280 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.1-68 ポケットが欲しくなる
しおりを挟む
「…間違いない、ミーちゃんだ」
あれからそこそこの年月が経っているが、昔なじみの従妹の顔があった。
それが有名になってTVに映っているのならよかったが、残念ながら状況を見ると最悪な方になっている様子だろう。
【受信映像を巻き戻しして、画像処理でより鮮明化しましたが…間違いないのでしょうカ】
「うん、続報が入ってきた映像でも、ここに映っている人質に、ミーちゃんがいるよ」
なんで久しぶりに会えるかって時に限って、こんな目に遭うのだろうか。
様子を見る限り、他の人たちと同じように人質になっている様子だ。
「というか、他にいるからおとなしく捕まっている感じかな。これ、もしも彼女一人だけだったら、こんな報道される状態までならないはずだし」
【と言いますト?】
「確実に、ハイジャック犯の2~3人骨折、4人ぐらいはまだ軽傷で済みつつも、残りが重傷かな。昔、近所のガキ大将が仲間を引き連れてやらかそうとしたときに、ドン引きするレベルの猛反撃をしたし、たしか小学校のころ違うところ通っていたとはいえ、不審者情報が出た3日後ぐらいには、交番にその不審者が自ら逮捕を望んで安全な牢の中へ逃げ込もうとしたこともあったぐらいだし…ここでまだハイジャック犯たちが無事なのは、人質効果が多少はあるのかもしれないんだよね」
【…どういう従妹ですカ、ソレ】
どういうといわれても、そういうとしか言いようがない。
まぁ、年齢が上がるにつれてそのようなエピソードも鳴りを潜めていったが…いや、むしろ濃度が上がっていたような気がしなくもないかな?
確か、不良たちが全員出家したとか、極悪誘拐犯が世界中の子供たちを救う旅に出たとか、色々あったはず。
それなのに、こうやっておとなしく人質になっている状況というのは、彼女が単純に昔よりも無茶をやらかせなくなっているだけか、あるいは普通に人質が効いているのだろう。
「かといって、何もできないんだよなぁ…TVで状況を見守るしかできない一般人の身なのがもどかしいな」
【一般人…ですかネ?】
ロロ、そこ疑問を持たない。オンラインの世界では確かに女神になったりしているが、現実世界だとただの一社会人に過ぎない身なんだよ。
こういうときに、使える手があったほうが良いだろうが、こういうのを見るとフンフおばあちゃんあたりに…いや、いくら婆ちゃんでもこの状況をどうにかできるかわからない。できそうだけど、余計に厄介なことになりかねない気がする。
どうしたものかと悩みつつ、ここはおとなしく一般人として見守るだけしかできないかと思っていると…ふと、ロロがぴくっと動いた。
【ン?】
「どうしたの、ロロ」
【今、システム上動けている使用人の使用人通信で連絡が…ふむ、どうやらここに来るようですネ】
「何が?」
こんな時に何の連絡が来たのかと思えば、外を指さすロロ。
何か来るのかと見れば、空の彼方が一瞬ちかっと光った次の瞬間…
ドォォォォォォォォォン!!
【イェーイ!!メンテナンス中のオンラインから飛び出し、ただいま予定時刻通りに爆速到着!!現実の音速メイドジェッター、ここに到着デース!!】
「じぇ、ジェッター!?」
何でここに、オンライン内の音速の配達人がいるのと思ったが、考えてみればたしか、ジェッターも使用人システムの一部であり、現在のメンテナンスからは免れる立場にあるはずである。
なので、ロロ同様に外のほうに動ける体があれば、確かに現実世界に出てきてもおかしくはなかったが、何故ここにきたのだろうか?
