上 下
248 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-38 誰やねん、やらかしたの

しおりを挟む
「おっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

…その日、ハルが普通に春として、現実の世界の会社でいつも通り出社し仕事をしている中で、同僚の一人が絶叫を上げた。

「どうしたどうした?」
「何か生まれたのか?」
「おめでとう、元気な社畜が生まれましたよ、とか?」
「そんなことじゃねぇぇぇ!!あと生まれてもいないんだが!?」

 春や同僚たちの言葉に対して、ツッコミを入れつつも物凄く顔を青くしている同僚。
 何があったのか疑問に思うと指をさしており、その先にあったのは会社のパソコンの画面だったが…

「うわぁ…何これ、バグってない?」
「これあれだな…完全に壊れたやつだ」

 おかしな言語や青や黒の画面など、とりあえずおかしいとしか言いようがない状態。
 わかることとすれば、どう考えてもまともな状態ではないということだろうか。




 ひとまず社内で確認してみれば、どうやらハッキングをされていたらしい、
 幸いなことに社外秘のデータなどはしっかり防衛されていたために抜き取られることはなかったのだが、それでもこの会社が外部から攻撃を受けたことは変わらない。

「というか、どこのどいつだ?そんなことをしている奴は」
「怪しいサイトを開いたとかはないんだよな?」
「ないない。そもそも会社のパソコンで危ない橋を渡るやつはいないだろ」
「しかし、ここにこんなことをしてくるやつがいるのか…こういうハッキング現場なんて、ドラマとか物語の中でしか見たことがなかったな」

 盗られはしなかったが、まさかこの会社のパソコンを狙ってくる奴がいるのは驚きである。
 でも考えたら、アルケディア・オンラインの運営会社とも提携をとっていたりするし、そこから何か有用そうなデータを盗めないかとたくらむ輩がいてもおかしくはないだろう。


「セキュリティ面はどうだったんだ?」
「この間、最新のウイルス対策ソフトなど、いろいろやっていたはずだぞ」
「そうなると、それらを突破してきたやつがいるのか…」

 提携事業が色々とあるがゆえに、機密の重要性はしっかりと理解されており、セキュリティ面には惜しみなく予算も割かれている。
 なので、今までこんな問題が起きたことがなかったのだが…それでも油断は禁物だといわんばかりのものだっただろう。


「全員落ち着け。今から社長が交渉して、最強の対策ソフトや専門家を用意してくるそうだ。今のうちに全員、貴重なデータなどを保管しておいてくれ」
「わかりました」
「保管用の記録媒体は?」
「しっかりと、最新のものが全員分あるぞ。万が一に備えて、中にウイルスが入っても即探知して自爆する機能付きだというけどな」
「自爆って大丈夫なの?」

 まぁ、一番手っ取り早いのが確かにぶっ壊すことだとは思うけれども、自爆する媒体って怖いんだけど。一昔前の、スパイ同士のやり取りにあるような自爆命令書みたいなものなのだろうか。
 なんにしてもこの日は仕事を一時中断する羽目になり、全員非常に大事なデータの保護などの作業に移らされてしまうのであった。









「…ということがあったんだけど、太郎丸さんのところもなのか?」
『ああ、間違いないな。越境しているのに、同社としてみなしているのかこっちのほうにも同じようなハッキングがあったぞ』

 帰社後、今日はログインをする前に、国際便で他国のほうに作られた支店にいる太郎丸さんのところへふと思って電話をかけてみたところ、どうやらそっちはそっちで同じような騒ぎがあったらしい。
 幸いなことにこちらもデータを抜き取られるようなことは防げたそうだが…それでもDos攻撃などの迷惑なネットからの攻撃が相次いでいたそうだ。

「国を超えてのハッキング及びネットからの攻撃か…なんか物騒だな」
『うーん、うちの会社ってやっぱり、アルケディア・オンラインの企業と提携している企業の中で。一番狙いやすいとでも思われているかもしれんな』
「やっぱり?」

 運営会社…メーゼ・イワド社に関しては、堅牢な守りもある。
 あちらはあちらで色々と革新的な事業や技術があるので狙う人も多いだろうが、その分しっかりと対策も張り巡らされており、小さな隙間なども埋められているそうだ。
 だが、そんな会社と比べて、うちの会社のほうがセキュリティ面は弱いと思って攻めてくる輩が出てもおかしくはないらしい。
 提携しているから、足掛かりにしてどうにか忍び込もうとする輩が出た可能性が非常に大きいとみていいようだ。


『何にしても、当分似たようなことが起きるだろう。今後、油断しないようにしないといけないのが面倒だ』
「どこから入ったのか、どうやってきたのか社外のほうにも手を借りて調査しているっていうしなぁ…ああ、そのせいで今日の業務がかなり滞ったのは非常につらかったよ」
『こちらもだ。よりにもよって月に一度あるロリ崇拝祭りが中止になったからなぁ…恨むやつが多そうで、恐ろしい。まぁ、自分もしっかり恨んでいるから、犯人を見つけ次第社会的な制裁は確実だと思え』
「…何やってんの、その国」

 いろいろな事情によって建国された国だってのはもうわかっているけど、本当に何をやっているんだろうかあの国は。
 治めているはずの鏡面ののじゃろりに問い詰めたいところだが、本人もなぜこうなったと思っていそうではある。


 とりあえずしばらくの間、僕らはハッキングを仕掛けてきた相手の奇襲に備えて、警戒を怠らないよに動くしかできないのであった……

『いざとなれば、うちの会社の呪殺部が動きそうだけどな』
「え、そんな物騒な部署ってあったか?」
『ほら、いつもずんだば黒ミサみたいなことをやっている奴らがいるだろ?その一部がこの間申請したようで、正式なものになったとか社内のお知らせで回ってきたぞ』
「…国のことを言うよりも、うちの会社が何をやってんだとツッコミを入れるべきだったのか」

 なお、確認してみたところしっかりと部署内の枠組みの中に入っていた。
 どこの誰が許可したのか…あ、社長許可って書いてある。しかも、イワド社のほうからも似たような部門があって、そちらとの提携による新しいプロジェクトまで…どこへ向かっているんだろうなぁ、この会社‥‥‥


しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

処理中です...