アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-50 ちょこっとゆったりと

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 やらかすやつは、どこにでもいる。
 その言葉はどこの世界でも通用するだろう。

「でもそれが、すぐそばにあるとは思いたくなかったけど…いい湯ならいいか」

 ふぇぇっと一息を吐き、ゆっくりと湯につかって僕はそうつぶやく。

 ティラリアさんの作り上げた恐竜城。
 その内部に作られた男湯で、ゆったりと浸かっているのである…もちろん、VRMMOゆえに裸とはいかなず、装備を着た状態でという光景だが、それでも感触は現実と大差はないだろう。

 女湯のほうは、テイムモンスターたちとティラリアさん…分かれてよかったのか、ちょっと不安だが、さすがに風呂場で暴れるような真似はしないと思いたい。
 そう、例え可愛いもの好きで樽つぶしの光景も見たこともあると…あれ?不安しかない?


―――

「ううううう…風呂場は裸の付き合いで触れ合いたいのに、なんで拘束するのデース!!」
【シャゲシャゲ、シャゲゲ】
【ガウガウガ】
【確実に暴走するのを、わかっているからだそうデス】
「そんなデース!!」

…裸の付き合いというが、この場で衣服を脱ぐことはない。
 それでもお風呂場という環境ゆえに好き勝手やろうとしたようだが、残念ながらその企みは、樽つぶしの暴挙をかつて見たことがある彼女たちの手によって、しっかりと対策を練られていた、

 マリーにリン、それぞれティラリアの樽つぶしの暴挙をこの目で見たことがあり、それがどれだけ危険なのかしっかり覚えていたのである。
 その他、セレア、ルト、アリス、コユキ、ネア、シア、ロロの各々は直接見た覚えはないのだが、説明されてどれだけやばいのか、こちらも理解をしていた。

【バルルルゥ、バル】
【ギャベギャベェ】

「悲しいのデース。せっかく、地下のマグマをタンクに貯めて、その熱で湯を沸かして作り上げた人工温泉なのに、ゆったりと一緒に浸かれないのは残念デース」
【やる規模自体が、おかしいようですが…むぅ、人のことが言えないので、強く言えないですネ】

 温泉一つを作るのに、まさかマグマを直接利用するとは思い切ったことをしていたようである。
 けれども、再現性を考えるならば確かに理屈にかなった行為であり、この前例さえなければ自分もやっていた可能性があるので、ロロはツッコミをあえて放棄した。
 
【とはいえ、ぎっちぎちに縛って安全を確保したので、私たちもゆったり浸かるのもいいでしょウ。テイムモンスターも使用人も、羽休めが必要なのデス】
【オォォン!】
【ピキィィ!!】

 ロロの言葉に、他の面々もうんうんとうなずき、同意する、
 なお、氷属性を持つコユキとしてはお湯は少々苦手らしく、こちらは設置されていたサウナのそばにあった水風呂に浸かっていたのであった。

【しかし、あれですね…こんな大浴場を作るとは、城へのこだわりがあるのですかネ?】
「そりゃもちろんあるのデース!!夢見た可愛い者たちとの付き合いのためにも、ここだけは建設当初の設計図から絶対に外すことはしなかったのデース!!」
【その思いのレベル、どこかの変態と同レベルのようナ】
「いや、それは絶対にないといいたいのデス。ミーは純粋な思い、耳に聞く欲望変態戦隊は邪悪な欲望の思いと、違うはずデス」
【オ、オォォン?】

 欲望戦隊のことはティラリアも聞いていたようで、全力で首を横に振って否定する。
 だが、その姿のありようは似ているのではなかろうかと、被害に遭ったことのあるアリスは疑いのまなざしを向ける。
 間違ってもないのだろうが…性別とかそのあたりが違うとはいえ、欲によって動くさまはほぼ似たり寄ったりではないかとも思えるのだ。

 だが、湯加減は程よくて、無理に考える必要がないかと思う。
 それはこの湯に浸かっている全員が思うことで、警戒心を緩ませる。

【バルルルゥ…】
【ガウガウゥ】

 種族の違いゆえに体の構造に違いが生じるのだが、この浴場はそれをカバーした構造が考えられており、かなり深く掘られているところから、浅くしたところまで高低差がはっきりさせられて誰もかれもが肩まで浸かることができるようになっているようだ。
 恐竜がこれでもかと詰め込まれた場所ゆえに、各恐竜に合わせた作りになっているのだろうが、それが功を奏しているのだろう。
 いや、ティラリア自身がこの浴場でほとばしる欲情を満たすために、わざわざ各種族の体格差をここで不公平にすることなく、公平に楽しめるようにしたというのもある。

「でも、触ったりできないのが残念デース…」
【日頃の行いで自業自得なのデス】

…その思いが成就するためには、まずは自身の欲望をしっかりと制御する術を持つ必要があるのであった。

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