿のやつになっているけど、目的としては変更ないか!!戦っている間にどういうことになっていたのか、なんでクイーンがあんな姿になっているのかなど色々と聞くけど、協力するよ!!」
「ありがとう!!」

 やばい状況になっていたところへの、まさかの救いの手。
 僕らだけでは全滅確定しそうだったが、ここにきて一気に人が増えたのであれば、まだやりようはあるだろう。

 とにもかくにも手短に説明を交えつつ、改めて戦闘態勢へ移るのであった…

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