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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-40 潰して遊んで、一石二鳥

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…今度行われるという、アルケディア・オンラインでのイベントテストプレイも兼ねた、ハッキング企業へのハッキング返しサバゲー。
 正直なところ、ハッキングされたからハッキングし返すのは犯罪でもあるのだが、そのあたりの対策は事前にいろいろとやっているようであり、いざとなれば裁判沙汰になっても勝利できるように弁護団がいたりするようで、社員たちは気にする必要なく、遊べという通達が出てるので気にしないほうがよさそうでもある。


「そしてついでに、オンラインのほうの流用でもあるから、使えるアバターは同じものなのは良いとして…全員同じオリジナル職業になっているのか」
「弓兵とかの職はあったけど、原始的なものだったからなぁ」
「タンクバズーカとかも飛び道具があったが、こっちのほうが似合うのだろうか」

 そう言いながら同僚たちが手にしているのは、小型の拳銃やマシンガン、RPGのような飛び道具ばかり。
 普段は手にすることがないものばかりだが、どうやらこのサバゲーフィールドにおいては、これの使用が強制的になってしまうらしい。

「職業『ガンナー』『ガトリンガー』『デストロイタンクマン』…そのあたりはランダムに割り振られているのだろうか」
「デストロイタンクマンだけ、意味が変わりそうだけどね」

ーーーーー
『ガンナー』
拳銃関係の小型の武器を手にすることができる、限定職業。
小回りが利きやすく、軽く扱いやすいが、一発一発の威力はやや軽めになっている。

『ガトリンガー』
ガトリング砲やマシンガンなど、多数の銃弾を放つことができる武器を手にすることができる、限定職業。
広範囲の殲滅に向いているがやや中型の武器ゆえに扱いが難しくなっている。

『デストロイタンクマン』
タンクマン滅ぶべし、とどこかのドMと化した人を元に戻すために作られたという、対戦車砲弾など超強力な炸裂弾を放つ武器を手にすることができる、限定職業。
一発の威力が大きい代わりに、次弾装填まで少々時間がかかるので注意が必要。
ーーーーー

 どれもこれもアルケディア・オンラインでは見ることがなく、どうやらイベント限定で得られる職業のようで、面白そうなのが多い、
 メリットデメリットが割と出ているようだが、それでもうまく使えば人によってかなり大化けすることができるようになるだろう。

…個人的には、デストロイタンクマンになりたかったなぁ。今回はどうやらランダムで割り振られているようで、僕の場合ガンナーになっていたのがちょっと惜しいところ。

 



 なんにしても各々試射したりして手ごたえを確認したところで、ようやく仕掛けてきた会社のネットワークへ侵入する時間となった。
 目的は、敵のネット内のデータベースへの攻撃…抹殺など、割と物騒な中身だとは思うが、思う存分やっていいのであれば加減もいらない。
 普段プレイしている環境とは異なり、さすがにテイムモンスターなどは出せないようになっているようだが、それでも各々楽しもうと割り切ったようだ。

「でも、全員一緒の場所に出るってことはないか…あちこちの方面から、こちらもランダムに振り分けて、攻撃を仕掛けるのか」
「まぁ、完全制圧が理想なのだろうが、そこはシステムの限界もあるのだろう」
「あとは現実のほうでの、折り合いの付け方などもあるんだろうな…なるべく証拠を残さないように、サーチ&即デストロイで行こうか」

 各自確認しつつ、社内イベントにありながらも、先日のハッキングはやはりちょっと許せない人も多かったようで、やる気はあふれているらしい。
 まぁ、普段こちらもソロでやることが多いので、こういう社内のメンバー全員でのチーム戦がなかなか新鮮なので、楽しみたいとは思うだろう。

 そうこうしているうちに時間となり、周囲の景色が切り替わり…ほかの人々の姿も失せたかと思えば全く別の場所へ僕は降り立っていた。



「…なるほど、ここが敵会社のネットワークの中なのか」

 ハッキングを仕掛けているとはいえ、ある程度ゲームとしての様相を表すためか、敵社内ネット空間は、近未来都市のような中身になっていた。
 あちこちに警備兵のようなものや何かしらうごめくものが見えるが、確認してみるとどうやらそれぞれ社内のデータが敵キャラとして表現されたもののようだ。

「まずは、軽く試してみるかな」

 手に持った拳銃…さすがに本物ではなく、このサバゲー内専用のデータクラッシュ弾とやらが込められている銃を構えて狙いをつける。

 遠くの相手をいきなり狙うのは大変なので、気が付かれないように近くの敵へ接近し…引き金を引いた。

バァン!!
【ゴメッポゥ!?】

 見事にヘッドショットが決まり、敵が珍妙な声を上げたかと思えば、某青タイツロボットゲームのようにティンティウンっと消えた。
 どうやら今の一撃で確実にやったようで、敵データの消失ということになるのだろう。


「さてと、それじゃ確認できたところで…存分に暴れてみようかな」

 普段、色々と暴れることはないが、ここ最近は何かとたまることもあったので、ここで発散するのもありだろう。
 可能であればテイムモンスターたちも一緒のほうが楽しかっただろうが…彼女たちがいなくとも、ソロプレイでやっている時間はないので、単独で攻めるのは慣れている、

 そう思いつつ、次々にほかの敵データを手にかけるべく、すぐに動き出すのであった…



「…しかし、アルケディア・オンラインの元データも利用しているけど、スキルがほぼ使用不可能なのはちょっと残念かな?」

 まぁ、ゲームバランスとか、ハッキングしているからこそやりにくい部分もあるのかもしれない。
 変なものがないので別にいいのだが…もうちょっと戦略の幅が広がったと思うので、改善要望は出しておくか。
 それにしても、ほぼ全部のスキルがバツマークがついて使えないのに、その中でこうこうと輝いて使用できそうな「黒き女神」のスキルがあるのは…うん、絶対に使うことはないとは思う。テイムモンスターたちがいてこそ成り立つような部分も多いし、こんなサバイバルゲームの中で役立つ機会はないだろうなぁ……
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