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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.1-58 ものはためしに、やってみたく
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…やりとりはさておき、久しぶりに帰ってきた実家。
父さんのぎっくり腰見舞いで日帰りの予定だが、それでも実家というだけあって空気としてはのんびりしたものがある。
「まぁ、父さんがぎっくり腰なのに筋トレしようとするから、押さえつけるのは骨が折れたけどね…」
「物理的にへし折ったから大丈夫よ。当分、あの人は安静で過ごせるわ」
「それ、大丈夫なのかなぁと思うけどね…」
居間のほうに移動し、セバスティアンの入れたお茶を飲みながら話をする。
こういう親子の会話も久しぶりというか、離れていても変わっていない様子に安心感を覚えるだろう…べぎぐしゃっとすっごい音がしたけど、後できちんと医者に行くだろうか。
いや、父さん注射とか嫌いだって前に言ってたな…健康を滅茶苦茶大事にしているのはその極度の病院嫌いな部分もあるのかもしれない。
「それでも、当分は暇になるわね。仕事も忙しいけれど、あの人と一緒に今オンラインでクエスト中なのよねー」
「あれ?そういえば冬華から聞いたけど、母さんも父さんもアルケディア・オンラインをやっているんだよね?」
「そうよ。現実では不可能と言えるようなイケメンパラダイスとかも、テイムモンスター相手でやれそうなものがあるって噂を聞いてからはまったのよね」
「結果としては、まったく集まってないけれども…まぁ、私も可愛いモンスターを集められていないから、思うようにはいかないのよ」
母さんも妹もそう口にする。私利私欲がかなり見えてくるのだが、やはり物欲センサー的なものがあのゲームでは働いているのではないかという疑いも持ちたくなるだろう。
ちなみに、父さんのほうはハーレムとかの欲望はなく、筋肉同好会なるものを立ち上げており、オンラインゲームをしながらも現実で影響を与えまくることができる特殊な筋トレを開発しているそうで、運営からちょっと特許の申請やその他の手続きのお誘いをいただいているようで、今度のサバゲーイベント予定のついでに、筋トレブートキャンプなるものをプレイヤーイベントとして開催する予定があったらしい。
何気にこの中で、父さんが一番人に貢献しているのか…なんだろう、このすごい複雑な気持ち。
そんなことはさておき、日帰りだけどせっかくならではということで、親子でアルケディア・オンラインをプレイして楽しむことになった。
通常ならば、プレイ時間がかなり違っているのもあって、母さんたちと出くわすことはなかったのだが、妹から話を聞いて僕のプレイ状況が気になっていたらしい。
「そもそも、聞いた話だと…可愛い子たちに囲まれているっていうじゃない。息子が何か不順異性交遊まがいみたいなことをしていないか、気になったのよね」
「そんなことしないんだけど!?」
「でもお兄ちゃんのテイムモンスター、可愛い子多いしねー」
親にそう言われるのは精神的に答えるものがあるし、疑惑を払しょくしたい。
そしてこんなこともあろうかと、実は遊ぶための機器は持ってきており…家のネット回線につなげて、実際に見てもらうことにした。
「でも、ログイン地点が違うし…どこで集まる?」
「やっぱり始まりの町が分かりやすいんじゃないかな?」
「あ、でも今日はダメなようよ?前にお知らせで、本日はメンテナンスで一時的に立ち入り禁止になっているはずなのよね」
オンラインのフィールドは広大だが、それでも運営会社のコンピューターで構成された場所には変わりなく、何か異常がないか時折メンテナンスを行う必要がある。
全部一斉にメンテナンスで止まるのは大型アップデートがあった時ぐらいだが、一部の町が一時的に立ち入ることができなくなるメンテナンスもたまにあるのだ。
なお、メンテナンス時にそこをログイン地点にしていた場合は、自動的に外部にログインすることになるらしいが…事前にお知らせが出るので、最初から外に出ている人のほうが多い。
「それじゃ、いっそ宇宙のほうで…二人とも船は持っていたっけ?」
「持っているよー」
「持っているわね。あの人は手漕ぎ式だけど、私はきちんとエンジン付きよ」
「父さんの筋肉バカは置いておくとして、やれるならどこかの星で待ち合わせでいいんじゃないかな?」
まぁ、宇宙戦艦にまでなったグレイ号を見せることになるのだが…そこは問題ない。最近は普通に宇宙船持ちが増えてきたし珍しいものではないはず。
【戦艦クラスはまだ数が少ないですがネ】
と、ロロがつぶやいたことがあったが、0ではないのだから大丈夫なはずである。
「そう考えると、待ち合わせ場所は…万年満開惑星『フラワープラネット』の桜エリアかな?あそこに確か、宇宙港があったはずだしね」
「賛成!噂だとかなりきれいな桜が咲き誇っているって聞いてて、訪れてみたいと思っていたの!!」
「いいわねぇ。あの星一度行ったことがあるけれども、集まるには最適よ。何か話題がなくても、花を見て話に花を咲かせられるもの」
全員一致で集合場所を確認し、そこへ向かうためにログインを行う。
実は僕としても、気になってはいた星でもある。オンライン内の歩き方なる本が最近発売されたようで、観光スポットとしてもかなりいい場所らしいと聞いたことがあるのだ。
家族でそろって集まるには、都合がいい場所だということで、最適な場所を選べたと思うのであった…
「あ、でも家族全員じゃないのがちょっと残念か。寝たままでも、父さんはログインできそうだけど…」
