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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-87 牧場物語も面白そうで

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…牧場のあるこの星自体、中々の広さ。
 まともに歩いてめぐるのも楽しそうではあるが、流石にVRMMO内でも広大な広さを歩き回るのは気持ち的に疲れるところもある。

「というかそもそも、徒歩で移動が向かないからこの子を使っているんだよね」
【ウォロロロロロオォォン!!】
「使っているというか…でっかいな、この蛇」

 グネグネと動く巨体を揺らすのは、巨大な蛇のモンスター。
 一見、映画とかで出てくる巨大な蛇に見えそうな身体だが、その頭は人の右手のような形状になっており、手のひらの中心にぎょろりと巨大な目玉が存在している。

「『ギガ・ハンドスネーク』の『ライトン』だからね。通常のハンドスネークは相手の腕を斬り飛ばして、その手に成り代わって宿主を操るタイプの、寄生するモンスターらしいけど、この子は大きくなったがゆえにそんな器用なことはできないよ。その代り、怪光線を目から放つけどね」
「寄生できないならすべて滅ぼせって勢いの奴だね…」

 上から見れば、多分巨大な右手がうごめいているように見えるだろう。その背中に今、僕らは乗せられて牧場を回っているのだが、乗って良いものなのか思ってしまうところもある。

「大丈夫大丈夫。この子は私のテイムモンスターだし、こんなやばそうな見た目をしておいて、牧場の森林エリアで木々を良い感じに間引いたり植樹して、バランスを保ってくれるいい管理人さんになっているんだよ」
【ウォロロロォォォン!!】

 どちらかといえば、バリバリに世界を破滅させる化け物っぽい見た目をしているが、ミーちゃん曰くおとなしい性格のネームドモンスターでもあったようで、仲良くなってテイムできたのだとか。 
 ついでに、右手そのものと言っていいような外見なせいか手先が器用というべきなのか、管理がうまいらしく、常に惑星の環境が良い状態になるように調整してくれるらしい。
 東に水が欲しければ、穴を掘って水を引いて池を作り、西に木々が欲しければ、いくつかあらかじめ用意している苗をもってきて植樹し、かいがいしく世話をして森を作り上げる。

 たまに宇宙から侵略者がやってこようものならば、降り立つ前に自慢の怪光線で撃ち落として被害を減らしたりなど大活躍しているという。

「…見た目のわりに働き者過ぎなんだが」
【ウォォロロロン!!】

 僕の言葉に対して、褒められていると受け取ったのか喜びの声を上げるライトン。
 凶悪そうな見た目のわりにか…うーん、世界って広いなぁ。


「ついでにあっちの方に見える馬の群れを率いているのは、モンスター『ドラメタルケンタウロス』の『アルサ』!!二人は中々良い関係だよ」
【ウォロロッロォォォォン!!】
【バルルルゥァァァ!!】

 ミーちゃんに紹介されながら、ライトンが呼びかけるよな声を上げれば、鳴き声を上げて駆け寄ってくるのは、セレアに似たケンタウロスのモンス装甲ター。
 ただし、セレアは鎧を着こなした女騎士というような見た目に対して、アルサのほうは大きな斧を担いだバイキングのような恰好をしており、よりガッチガチな装甲に身を包まれているようだ。

【バルヒヒィン】
【バルルル】

「あ、二人ともちょっと離れた種族ながらも、似たようなケンタウロスのくくりにあるせいか仲良く話始めたね」
「離れていても、大本が近いと仲良くなりやすいからね」

 ケンタウロス系のモンスターをテイムしていたのは意外だが、友達ができたのなら喜ばしいのかもしれない。

【ピャアアアアアアアアアアアアアス!!】

 と、そんな光景を見ていると、ふとあたりが暗くなったというか…影が差した。
 何かに日光がさえぎられているようで、上を見れば、真っ黒な怪鳥が飛んでいた。

「でっか!?何あれ!?」
「『キングロックバード』の『ロバート』!!この牧場内で上から見たオガトリスなどの鳥系のモンスターをまとめ上げる、テイムモンスターの一体だよ!」

 翼を広げるだけで、ジャンボジェット機のような迫力を持つ巨大怪鳥。
 僕らにあいさつをするために寄ったようで、一通り見て泣いてから再びはばたかせ、空の彼方へ飛んで行った。

「この牧場、珍しい子が多いからたまにこっそり密猟目当てで来る人もいるからね。移動させながら目につきにくくしているけど、しつこい人がたまにいるんだよ。それで、あの子が空から見回りをして、仕留めてくれるの」
「あんな怪鳥に狙われるぐらいなら、密猟やめそうなものなんだけどな…」

 でかすぎる巨大怪鳥というのは、それだけで畏怖を持ちそうなもの。
 まぁ、ミーちゃん曰くサイズが大きすぎるせいで、本当は生け捕りにしたいところを、某有名なロボットのごとくトゥントゥンと音を立てて命を散らしまくてしまうほうが多いらしい。

「嘴で咥えて圧死、爪でつかんで破裂、羽で包んで切れる羽だから細切れ…ちょっと不器用なのが傷なんだよ」
「不器用でくくって良い範囲なの?」

 ツッコミどころがあるが、一応日常生活に支障がない様に過ごせてはいるらしいので、自ら破滅するようなモンスターでもないらしい。
 また、ロバートはテイムモンスターだが、この牧場内でテイムされていない野生の奥さんが存在しているようで、一通り見回りを終えたらヒナたちがいる巣へ戻って過ごしている子煩悩なお父さんとしての姿もあるらしい。

…やりすぎるようなモンスターだけど、家族なら傷つけないように動けるやつか。器用なのか不器用なのかわからないが、とりあえず滅茶苦茶さはミーちゃんに似ているかもしれない。



「とりあえず、気を取り直して別場所へ移動するよ!!ここはまだ序の口で、図体が大きい子たちしかいないからね」
「ということは、もうちょっとまともなサイズが来ると」
「そうだよー…まぁ、まともか怪しいのもいるけど」
「今ぼそっと、やばいこと言わなかった?」

 牧場に来て色々と見れるのは良いのだが、そもそも「まとも」といえる範囲の者たちはいるのだろうか。
 来て早々なのだが、幸先が不安としか思えなくなるのであった…


【ウォロッロロロロン!!】
「それにしても、ライトンの乗り心地が意外といいな…一応蛇のモンスターで揺れ動いているのに、乗り物酔いになるような感覚がないような?」
「ああ、これ元々ハンドスネークが寄生する際に、違和感を持たれないようにするスキルが作用しているみたいなんだよね」
「なるほど…寄生のための能力が、まさかできないサイズになっているのに役に立っているのか…」
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