284 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.1-72 密かにしていて
しおりを挟む
…真夜中、この時間帯は誰もが寝静まり、ここに配属されてからしばらくの間、見つけては潰していたのもあって、周辺に怪しい気配はない。
そう思いつつ、スリープモードに入っていたロロだったが、ふとある気配を感じ取り、少しだけ起動した。
【…気配察知…ミント様、いかがされたのでしょうカ】
「ありゃ?ロロさんを起こしちゃった?ちょっと、のどが渇いてね…」
流石に従妹とはいえ同室に寝るのはよくないかなと思い、別室で寝ていた彼女。
どうやらのどが渇いたために水を求めて起きてきたようである。
【まだ真夜中で薄暗いデス。私が水を取って着ましょうカ】
「ああ、できるならお願いしようかな」
薄暗い中動いて何かに躓いて怪我をされるのは困るので、ロロはすぐに動く。
ささっと夜間センサーで周辺の状態を確認しながら迷うことなく台所へ向かい、コップに水を注ぎ持ち帰ってきた。
【どうゾ】
「ありがとう」
ロロから受け取り、水を飲むミント。
ごくごくと飲み干し、ふぅっと息を吐く。
「のどが潤ったけど…ちょっとだけ目が覚めちゃったかな。かといって、寝床で横になってもすぐに眠れなさそうだし…せっかくの機会だから、ロロさん、眠気が来るまで少し、付き合ってくれないかな?」
【わかりまシタ】
明かりをつけることもなく、ささっと座りやすい様に座布団も用意し、お互いに腰を下ろす。
立ちっぱなしでもロロは問題はないが、こういう時は暗くて見にくい状況になっても、同じような体制になっていたほうが話しやすいことを理解しているのだ。
お互いに腰を下ろして、ゆったりと真夜中の女子会のように穏やかに話し合う。
たわいもない話、外国に行った時の話や、オンラインによって使用人システムが稼働してからのロロが知る春の話などをして、彼を起こさないようにしながらも静かに盛り上がる。
「ぷくくく…やばい、最初に春に説明されていたけど、女体化から女神になる流れがちょっと面白い…何がどうなって、そうなってんの…」
【そこ、主様気にしているところデス】
「欲望戦隊…あー、もしかしてそれかな?ミノタウロスの迷宮に挑みまくる謎の変態組がいたって話が、一時期あったんだよね」
【何故そこに挑んだのでしょうカ?】
「…ガセネタで、ちょっと流れていたのがあってね。ほら、これ牛の女の子な奴がいるってのがあったの」
【あー、これは確実に引っ掛かりそうな…ン?過去形みたいですガ】
「珍しいミルクが取れるかなって言ったけど、えげつない真実しかなかったかな…まさか、牛のコスプレをした巨漢集団がいたあの光景は…オーク牧場にできそうかなって思ったぐらいだし」
【えげつないスクリーンショットですネ…】
「これはこの間、侵略集団が牧場に来た写真。今は何人か、研修生になったけどね」
【何がどうしてそうなったんでしょうカ】
「マスターコカトリスたちに挑んで、何か武道に目覚めたらしいんだよね」
色々と話し合いつつ、盛り上がるロロとミント。
ツッコミどころ溢れる話は春に負けず劣らず持っているようで、確かに彼の従妹だなと謎の安心感と納得感をロロは覚える。
「ふわぁ…っと、そろそろ眠気が出てきたかも」
【では、お開きにしましょうカ】
ほんの十数分程度で済ませるはずが、ちょっと盛り上がり過ぎて、気が付けば明け方になりかけていた。
今から寝てもそこまでの睡眠時間は得られないだろうが、寝ないよりはましだろうし、まだ滞在するのであればそこまで気にするようなことはない。
しいていうのであれば、オンラインがメンテナンス中のためにすぐに遊べないのが残念なことぐらいだが…
「それでも、終われば遊べるし、楽しみだよ。ふふふ、改めてオンラインの世界で、春と遊びたいね」
【ええ、主様と遊ばれるのはよいことだと思いマス。それと、牧場の話は…】
「ええ、絶対に招待するよ」
がしっとこぶしを交え、ちょっとした女子会で中を深めた二人。
寝床まで向かおうとミントが立ち上がり、ふと、そこで思い出したかのように声を上げた。
「あ、そういえば、ロロさん。せっかく仲良くなったし、一つだけ秘密を共有しましょうか?」
【秘密?】
「ええ。…実はね、私、彼の従妹だけど…本当はね、血のつながりがないのよね」
【なるほど、血のつながりが無…ン?】
一瞬、何を言っているのか信じられず、ロロは思わず疑問の声を上げる。
その様子を見て、ふふっとミントは笑みを浮かべた。
「そう。私、お父さんのほうの連れ子で…血縁者のようで、そうじゃないの。でも、これって都合が良くて…そこはまた、別の話でね」
ほほえみから、ニヤッと口角を上げてそう告げた後、ミントは寝床へおとなしく戻っていった。
そして、衝撃的な秘密とその何かたくらむ表情に衝撃を覚え、ロロはその場に立ち尽くす。
【…え、これ、聞いてよかった話なのでしょうカ?主様、そんなことも言っておらず、ただの仲の良い従妹としての認識でしたが…似ている感じも血縁者っぽく…育ちの影響?いや、それでも…】
