アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-80 予定とは予定通りにいかないからこそ、予定なのである

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「「ええっ!?プールがまさかのお休み!?」」

 公園でのアスレチックを楽しんだ翌日、意気揚々と予定していた全天候対応のプールへ向けて、先に混雑していないかなどの情報を調べている中、春とミントはそろって驚愕の声を上げた。

 予定していたプールが、何やら突然謎の爆発が起きたらしく、原因の調査のためにしばらく休業になったというのだ。

「なんで、遊びに行こうというこのタイミングで爆発したんだよ!!プールで爆発する要素ってあったかな!?」
「うーん、ガス爆発がもしかすると可能性があるかもしれないってあるけど、原因不明か…(もしかして、工作員でも潜り込んでいたから反応しちゃった?)」
「今何か、ぼそっと言わなかった?」
「ううん、何も」

 とにもかくにも、今日はプールの気分を持っていたのだが、これはちょっと残念である。
 まぁ、遊んでいる最中に爆発事故に巻き込まれるようなことがなかったというのが不幸中の幸いというべきなのかもしれない。

「それにしてもどうしようか。オンラインは今日まで使えないから、プールを予定していたのに…残念だな」
「近くに他のないかな?せっかく水着も買ったのにさー」
「そう都合のいいのがないね。今日に限って休館だったりするようだし」

 というか、この謎の爆発事件によって他のプールどころか水を扱う施設全般が一斉に緊急停止&メンテナンスになってしまったようだ。
 とんだとばっちりというか、本当に何をどうして爆発したのか知りたいところ。
 案外、先日あったハイジャック事件のように、爆弾魔とかでも出たのだろうか?これはこれであり得そうな話ではあるが…やるならもうちょっと後にしてほしかった。


 予定が狂うことも考えて、計画を立てるべきだったか。
 いや、プールが爆発するって誰が想定して代替え案を用意できるのか…そんなことができる人がいるならばどうやってなのかすごく聞きたい。

 とにもかくにも、プールの予定がつぶれたのであれば、別のほうをやるべきか。

「水着が無駄になるのはちょっと残念だけど、それはまた別の機会にしようか」
「むぅ、できればせっかく買った水着をお披露目したかったんだけどなぁ。でもまぁ、起きたのなら仕方がないことだよね」

 お互いにプール気分だったが、気持ちを切り替えて予定を変更する。

「カラオケは却下として、他に良いのとしては…あ、ちょうどいい感じに昼間から祭りをやっているところがあるって!!」
「え?私たちはそれぞれの事情で休みの日だけど、平日のこんな朝から?」
「そうみたいだよ。えっと、やっている祭りは…」










…場所を調べて向かってみると、確かに祭りなことは祭りの場所だった。
 ただ、この祭りは普通の縁日とかがあるのではなく…

【ナゴォォォォォォォン!!】
【ニャゴォォォォォォォン!!】
【【【ヴヴヴヴヴニャァァァオォォォォォォ!!】】】

「『全力絶叫猫タコ様祭り』…祭りというか、奇祭では」
「猫の頭にタコの体がくっついた神様を祭るへんてこな奇祭か…」

 全力絶叫猫タコ様祭り。それは、どうやらパンフレットによるとここ十数年の間に出来上がったという中途半端に歴があった奇祭。
 こんな祭りが行われた理由としては、元々近くに猫を祭る神社があったそうだが、ある晩、その神社の神主が奇妙な夢を見たらしい。

 それは、その猫をまつる神社ゆえにもともと捨て猫とかを保護していたそうだが、その捨て猫の中に何故か頭は猫で体はタコの珍妙な生物が捨てられていたという夢だったようだ。
 起きてすぐに、何らかのお告げの可能性があると思い調べてみると、本当にそんな珍妙な生物が捨てられていたらしく、猫の神様に託された何かかもしれないと思って保護して育てたようだ。

「そんな謎生物猫タコ様は、3日ほどで失踪し、証拠も何もないので実在したのか定かではないけど、いつかまた帰ってきてもらえるようにと思って、神主がこの祭りを作ったのだとか…」
「ツッコミどころが多すぎないかな?」
「ついでに、この大量の猫の絶叫は、猫タコ様がいるときになぜか毎晩猫たちが鳴きまくっていたのを再現するために用意されているって」
「本当にどういうことなの?」

 そんな謎生物がいたのかどうか怪しいが、その猫タコ様を滅茶苦茶推していること以外で見れば、まだ普通の縁日とかの形態に近いとは思う。
 りんご飴が鰹節あめになっていたり、タコ焼きがNGっぽいからイカ焼きになっていたり、その他屋台の景品が猫タコ様グッズになっているとか…はためからみると、何かこう間違ったキャラを全力でアピールしている奇祭にしか見えない。

 それでもまぁ、一応祭りなことは祭りな雰囲気を持っているせいか、平日でもやってこれる人もそこそこ集まっているらしく、人混みができていた。



 せっかくなので昼間だけど祭りの雰囲気に合わせるべく、公園の時同様にレンタル衣装が借りられるようになっていたので、祭り用の衣装を借りる。
 基本的な着物から洋服の着物アレンジ、アニメとかに出るような衣服の改造版など色々取り揃えているようだが、ここは普通の和服にした。

「おー、春の着物姿似合っているね!」
「そういうミーちゃんも、女物の着物が似合っているよ」

 お互いに祭りに向け対象に着替え終えたが、これはこれでなかなかいい感じである。

「そういえば春、一つ聞いて良いかな?」
「ん?何?」
「こういう着物って、下着を付けないほうが良いっていうけど…どうなんだろう」
「…いや、別につけてもいいとは思うけど…あ、まさかミーちゃん」
「いやいやいや!!聞いただけだからね!!ちゃんと下はあるよ!!」

 正直、ミーちゃんなら脱いでいそうだなと思っていたが大丈夫のようだ。
 よく考えたら昔から祭りで着物を着ているから、そのあたりの感覚は聞くほどでもないはずなんだけどね。

「そういえば、着物の下を着ていないだろう女性を狙った悪党の事件があったなぁ」
「あー、覚えているよ。あれって確かどうなったんだっけ?」
「ミーちゃんが囮を買って出た事件の中で、唯一未解決だったんだよね」

…幼い時の話だが、そんなことがあったことを思い出す。
 彼女が関わったやらかしの中では非常に珍しく、犯人の逃亡を許してしまった事件だったはず。
 まぁ、犯人のほうも無傷ではないはずで、逃走される前にミーちゃんが素早く爆竹を突っ込んで…むしろ、爆竹の煙のせいで逃走を許してしまったような気がしなくもない。

 なんにしてもそんな昔の話を思い出したところで、流石にあれ以降話を聞くこともなかったので、犯人は二度と犯行できないような体になっていても不思議ではないだろう。
 そう思いつつ、僕らはこの奇祭の奇祭な部分を気にしないようにして、楽しみ始めるのであった…


「というか、あの犯人絶対に無事で済んでないんだよなぁ」
「結構前の話だし、ここはその場所とは違うからいないとは思うよ。それに、爆竹以外にハリセンボン、ポチの嚙みつき、4丁目のゴジラ山さんの火吹き芸とかあったし、トラウマはしっかり植え付けられて二度とやらかさないだろうね」

…あの時、町内の人たちも協力していたからなぁ。
 普通よりもいっぱい攻撃を物理・精神的に与えていたはずだし、今更出てくるわけもないか。
 というか、ポチって確かピットブルだったような…嚙みつきで済んだっけ?
 
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