「というか、何やってんの?」
【この移動速度を活かして今、運営のほうで音速配達サービスができないか試験運用しているのデース!うまくいけば、半年後には実装予定ですが、今日はそれも兼ねた用事でお届けに参りまシタ!】
さらっと運営のやらかそうとしている企みが見えた気がするが、そんなのはどうでもいいらしい。
そう言いながらジェッターは、いつの間にか大きな黒い箱を取り出していた。
「何、これ?」
【メンテナンスで今、オンラインの世界は停止状態デス。ですが、可能な限りまだまだ遊びつくしたい人もいるということも考え、今のところ問題なさそうな相手として『神』系統のスキルを持ったプレイヤーへ、これを配達して試してもらっているのデス!プレイヤーハルさん、あなたもその系統のスキルを所持しているために、お届けするために来たのデース!】
運営側の企みはまだまだありそうだが、その一部を渡すために来たようだ。
そしてその中身に関しての情報を聞き…驚愕させられつつ、すぐに使用を決めるのだった。
「ナイスタイミング…というか、都合よすぎない?え、これ配布していいものなの?」
【試験運用のために、限られた人だけデス。『神』スキルを所持している人はよっぽどの邪神悪神破壊神などの類でなければOKということのようデース!!」
…ほかにも多分いるだろうとは思ったけど、そんなものも所持したプレイヤーがいるのだろうか。
いや、おかしくはないのかもしれない。なりたくはないけど、やろうとするひとならやりかねないしなぁ…
あれからそこそこの年月が経っているが、昔なじみの従妹の顔があった。
それが有名になってTVに映っているのならよかったが、残念ながら状況を見ると最悪な方になっている様子だろう。
【受信映像を巻き戻しして、画像処理でより鮮明化しましたが…間違いないのでしょうカ】
「うん、続報が入ってきた映像でも、ここに映っている人質に、ミーちゃんがいるよ」
なんで久しぶりに会えるかって時に限って、こんな目に遭うのだろうか。
様子を見る限り、他の人たちと同じように人質になっている様子だ。
「というか、他にいるからおとなしく捕まっている感じかな。これ、もしも彼女一人だけだったら、こんな報道される状態までならないはずだし」
【と言いますト?】
「確実に、ハイジャック犯の2~3人骨折、4人ぐらいはまだ軽傷で済みつつも、残りが重傷かな。昔、近所のガキ大将が仲間を引き連れてやらかそうとしたときに、ドン引きするレベルの猛反撃をしたし、たしか小学校のころ違うところ通っていたとはいえ、不審者情報が出た3日後ぐらいには、交番にその不審者が自ら逮捕を望んで安全な牢の中へ逃げ込もうとしたこともあったぐらいだし…ここでまだハイジャック犯たちが無事なのは、人質効果が多少はあるのかもしれないんだよね」
【…どういう従妹ですカ、ソレ】
どういうといわれても、そういうとしか言いようがない。
まぁ、年齢が上がるにつれてそのようなエピソードも鳴りを潜めていったが…いや、むしろ濃度が上がっていたような気がしなくもないかな?
確か、不良たちが全員出家したとか、極悪誘拐犯が世界中の子供たちを救う旅に出たとか、色々あったはず。
それなのに、こうやっておとなしく人質になっている状況というのは、彼女が単純に昔よりも無茶をやらかせなくなっているだけか、あるいは普通に人質が効いているのだろう。
「かといって、何もできないんだよなぁ…TVで状況を見守るしかできない一般人の身なのがもどかしいな」
【一般人…ですかネ?】
ロロ、そこ疑問を持たない。オンラインの世界では確かに女神になったりしているが、現実世界だとただの一社会人に過ぎない身なんだよ。
こういうときに、使える手があったほうが良いだろうが、こういうのを見るとフンフおばあちゃんあたりに…いや、いくら婆ちゃんでもこの状況をどうにかできるかわからない。できそうだけど、余計に厄介なことになりかねない気がする。
どうしたものかと悩みつつ、ここはおとなしく一般人として見守るだけしかできないかと思っていると…ふと、ロロがぴくっと動いた。
【ン?】
「どうしたの、ロロ」
【今、システム上動けている使用人の使用人通信で連絡が…ふむ、どうやらここに来るようですネ】
「何が?」
こんな時に何の連絡が来たのかと思えば、外を指さすロロ。
何か来るのかと見れば、空の彼方が一瞬ちかっと光った次の瞬間…
ドォォォォォォォォォン!!
【イェーイ!!メンテナンス中のオンラインから飛び出し、ただいま予定時刻通りに爆速到着!!現実の音速メイドジェッター、ここに到着デース!!】
「じぇ、ジェッター!?」
何でここに、オンライン内の音速の配達人がいるのと思ったが、考えてみればたしか、ジェッターも使用人システムの一部であり、現在のメンテナンスからは免れる立場にあるはずである。
なので、ロロ同様に外のほうに動ける体があれば、確かに現実世界に出てきてもおかしくはなかったが、何故ここにきたのだろうか?
「というか、何やってんの?」
【この移動速度を活かして今、運営のほうで音速配達サービスができないか試験運用しているのデース!うまくいけば、半年後には実装予定ですが、今日はそれも兼ねた用事でお届けに参りまシタ!】
さらっと運営のやらかそうとしている企みが見えた気がするが、そんなのはどうでもいいらしい。
そう言いながらジェッターは、いつの間にか大きな黒い箱を取り出していた。
「何、これ?」
【メンテナンスで今、オンラインの世界は停止状態デス。ですが、可能な限りまだまだ遊びつくしたい人もいるということも考え、今のところ問題なさそうな相手として『神』系統のスキルを持ったプレイヤーへ、これを配達して試してもらっているのデス!プレイヤーハルさん、あなたもその系統のスキルを所持しているために、お届けするために来たのデース!】
運営側の企みはまだまだありそうだが、その一部を渡すために来たようだ。
そしてその中身に関しての情報を聞き…驚愕させられつつ、すぐに使用を決めるのだった。
「ナイスタイミング…というか、都合よすぎない?え、これ配布していいものなの?」
【試験運用のために、限られた人だけデス。『神』スキルを所持している人はよっぽどの邪神悪神破壊神などの類でなければOKということのようデース!!」
…ほかにも多分いるだろうとは思ったけど、そんなものも所持したプレイヤーがいるのだろうか。
いや、おかしくはないのかもしれない。なりたくはないけど、やろうとするひとならやりかねないしなぁ…
11
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。


生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる