アルケディア・オンライン ～のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです～

Ver.4.0 ～星々の輝き、揺らめく境界～

ver.4.2-110 都合よく行かないこと、何度も何度も何度も何度もあったが

…変身系のスキルに関して、種類やその取得方法が色々とネットに載っていた。
　その全てが正しいわけでもないし、中にはガセネタもあるだろうが、それでも使い道によっては様々な可能性を秘めている以上、興味を惹かれて試す者たちは星の数ほどいる。

「まぁ、流石にいくつかの強制的な装備変化などは、運営のほうも不味いのかなと思ったのか、後日にバージョンアップによる調整がさっそく公式のお知らせで出てきたけどね」
「それ以外にも、色々とあるみたいだけど…その前に獲得できそうなものを先に狙いたいのはどこも同じかな？」

　オンライン内にログインし、お知らせの中身を読みつつ僕らは今、ネット情報から得た強制的な装備変化に対して上書き対応ができそうなスキルを習得できるかもしれない星へ向かっていた。

　強制的な変身の恐ろしさに関しては、先日の闘技場での欲望戦隊との戦いを経てよく理解をさせられており、どれほどやばいのか身に染みている。
　何とかあの後、無事に戦闘終了という判定でバニーは解除されたが…それ以外の強制変身系統、熊やタコなどの動植物系に変身する系ならばともかく、装備の見た目を強制的に変えられて水着とか逆バニーとか…色々とアウトなものを喰らいたくはないと思ったのだ。
　普段の状態ならともかく、黒き女神の姿で受けるのやばいだろうし、なんにしてもその対策は必要と言えるだろう。


　だからこそ、上書きでどうにか対策をしようと思い、ネットの海から情報を収集して、有効そうなものを選び、獲得しようと動いたのである。

「スキルの獲得…偶然で得たものが多いけど、狙ってやるのも面白くもあるか」
「特に今回狙うのは、機械神から聞いた情報でも確認したし、十分信ぴょう性はあるよね」
「高度機械化惑星『メカニカルプラネット』。そこで得られるかもしれない装備の強制変身系スキル『MAC』…好奇心もくすぐられるからね」

　たとえ獣の皮や絹の衣の装備だろうとも、見た目だけを何やらメカメカしい感じの装備の姿へ強制的に変えてしまうスキルというのが、『MAC』…『機械武装変身』とも呼ばれるもの。
　お高い鎧とかに手が出しづらい人ならばわざと受けて、防御力だけはあるようにみせかけたりする利用方法もあるらしいが、普通に機械の武装に興味があって受ける人もいるらしい。

　メカニカルプラネットの『マシーンメイジ』というモンスターだけがそのスキルを使用して対象を変えるそうだが、何やら同じスキルをプレイヤーが取得する方法もあるらしいのだ。


「まぁ、機械枠なら一応メイドロボドラゴンみたいなシアもいるけれど…機械ならば、見た目的に許容範囲内になりそうだから良しとしよう」
「メカメカしい見た目になる…うーん、生きている感じもなくなりそうだけど、これはこれで使えたら面白そうなんだよね」

　これはこれで少年心がくすぐられる、正統派の強制変身系だろう。
　少なくとも女体化とか女神化とかバニーとか、そんなものと比較しても明らかにまともな部類だと思いたい。
　そしてこれを身に付けることができれば、またいつ欲望戦隊の前で女神の状態で対峙してバニーへ変えられようとも、すぐさま機械の衣装に身を包むことができるはずである。

…最悪の可能性としては、上書きとかができずに混ざって、機械バニーとかいうものが爆誕しかけないというのもあるが、そうはならないと思いたい。

　とにもかくにも、珍しくスキル獲得のために動くからこそ、確実に得られるようにしたい。
　そのための事前準備もしっかりと用意しておくのも当たり前のこと。

「メカニカルプラネットの名の通り、機械神の名前も融通が利くようで、スキルが覚えられそうなところを教えてもらえてよかったよ」
「お礼に稼いだ分のALをいくらか譲ったけど…返済に充てられて嬉しそうだったな」

　メカの星に行くならば、その神の名を有する者に先にやれることをやってもらうほうが良い。
　そう思い、既に色々と手続きは済ませており、まだいくらかは残っているだろうが、それでも獲得までの手間を省けているはず。

「ふふふ…これでMACのスキルを得たら、通常状態でも試そうかな？機械化はそこそこロマンあるからね」
「私としては、血が出なさそうな変身だからちょっと微妙に思うところもあるけど、面白そうだとは思えるし、利用する方法はいくらでもあるから問題もないかな」

　今回ばかりは確実に順調な獲得の旅路になると思いつつ、惑星へ向けて進むのであった…


「…ところでミーちゃん。まだ入院中だから3時間の制限があるけど、時間内で獲得できそうかな？」
「情報だと…うーん、ギリギリ？でもまぁ、焦る必要はないし、時間を変えて日をまたいでも大丈夫だと思うよ」

…急ぐ必要もないか。それこそ、例えば相手を強制的に女体化させて来る上に水着に変えてくるような相手がそばにいたりもしない限り。
　あと、情報収集のついでに実家に電話かけて知ったけど…筋肉バニー事件という名のついた強制変身の悲劇に関しては、やはりあの父が渦中にいたことも発覚した。
　メンタル的に周辺にいたプレイヤーたちは大丈夫だったのだろうかと思ったが…色々と享受したから大丈夫なはずだと、父さんが堂々と言っていたのが不安すぎる。

　メンタルケア、できているよね？昔、小さい子を狙って虐めてくるという噂の中高の学生を捕まえて24時間語りまくった結果、しばらく経ってからボディビルの大会にそいつらが出場したって話も聞いたけど、あの大会写真見たらすさまじいぐらい変わり果てていたけど…まぁ、変なところに堕ちるよりは、まだ向上心を持てそうなところにやれたのだから問題はないか。