…眠気が誘われたミントであったが、反対にロロのほうはスリープへ移行できない疑問の数々の処理に追われる羽目になるのであった…
そう思いつつ、スリープモードに入っていたロロだったが、ふとある気配を感じ取り、少しだけ起動した。
【…気配察知…ミント様、いかがされたのでしょうカ】
「ありゃ?ロロさんを起こしちゃった?ちょっと、のどが渇いてね…」
流石に従妹とはいえ同室に寝るのはよくないかなと思い、別室で寝ていた彼女。
どうやらのどが渇いたために水を求めて起きてきたようである。
【まだ真夜中で薄暗いデス。私が水を取って着ましょうカ】
「ああ、できるならお願いしようかな」
薄暗い中動いて何かに躓いて怪我をされるのは困るので、ロロはすぐに動く。
ささっと夜間センサーで周辺の状態を確認しながら迷うことなく台所へ向かい、コップに水を注ぎ持ち帰ってきた。
【どうゾ】
「ありがとう」
ロロから受け取り、水を飲むミント。
ごくごくと飲み干し、ふぅっと息を吐く。
「のどが潤ったけど…ちょっとだけ目が覚めちゃったかな。かといって、寝床で横になってもすぐに眠れなさそうだし…せっかくの機会だから、ロロさん、眠気が来るまで少し、付き合ってくれないかな?」
【わかりまシタ】
明かりをつけることもなく、ささっと座りやすい様に座布団も用意し、お互いに腰を下ろす。
立ちっぱなしでもロロは問題はないが、こういう時は暗くて見にくい状況になっても、同じような体制になっていたほうが話しやすいことを理解しているのだ。
お互いに腰を下ろして、ゆったりと真夜中の女子会のように穏やかに話し合う。
たわいもない話、外国に行った時の話や、オンラインによって使用人システムが稼働してからのロロが知る春の話などをして、彼を起こさないようにしながらも静かに盛り上がる。
「ぷくくく…やばい、最初に春に説明されていたけど、女体化から女神になる流れがちょっと面白い…何がどうなって、そうなってんの…」
【そこ、主様気にしているところデス】
「欲望戦隊…あー、もしかしてそれかな?ミノタウロスの迷宮に挑みまくる謎の変態組がいたって話が、一時期あったんだよね」
【何故そこに挑んだのでしょうカ?】
「…ガセネタで、ちょっと流れていたのがあってね。ほら、これ牛の女の子な奴がいるってのがあったの」
【あー、これは確実に引っ掛かりそうな…ン?過去形みたいですガ】
「珍しいミルクが取れるかなって言ったけど、えげつない真実しかなかったかな…まさか、牛のコスプレをした巨漢集団がいたあの光景は…オーク牧場にできそうかなって思ったぐらいだし」
【えげつないスクリーンショットですネ…】
「これはこの間、侵略集団が牧場に来た写真。今は何人か、研修生になったけどね」
【何がどうしてそうなったんでしょうカ】
「マスターコカトリスたちに挑んで、何か武道に目覚めたらしいんだよね」
色々と話し合いつつ、盛り上がるロロとミント。
ツッコミどころ溢れる話は春に負けず劣らず持っているようで、確かに彼の従妹だなと謎の安心感と納得感をロロは覚える。
「ふわぁ…っと、そろそろ眠気が出てきたかも」
【では、お開きにしましょうカ】
ほんの十数分程度で済ませるはずが、ちょっと盛り上がり過ぎて、気が付けば明け方になりかけていた。
今から寝てもそこまでの睡眠時間は得られないだろうが、寝ないよりはましだろうし、まだ滞在するのであればそこまで気にするようなことはない。
しいていうのであれば、オンラインがメンテナンス中のためにすぐに遊べないのが残念なことぐらいだが…
「それでも、終われば遊べるし、楽しみだよ。ふふふ、改めてオンラインの世界で、春と遊びたいね」
【ええ、主様と遊ばれるのはよいことだと思いマス。それと、牧場の話は…】
「ええ、絶対に招待するよ」
がしっとこぶしを交え、ちょっとした女子会で中を深めた二人。
寝床まで向かおうとミントが立ち上がり、ふと、そこで思い出したかのように声を上げた。
「あ、そういえば、ロロさん。せっかく仲良くなったし、一つだけ秘密を共有しましょうか?」
【秘密?】
「ええ。…実はね、私、彼の従妹だけど…本当はね、血のつながりがないのよね」
【なるほど、血のつながりが無…ン?】
一瞬、何を言っているのか信じられず、ロロは思わず疑問の声を上げる。
その様子を見て、ふふっとミントは笑みを浮かべた。
「そう。私、お父さんのほうの連れ子で…血縁者のようで、そうじゃないの。でも、これって都合が良くて…そこはまた、別の話でね」
ほほえみから、ニヤッと口角を上げてそう告げた後、ミントは寝床へおとなしく戻っていった。
そして、衝撃的な秘密とその何かたくらむ表情に衝撃を覚え、ロロはその場に立ち尽くす。
【…え、これ、聞いてよかった話なのでしょうカ?主様、そんなことも言っておらず、ただの仲の良い従妹としての認識でしたが…似ている感じも血縁者っぽく…育ちの影響?いや、それでも…】
…眠気が誘われたミントであったが、反対にロロのほうはスリープへ移行できない疑問の数々の処理に追われる羽目になるのであった…
11
お気に入りに追加
2,031
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる