上 下
238 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-29 物欲センサーというモノが、ありまして

しおりを挟む
ドドドドドドドド!!
「「「「おっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!大失敗したぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
「大失敗で済むか欲望変態戦隊どもぉぉぉぉぉ!!」
「一番デカい50mクラスの奴で失敗したうえに、全力でその他の取巻きたちに襲われる状況を作り上げるとは、最悪なんじゃが!?」
「これ本当にレイドボス扱いじゃないのか疑問なのだけど!?」

【ウッドォォォォォォス!!】

 周囲に散らばる岩石を持ち上げ、ぶん投げまくって来るウッドロックオーガの大群。
 シャレにならないサイズの岩石ばかりであり、投げつけた力も加わって隕石が降り注ぐような光景に、ラグナロクとかそういう類を想像させる。



 そう、現在目当てのモンスターを欲望戦隊変態たちが見つけ、テイムを試みたのだが…あれだけ自信満々に準備をしてきたと言っていたのに、見事に失敗したのである。
 それどころか、周囲一帯のオーガたちも激怒する結果になったようで、巻き添えを喰らったのだ。

「大体テイムに必要な条件が、一撃でノックアウトだから、限界までバフを盛りまくったうえでやったというのに、その一撃を盛大に空ぶるってなんだよ!!」
「仕方がないだろ!!一番威力の高いスキルって、命中に難があったりするんだよ!!」
「でも、バフをかける際に副次効果でいつの間にか設置されていたバナナの皮にすべって転ぶって、古典的なギャグじゃん!!」

 条件をそろえて、なんとかやれそうな状態にまで準備を行い、成功できそうだというところまではまだ良かっただろう。
 だがしかし、そこで信じられないようなやらかしで失敗したうえに…空ぶった攻撃がそのまま別の個体に直撃し、それがまさか地中に埋まって寝ていた大型のウッドロックオーガに当たり、怒りを買うとは誰が思えたのだろうか。
 一度のミスで一気にここまでしでかすとは、欲望戦隊のやらかし能力は想像を超えるのかもしれない。


「とりあえず今は、言い争っている場合じゃないんじゃが!!ハルさんの戦車に乗って、とっとっ逃亡するのが良いと思うのだが!!」
「その戦車までの道を岩で潰されたから回り道をしているんだけどね!!」

 最悪というか、疫病神のような運というべきか、そのせいで僕らは遠回りで逃走するルートを作らなくてはいけない状態になっている。
 しかも、あの巨大なウッドロックオーガは周辺のモンスターたちのまとめ役でもあったようで、現在全方向から出てくるモンスターたちが、僕等に対して攻撃的な状態になっているのだ。

「あれでレイドでもボスでもないなんて、なんて詐欺だよ!!」
「そんなことを言われても、どうにもならんがのぅ!!フォレストデストロイヤーの犠牲を無駄にしたくなければ、さっさと逃げるしかないのじゃぁ!!」

 まとまって逃走するよりもバラバラになって逃げた方が良いかもしれないが、周辺が大木と岩の大地ゆえに逃走ルートが限られてしまい、中々押し付け合う事が出来ず、まとまって逃げるしかできない状況。
 鏡面のもといアティが召喚したフォレストデストロイヤーで一時的な時間稼ぎは出来ているはずだが、かつて襲って来た時よりも大幅に弱体化調整がされているそうで、そこまで持つことはないらしい。

 いざとなれば、黒き女神のスキルもあるのだが…流石に欲望変態共の前で披露はしたくないだろう。戦隊じゃなくて変態と言っているのは誤字に有らずだが、いっそこいつらをこの場で生贄に奉げたほうが平和的に収まる気もする。

【シャゲシャゲ、シャゲ】
「あ、激怒しすぎて収めるのも無駄ってか」
【バルルルゥ】
「ついでに言えば、大きい分走る速度も速かったようで」
【ユッキユキー!!】
「多少の肉壁もとい氷壁にならないかとしていた雪兵たちもなぎ倒されて」
【オォォォォン!!】
「現在進行形で、迫ってきている‥‥か」

「「「いや、説明されなくても分かるんだが!!」」」

 愚行によって招いたピンチ、このままでは普通に全滅もあり得るだろう。
 こちらの戦力も強くはあるが、それでも流石にあのサイズの相手は厳しい所。以前の巨大な磁石の敵だった時は黒き女神も使っていたし、前線組という大きな戦力もいたからこそ大丈夫だったが、そんな人たちがいないこの面子だと、かなりヤバいだろう。
 それに、このまま何もせずに激怒させたままだと、他のプレイヤーにも影響でそうだしなぁ…運営からのペナルティとかそういうのが来そうなことがちょっと怖い。

 むしろ何を思ってこんな無茶苦茶なのがモンスターとして普通に沸くのか、そこに疑問を抱きたい。


「なんかないかなんかないかいい手段無いか!!」
「青狸風に焦っても、便利な道具とかはないんだよ!!」
「やれるとすれば‥‥いや、待てよ!!もしかするとどうにかなるかもしれん!!」
「「「え?」」」

 全力疾走で逃走する中、タローンが何かを思いついたらしい。

「ミートンたち、覚えているか!!この星でオーガを探す中、いるかもしれないってリストアップできた奴の場所!!」
「「「ああ!!ばっちり覚えているぞ!!」」」

「え?最初からオーガの方を狙っていなかったの?」
「確かにそうだけど、いたらこっちも狙いたいなーと思っていたのがある!!下手すりゃこっちよりも厄介かもしれんが、この状況で四の五の言えない!!うまくぶつかればそれで相打ちになってくれるかもしれん!!」

 何やら欲望戦隊はこの星で、他に狙っていたらしい。
 しかし、見た目うんぬんよりもまず実力差的にこっちはこっちで厳しいかなと思って遭遇するのを避けて、今回のオーガの方だけに焦点を当てていたようだ。

「まぁ、その場合犠牲が出るかもしれんが、この状況で全滅するよりはましだ!!こっちの方に確か情報があったはずだから、そこまで駆け抜けるぞ!!」

 進む方向を変えて進むが、賭けに近いようだ。
 いなければ全滅だろうし、いたとしてもうまくいかなかったら全滅。
 デッドorデッドしか選択肢がなさそうだが‥‥それでも、生き延びる確率を探り当てるしかないだろう。
 選択肢が限られているのであれば、一つでも希望を取ろうと僕らも一緒に向かうのであった‥‥‥

「ああもう!!それしかないならやるけど、うまくいくのかな!!」
「いくと思いたい!!最悪の場合、怪獣大戦で巻き込まれる一般市民的なものになるかもしれないがな!!」

‥‥‥それ、大抵の場合犠牲者多数で終わらないかな?生き残る一般市民って多くはないような。
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...