アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
244 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-34 はーい、どうもというあいさつは割とメジャーなのか

しおりを挟む
…邪龍だがなんだがわからないが、霧状のドラゴンのような何かであるシアというテイムモンスターを入手できたのはよかっただろう。
 クエストの石材も入手し、カイザーシルクワームさんにも無事に届けられたし、問題も何もないはず……であった。



「…だけど、こっちのニュースは予想できなかった」

 本日は休日であり、のんびりと過ごそうかなと思いつつもなんとなく朝のルーティンのままニュースを見ていたのだが、とんでもない情報が入ってきていた。


『画面の前の皆様!!めんたまかっぽじってでもいいので、ご覧ください!!建設中の宇宙エレベーターがあるのですが、その周辺に本日未明に宇宙船が目撃された情報がありました!!』
『現地にて、偶然建築風景を撮影していた人たちが録画していたり、目撃していた人たちが撮影して映像がありますが、その中でも一番映りがいい映像をどうぞ!!』
『すごいです!!めちゃくちゃレトロ感あふれるこてこてのUFOですが、それでも生の宇宙人が乗っているかもしれない、未確認飛行物体がはっきりと映し出されています!!』
『我々は本日、宇宙人を見つけてしまったのでしょうか!?』

「宇宙人発見か、未知の飛行物体目撃…フェイクニュースとかでもないのが驚きだな」
「今時、宇宙人発見だけでもこれだけ騒ぎになるんですネ」

 本日の朝のニュースを独占している内容を見てつぶやいていると、ちょうど朝ご飯を作り終えたロロがそうつぶやく。
 最近メイドシステムなども小規模のアップデートがなされているらしく、味なども少々上昇しているのでいいのだが、彼女としても驚く内容らしい。

 なお、ドールや箱庭などのシステムは本日は電源をまだ入れておらず、ちょっと置いている状態なのでマリーたちからの反応が見れないが、見ていたら同じように驚くのだろうか?

「いや、そもそもゲーム内の存在が宇宙人を見ても驚くものなのか?宇宙エリアが解放されている時点で、今更感もあるかもしれん」
「あ、そのあたりは大体主様の予想通りデス。宇宙人程度、あそこでは意味も何もないですからネ」

 それもそうだ。考えたら宇宙行けている時点で宇宙人関係は驚かされるようなものでもないのかもしれない。
 けれども、ここはゲームではなく現実の世界であり…ちょっとだけ、ワクワクしてしまう気分もあるだろう。侵略系の宇宙人だったらそのままおかえり願いたいけどね。


 それはともかくとして、そんな見るからにUFOだといえるような飛行物体がしばらくニュースで流され続けるのだろうな。
 なんというか、驚くべきことならなっても当たり前かもしれないけど、どのぐらいで収まるかな…何度も出ていると新鮮味がなくなって飽きが来るから程々のところで収まってほしいものである。


「そうだ、主様。休日だから本日もアルケディア・オンラインをプレイなされますよネ?」
「そのつもりだけど、なんだ?今日は石材を渡した後、すぐに相談所を開設したとかいう手紙がワームさんから来たから見に行く予定なんだけど」
「そこから新たに、メールが2通来てますヨ」
「見せてほしい」

 そんなにしょっちゅう来ることもないとは思うのだが、目を通しておこうと思う。
 そう考えて、メールを見せてもらったが…まぁ、一通目のほうは予想できるものだった。

「なるほど、こっちはあのお婆さんからで…あー、やっぱりミートンさんたち、お仕置きされたのか」
「丁寧に加工されて、グロイ部分とか見えないように配慮された写真も同封されてマス」
「そんな加工が必要なほど、過激なのは犯罪になるんじゃ?」

 予想通りというかなんというか、あの星でいろいろとチェックされた先にあったお仕置きが無事に執行されたようで、そのことに関するミートン一家と連絡が取れる人たちへ、しばらくパーティを組んだりすることができなくなるお知らせだった。
 そういえば、タローンもとい太郎丸は一応あのメンツの仲間だけど現実での交流はどうなのかと思っていたが、そちらも例にもれず一緒に執行されたらしい。
 なんでもあのメンバー全員が同じ国に移り住んでいたので、お隣さんづきあい感覚で触れていたようで、しっかりと逃げる間もなく捕縛されたようである。あ、鏡面ののじゃロリの権力も使って、盛大にやったともあるな。こういうことに関しては生みの親はいいのだろうか。

 あんまり大したこともない犠牲による星がまた一つ生まれたことはさておき、二つ目のほうはこっころ当たりのないものだった。
 ネットでの差出人不明のメールはウイルスなどを疑いたくなるが、オンラインのものはしっかりと審査されており、仕込むことはできない。
 けれども、この差出人は…

「『拝啓プレイヤー「ハル」様へ、注意喚起のお知らせ…』…はぁ?」
「運営からの個人への連絡ですネ」
「いやいや、なんで一個人のしがないプレイヤーに対して、運営から直接連絡が来るんだよ」
「でも、前例がないわけではないですよね?」
「まぁ、ERRORがあったレイアのときとかあるしな…」

 なぜか、アルケディア・オンラインの運営から直接のメールが来ていた。
 正確に言えば個人宛ての注意喚起のお知らせのようだが、なぜそんなものが来るのだろうか。


 中身を読んでみても、単純に『やばい客が来る可能性があるので、備えておいてください』としか書かれていないし、どういう相手がいつどうやってくるとかそういう部分が書かれていなくて全く把握できない。


「…恐ろしいな。念のため、今日はすぐにログアウトもできるように、用事関連は軽めにできるようにしておこうかな」

 何のためにやってきたのかは不明だが、どう考えても嫌な予感しかしない。
 後で何か保証があるかもしれないが、起こるかもしれないことがわからないというのは言いようのない不安しかないだろう。

 せっかくの休日なのに、朝からろくでもない雰囲気になってしまうのであった…


「…まさかとは思うけど、タイミング的にUFOのニュースと関係ないよね?」
「…」

 目を背けて黙らないで、なんか余計な不安しかないんだが。




 
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...