アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-102 自業自得だけど、見捨てるのもいかなものか

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「かくかく、しかじか、メカメカで」
「なるほど…つまり、納期に間に合わないせいでALの罰金が増加すると」
「それなら、今こうしている間にも増えているんじゃ?」
「…」

…星々の海を渡りながら通信で確認しあうのも何なので、いったん状況を確認するために僕らは今、機械神を加えて近くの星に停船し、話を聞いていた。

 機械神…ver.2のころにあったレイドボスとして出されたプレイヤー仲間だったが、こんなことをやらかす人だっただろうか。
 いや、アレはあれで短い間の付き合いだったので人となりがすぐに理解できるようなものでもなかったので、時間が経ってゆっくりと落ち着いてみればそうなのかもしれないと納得できるかもしれない。

 とにもかくにも、そんな機械神の話を聞いてみたのだが、その中身に関しては自業自得としか言いようがないだろう。
 何を作っているのかはわからないが、どうも期限を過ぎてしまっているようで、罰金がじわりじわりと増えつつあるのに、返すためのALが尽きてしまったそうである。
 そのため、ALの狩り先として必死になって探しまくり、僕らに白羽の矢が当たったようだ。


「完全な自業自得じゃん、ソレ」
「擁護しようがないよね」
「面目、ない」
 
 ずううんっとわかりやすく落ち込む機械神だが、やらかしていることには変わりはない。
 幸いにもここは現実世界ではなくアルケディア・オンラインの世界なので、ALをやばいところから借りる羽目になったとしても死ぬようなこともあるまい。
 よくある北海のカニ釣りとか、マグロ釣り、その他やばいものがないだけマシだろう。

 でもまぁ、せっかく久しぶりに会ったレイドボス仲間が困っているようだし、ここは手助けしてあげたいような気持もあるのだが、あいにくALに余裕があるのかと言われればそうでもない。

「ならどうするかといえば…今のうちにその納期を先に終えさせたほうが良いんじゃ?」
「時間の経過している間にも増えているなら、まずは止めないとね」
「それ、重要!!でも、その後、どうしよう!!」

 すぐに納期して増える金額を停止させるのも最優先だが、その後にやってくるALの引き私に対してすぐに対策はとれない。
 
「手持ちの素材を思い切って全部売るとか」
「無い、使用、転換、売却済」
「別の機械を作って販売するとか」
「さっき言った、材料納期分で、品切れ」
「魔界のほうの店でバイトするとか。天界やほかのフィールドの店よりも、ALを稼ぎやすいらしいよ」
「出禁、無理」

…魔界のほうの店を出禁になるって、何をしでかしたの?
 あそこ、悪魔のNPCが経営しているところが多いけれども、違法性はないしそんなやばいことをするような場所もないはずである。どこかの欲望戦隊がやらかしたみたいな話を聞いたことはあったが、そこまでの変態レベルはなかったような。

「歯車仕掛けによる不慮の事故、滅茶苦茶痛々しいことやって…」
「うわぁ…」

 不慮の事故とは、何があったのか。
 しかし、痛々しいことって言われてしまうと、詳細を聞かないほうが良いと思ってしまう。


 とにもかくにも、すぐに稼ぐ手段もないし、納期を終えてもすぐに取り立てがあるらしいので、できるだけ瞬時に出せるようにしないといけないようだ。
 だが、僕らのほうも余裕があるといわれると、微妙なんだよなぁ。貯めてはいるんだけど、必要ALを聞いたら厳しいかもしれない。

「AL貸しみたいなことをしているプレイヤーもいるから、そっちを頼ればいいんじゃないかな?黄金の城を作ったというトヨミッチーさんとか、伝説のマタギとして獲物を追っているアラソヤさんとか、ネットで探すとあちこちで活動している記録があるよ」
「個人的な問題、知り合いのほうが良い。昔、現実のほうで、痛い目を見た」

 どうも似たようなことを現実の世界でもやらかしたことがあったらしく、その時言借りた相手が悪かったのか酷い目に遭ったことがあったらしい。
 幸いなことにどうにかなったらしいが、それでもトラウマになったらしく、完全な赤の他人から借りるよりも、少しはわかっている相手のほうが良いようだ。

 そういえばさっきから気になっていたが、僕のほうはレイドボスの一件で知り合いになっているが、ミーちゃんと機械神って接点あったのだろうか?

「あるよー。私のこの魔導列車のメンテをお願いしているからね」
「彼女の牧場産出、油、機械にすごい良い」
「そんなところでつながっているのか…」

 世間とは案外、狭いものらしい。たとえ宇宙フィールドのような広大な場所ができていったとしても、人のつながりとは思いもよらない場所からつながっているようだ。


「でも、今はそんなのどうでも良いか。こっちも肩代わりしきれないし」
「売っても、それ補えるか…補えそうかな?返すあてがないと、やりにくいけど」
「しばらく、素寒貧」

 厳しいな。多少方法があればやりようがありそうだが、ないのならそこまでお人よしでもないので仕切ることもできない。
 けれども、せっかく久しぶりにあった人が土下座までやってきたし、どうにかしたいような…

「…あ、そうだ、良い方法思いついたかも」
「ん?」
「希望、ある?」
「あるある。…個人的な意見だとやりにくいけど、僕らのほうも稼ぐ方法としてなら、いっそありかなと思った方法がね」

 怪物女王もいたらそれはそれで面白そうだが…近場にいないようなら仕方がないか。
 この人数だけでもできるだろうし、普段はなる気はないけれども、たまには本気での戦いもちょっと気になるところがあるからね。

 お互いに損はないだろうし、稼げるかもしれない方法。
 それを話してみたところ、採用されたのであった…


「…ハル、それありなの?」
「バレないようにすればアリだと思う、ちょうどこの先、向かう星でその手の施設はあるよね?」
「売った後に寄ったりするけど…うまくいくかな?」
「希望、渇望、やる価値十分にある」

…問題としては、結構突発的にやるから、すぐに集まるかだが…ないのならば、その時はその時か。
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