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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-26 お約束は、爆発と

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‥‥‥目的の石材がある岩場まで、戦車で進む。
 ガタガタとキャタピラ音を鳴らしながら先へ向かえば、ふとある光景が目に入って来た。

「あれは…『ウッスゴーレム』の群れか」
【オォォン?】

 ごつごつした岩場の大地の上で、蠢いている人型のような影。
 ただし、その見た目は角度を変えると一枚の紙のようにも見え、ものすごくシンプルな紙の切り抜き人形のような容姿から、すぐに何なのか判断することが出来た。

―――――
『ウッスゴーレム』
厚さ3ミリ、高さ1.5メートルほどのそこそこの紙人形の見た目をしているモンスター。
岩と木が入り混じっているような色合いと性質を兼ね備えており、真正面からの攻撃に対しての防御力は高く、横方面の薄い部分は斬撃の攻撃の効果を持っている、攻防一体の力を持つ。
―――――

【ウッスッスス?】
【ウッススススス!!】

 どうやら僕等の接近に気が付いたようで、ウッスゴレームの全員がこちらに迫って来た。
 好戦的な性格を持つようで、一体ずつの強さであればそこまで大したことがないらしいが、それでも集団というのは中々厄介なものになる。

 まぁ、こっちは戦車に乗っているので意味はないのだが。
 相手の硬度よりもこちらの方が上であり、このまま突撃しても倒せるだろう。

 だが、僕らが手を出すよりも先にやるものたちがいた。



「まてまてまてぇぇぇい!!そこのウッスゴーレムドどもよ!!」
「こちら経験値があと少しあれば、色々と道が広がるのだ!!」
「その犠牲のために、糧になってもらいたい!!」
「後何となく、そこの乗物からは何やら女の子の香りもしているからこそ!!」
「「「「良い格好をして助ける姿を見せるために、挑ませてもらおうか!!」」」
【‥‥ウッスゥ?』
「…なんか、聞き覚えのある声が」

 色々と台無し感丸出しというか、欲望を隠す気のない声が飛び出し、その声の咆哮にゴーレムたちも一緒に目を向ける。
 そこには、結構久しぶりに遭遇する姿があった。

「さぁさぁさぁ!!宇宙をその燃えがある情熱で包み込め!!赤色巨星のように大きく真っ赤に、何もかもふっ飛ばせ!!爆発と炎の戦士、レッドのタローン!!」
「ふははははは!!基本星のイメージカラーとしては、これはこれでメジャーな色合い、煌めく夜空の力を借りようぞ、発光と光の戦士、イエローのミートン!!」
「宇宙の海というだけあって、海の色合いと言えばこの青さ!!黒を青に染め直してより明るくしてみよう!!海と水の戦士、ブルーのスッケン!!」
「たまには逆で良いじゃない、この星の色合いはまさに自分の象徴でもあるぞ!!新緑と木の戦士、グリーンのカックウ!!」

「「「「本日1名、結局この星では相性悪くてハウスシステム内に戻って奥さんとラブラブなマッチョンを血涙で見つつ、ここに集合!!悪の組織も何もかも、宇宙で心機一転『新生欲望戦隊ミセタインジャーVファイブ、』、ここにただ今見参だ!!」」」」

 ドォォォン!!っと音を鳴らしつつ、流石に木々で覆われたこの星では火は不味いのか配慮したらしく、爆発は無かった久しぶりの欲望戦隊。
 なにやらリニューアルしたようで、色合いがより鮮やかになった戦隊コスチュームを着こなしており、名乗りもちょっとマシになっている。

「あれ?というか、マッチョンが奥さんとって…あのモンスター、結婚したの!?」

「むぉっ!?あ、ハルさんか」
「わーお、女の子の気配がするから来たけど、ハルさんなら納得だが…」
「…なんか、増えてないか?」
「うぐぐぐ…羨ましい…」

 名乗りの中で出てきた事実にびっくりして声を上げてしまったが、どうやら僕等だってことは分かったらしい。
 何というか、久し振りに見たけれども…あの名乗りの間に、相手にするのは何か面倒な予感を感じ取ったのか、油断しまくっている戦隊へゴーレムたちが駆け寄っていく。

【【【ウッスウスウスーーー!!】】】

「っと、話している場合じゃないよ!!タローン及びミートン一家、迫ってきているぞ!!」
「うおっと、油断して‥‥無いんだよなぁ、これが」
【ウッスゥ!?】

 飛び掛かるような攻撃をしようとウッスゴーレムたちがジャンプした瞬間、ニヤリとタローンが口角を上げる。

 すると次の瞬間、ゴーレムの足元から根っこが飛び出してきた。

【ウゴガァァァァ!!】
【【【ウッスウッスーーーーーー!?】】】

「あ、あれはフォレストデストロイヤー!?なんでここに!?」

 根っこと共に岩石の地下から飛び出してきたその姿に僕らは驚かされた。
 見たことがある木の巨人だが、ガーディアンの方ではない。

 いや、むしろデストロイヤーが出てきたってことはもしかして‥‥‥


「ふはははは!!予想をしなくても、これで分かるはずじゃろう!!今回、マッチョンが早々に居なくなった後に、しっかりとお目付け役として役目を果たすために、来ることになったからのぅ!!」

 ゴーレムたちを蹴散らすデストロイヤーの後頭部がパカット開いたと思えば、そこから見覚えのある姿が出てきた。

「やっぱり‥‥のじゃろり、じゃなくて、鏡面ののじゃロリだった‥ええっと…ゴメン、名前何だっけ?」
「忘れるなぁぁぁ!!何気に戦ったこともあるじゃろうが、しかも今は現実での一国家君主の立場でもあるのじゃぞ!!おっと、名乗りを上げた方が良いんじゃったが…コホン。そびえたつは木々の中、ロリコン共という狂気の中で、まだ何とか扱いやすめのこやつらと過ごし、抑えるすべを学ぼうとしているお目付け役も兼ねた、麗しき桃色、ピンクのアティじゃ!!」
「いや、名乗らなくていいと思うけど…あ、お爺ちゃん及びその他のお目付け役其の2として、本日は一緒に遊んであげている孫のジェリアです。お久しぶりですね」

‥‥‥鏡面ののじゃロリもとい、アティ。
 そして続けて一緒に出てきたのは、普通のプレイヤーの格好をした、何度かすでにあっているミートンさんの孫娘さんだった。

 なんか、久し振りに会う面子ばかりだが‥‥ここまでくると、ミートンさんの奥さんがいないのが気になるところではある。

「あの、ミートンさんの奥さんは?」
「今日は休みです。今回、お目付け役としてチェックしている、こちらのチェック用紙をログアウト後に渡して、その量によって用意するお仕置きの準備をしているんですよ」

 どうやらついに、ミートンたちの自由に、制限がかかり始めたようである。
 膨大な宇宙のフィールドが解放されたというに、彼らの欲望は早くも押さえつけられようとしているのであった……




‥‥‥いや、むしろ対応、遅くないかなと思えるほどでもある。
「そもそも何で、アティが彼らのお目付け役にもなっているんだよ」
「あやつら、一家全員で引っ越してきていてな…ああ見えて意外と仕事はやるもので、扱いがちょっと面倒でのぅ‥‥」

 国家君主の立場にもなった人を、お目付け役にしてしまうとは…どんだけ影響力があるんだろうか、この人たち。



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