アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
220 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-11 やらかすのは、自分だけではないという謎の安心感

しおりを挟む
‥‥‥惑星バルゲストロンのダンジョン、ドストラム。
 鋼の大地と濃硫酸の海があるこの星にあるダンジョンに、出現するモンスターは通常のものとは違うというか、この星ならでは独自の生態系が築き上げられていた。

【ホゲェェェェン!!】
【ガウガウガウガウ!!】

 鋼の毛皮を持った大熊のモンスター『メタルゥベァ』に対して、強烈な蹴りで顎を勝ちあげてふっ飛ばすリン。

【ゲステンバァァァ!!】
【バルルルゥ!!】

 屈強なドリルのような構造になっているモグラのようなモンスター『メタルヘッジ』に対して、セレアの槍が正面からぶつかり、砕いていく。

「ぬぅ、鋼のダンジョンに適応して、更に固い金属体となったモンスターが出現すると聞いていたが、どれもこれも中々強いな」
「とは言え、鋼のような肉体ゆえに弱点も色々とあるっぽいのは幸いか。アリス、そっちの方を溶かせ!!」
【オォォォン!!】

 後方から迫ってきていた鉄の犬『アイアンドッグズ』の群れに対して、アリスが黒い焔を吐き出してあっという間に溶かしきり、僕等に近寄らせないようにする。

「まぁ、ハルさんのテイムモンスターたちの火力が、相手の防御力を突き破るのは良いけど‥‥‥こっちも見せないとね!!猫をテイムしまくって得た、鋼すらスライスする『凶猫乱舞』のスキルを喰らえ!!」
「はははははは!!鋼すら突き通し痺れさせる、メタルロックナビィィトを聞かせいてやるんだぜぇぇぇl!!」

 テイムモンスターたちの活躍の横で、負けじとぽっけねこさんやギターマンさんの攻撃が飛び交い、順調にダンジョンの中を進むことが出来ていた。




「ふぅ、そろそろ一旦休憩するといいべ」
「それもそうねぇ、皆休憩よぉ」

 ダンジョン内を順調に進み、ある程度周囲のモンスターを狩りまくって安全地帯を作り上げ、そこで僕らは一旦休憩をとることにした。
 防御力の高い強めのモンスターが多いとはいえ、それでもここはまだ余裕を取りやすいようで、疲労の色はさほど見えない状態。
 物理攻撃だけではなく特殊な遠距離攻撃が多いからこそ、こちらの体力が削られる前に相手を削っていけるのがどうやら大きいと僕らは分析を行う。

「しかし、この面子ならば鬼畜な方も選択して進めそうなものだけどね」
「いや、油断大敵だと思うべ。おらのマスクド・ポップが道中で『ポップコーンカーニバル』で自爆して助かる場面もあったしな」
「悲しい犠牲だったのだぜ‥‥」

 攻略前線組や、色々無茶苦茶なテイムモンスターが多くそろっているとはいえ、ダンジョンはしっかりと僕らに牙をむいているらしい。
 途中でこちらの攻撃力が通用しないほどの固い敵が出たので引き返すべきかと思っていたのだが、そこでグランプさんのテイムモンスターが身を挺して相手を道連れにして倒してしまったのである。

 なお、犠牲になってはいるのだが、どうやらモンスター独自の特殊なスキルで爆発したらしく、時間が経てばまた復活するらしい。
 威力もかなり高いのだが、その代償に復活までの蘇生行動はできないそうで、しっかりと爆発しまくって進むようなことをさせないような対策も施されていたようだ。‥‥‥そこまでドカンドカンやる外道がこの場にいないので、そんな選択をすることはないけれどね。


 とにもかくにも、このペースは中々順調なようで、問題は今のところ起きてはいない。
 前衛は基本的にリンやセレア、グランプさんが請け負い、中衛としてぽっけねこさんやギターマン、アリスやルトが行う。
 後衛としてはサポートとしてオハナさんやマリー、ネアがバフや状態異常をかけまくり、僕やコユキが指示や雪兵で更に後方からの敵を埋め直したりする。
 あっちこっちお互いにバランスを取り合いつつ、中々良い状態になっているだろう。
 なお、ロロやその他使用人などは、こちらは船の方に待機状態となっていた。元々戦闘サポートも可能と言えば可能だが、流石にもぬけのからにしておいたら面倒なことにもなりかねないので、留守番が必要だったのである。グレイ号の場合、マリーンズとかもいるし、船自体も何やら意志みたいなのがあるらしいので、そう容易く盗まれるとか言う事態はないだろう。
 このダンジョンとも、中々全体の愛称が良いのもあるみたいだけどね。炎や電撃などは金属隊のモンスターになかなか効果的らしく、幸運に恵まれているかなと思えていた時だった。



―――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「ん?」
「なんだなんだ?」

 休憩を終え、此処からはまた改めて気を引き締め、先へ進もうとしていたところで何か地響きのような音が聞えて来た。 
 地震でも起きたのかと思ったが、この鋼の大地を持つ惑星にそんなものがあるのかと疑問に思う。

 取りあえず何があっても良い様に全員で周囲を警戒した…‥‥次の瞬間、


ボゴンッ!!
「「「「へ?」」」」
【【【【?】】】】

 突然抜けるような音が聞こえたかと思えば、気が付くと足元の感覚が失われていた。
 何が起きたのか下を確認し、原因を悟った。


‥‥‥何故か、床が一気に抜け落ち、足場が無くなったらしい。
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「ぎゃあああああああ!!」
「落ちるぅわぁぁぁ!!」
「どうしようもないべぇぇl!?」

 そのまま見事に全員、失われた足場によって下へ下へと落下していくのであった…‥‥


 


しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

処理中です...