「安静にするなら、余計なことをしないほうが良いわよ」
…それもそうか。ぎっくり腰になったから見舞いに来たのに、治る期間を延ばすわけにはいかないからなぁ。
父さんのぎっくり腰見舞いで日帰りの予定だが、それでも実家というだけあって空気としてはのんびりしたものがある。
「まぁ、父さんがぎっくり腰なのに筋トレしようとするから、押さえつけるのは骨が折れたけどね…」
「物理的にへし折ったから大丈夫よ。当分、あの人は安静で過ごせるわ」
「それ、大丈夫なのかなぁと思うけどね…」
居間のほうに移動し、セバスティアンの入れたお茶を飲みながら話をする。
こういう親子の会話も久しぶりというか、離れていても変わっていない様子に安心感を覚えるだろう…べぎぐしゃっとすっごい音がしたけど、後できちんと医者に行くだろうか。
いや、父さん注射とか嫌いだって前に言ってたな…健康を滅茶苦茶大事にしているのはその極度の病院嫌いな部分もあるのかもしれない。
「それでも、当分は暇になるわね。仕事も忙しいけれど、あの人と一緒に今オンラインでクエスト中なのよねー」
「あれ?そういえば冬華から聞いたけど、母さんも父さんもアルケディア・オンラインをやっているんだよね?」
「そうよ。現実では不可能と言えるようなイケメンパラダイスとかも、テイムモンスター相手でやれそうなものがあるって噂を聞いてからはまったのよね」
「結果としては、まったく集まってないけれども…まぁ、私も可愛いモンスターを集められていないから、思うようにはいかないのよ」
母さんも妹もそう口にする。私利私欲がかなり見えてくるのだが、やはり物欲センサー的なものがあのゲームでは働いているのではないかという疑いも持ちたくなるだろう。
ちなみに、父さんのほうはハーレムとかの欲望はなく、筋肉同好会なるものを立ち上げており、オンラインゲームをしながらも現実で影響を与えまくることができる特殊な筋トレを開発しているそうで、運営からちょっと特許の申請やその他の手続きのお誘いをいただいているようで、今度のサバゲーイベント予定のついでに、筋トレブートキャンプなるものをプレイヤーイベントとして開催する予定があったらしい。
何気にこの中で、父さんが一番人に貢献しているのか…なんだろう、このすごい複雑な気持ち。
そんなことはさておき、日帰りだけどせっかくならではということで、親子でアルケディア・オンラインをプレイして楽しむことになった。
通常ならば、プレイ時間がかなり違っているのもあって、母さんたちと出くわすことはなかったのだが、妹から話を聞いて僕のプレイ状況が気になっていたらしい。
「そもそも、聞いた話だと…可愛い子たちに囲まれているっていうじゃない。息子が何か不順異性交遊まがいみたいなことをしていないか、気になったのよね」
「そんなことしないんだけど!?」
「でもお兄ちゃんのテイムモンスター、可愛い子多いしねー」
親にそう言われるのは精神的に答えるものがあるし、疑惑を払しょくしたい。
そしてこんなこともあろうかと、実は遊ぶための機器は持ってきており…家のネット回線につなげて、実際に見てもらうことにした。
「でも、ログイン地点が違うし…どこで集まる?」
「やっぱり始まりの町が分かりやすいんじゃないかな?」
「あ、でも今日はダメなようよ?前にお知らせで、本日はメンテナンスで一時的に立ち入り禁止になっているはずなのよね」
オンラインのフィールドは広大だが、それでも運営会社のコンピューターで構成された場所には変わりなく、何か異常がないか時折メンテナンスを行う必要がある。
全部一斉にメンテナンスで止まるのは大型アップデートがあった時ぐらいだが、一部の町が一時的に立ち入ることができなくなるメンテナンスもたまにあるのだ。
なお、メンテナンス時にそこをログイン地点にしていた場合は、自動的に外部にログインすることになるらしいが…事前にお知らせが出るので、最初から外に出ている人のほうが多い。
「それじゃ、いっそ宇宙のほうで…二人とも船は持っていたっけ?」
「持っているよー」
「持っているわね。あの人は手漕ぎ式だけど、私はきちんとエンジン付きよ」
「父さんの筋肉バカは置いておくとして、やれるならどこかの星で待ち合わせでいいんじゃないかな?」
まぁ、宇宙戦艦にまでなったグレイ号を見せることになるのだが…そこは問題ない。最近は普通に宇宙船持ちが増えてきたし珍しいものではないはず。
【戦艦クラスはまだ数が少ないですがネ】
と、ロロがつぶやいたことがあったが、0ではないのだから大丈夫なはずである。
「そう考えると、待ち合わせ場所は…万年満開惑星『フラワープラネット』の桜エリアかな?あそこに確か、宇宙港があったはずだしね」
「賛成!噂だとかなりきれいな桜が咲き誇っているって聞いてて、訪れてみたいと思っていたの!!」
「いいわねぇ。あの星一度行ったことがあるけれども、集まるには最適よ。何か話題がなくても、花を見て話に花を咲かせられるもの」
全員一致で集合場所を確認し、そこへ向かうためにログインを行う。
実は僕としても、気になってはいた星でもある。オンライン内の歩き方なる本が最近発売されたようで、観光スポットとしてもかなりいい場所らしいと聞いたことがあるのだ。
家族でそろって集まるには、都合がいい場所だということで、最適な場所を選べたと思うのであった…
「あ、でも家族全員じゃないのがちょっと残念か。寝たままでも、父さんはログインできそうだけど…」
「安静にするなら、余計なことをしないほうが良いわよ」
…それもそうか。ぎっくり腰になったから見舞いに来たのに、治る期間を延ばすわけにはいかないからなぁ。
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