アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.0-7 広いからこそ、迷いやすくもあり

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‥‥‥アルケディア・オンラインはサービス当初、基本的に横の移動が多かった。
 それがいつしか水の中も行き来できるようになり、空にも飛び立ち地の底にも潜り、縦横斜め縦横無尽に進めるようになった。
 つまりそれだけ、動ける範囲が広がったという事なのだが、逆に広まれば広まるほど、どう向かえば良いのか分からなくなる者も出てきやすくなったのだ。


「そして今、儂らは見事に遭難したのかもしれぬ」
「へぇ、そうなんだ、というギャグを出してもシャレにならない事態なんだよなぁ‥」
「悲しい、どうしてこうなったのか問いただしたい」
「我々はただ、宇宙という更に広く夢を見られる場所へ来たというのに」
「「「「より一層、素敵な女性との出会いを夢見たというのに…‥‥」」」」

【‥‥‥原因、ハッキリシスギデハナイノダロウカ】

 タローンミートンカックウスッケンの新たに細部が変わった呪われた戦隊服を着ている者たち変態共の言葉に対して、新しい色合いとして宇宙色の衣服を着たマッチョンがそう口にした。



 欲望戦隊、欲望五人衆、欲望無職と変遷してきた彼らは今、ついに宇宙進出という事で改めて「特殊宇宙戦隊ミセタインジャーBOM」として心機一転して宇宙の海に飛び込もうと、まずはこのアルケディア・オンラインの世界にある月の都市へ向かおうとしていた。
 だがしかし、何の因果なのかそれとも宇宙その物が変態の入国拒否を起こしたのか、フィールドで地上と月をつなぐ宇宙空港でまずは足止めを喰らう羽目になった。

 理由としては一時期悪の組織に入っていた経歴があるため問題ありとされ、何とか今は組織も潰れて無職になりつつ、新しくやり直し始めたという説明をしてやり過ごし、何とか宇宙空港の月行きの宇宙船に乗ることはできた。
 しかしながら、そこで不幸は終わらず、宇宙での新しいイベントなのか宇宙海賊の襲撃に宇宙船が襲われ、彼らは一応変態もとい戦隊であり、そこそこの強さも保持していたので撃退しようとしたのだが‥‥‥うっかりミスをしてしまい、囚われたのである。

 でも、そこでただで転ばぬのがこの悪運の強いやつらの悪いような良いような強みであり、なんとか脱出して宇宙海賊たちの乗る宇宙船の救命宇宙船を強奪して出てきたのだ。




「だが、そこで運の尽きだったか…‥‥まさか、逃げ出せたが、整備不良で故障して動けなくなるとはな」
「最悪すぎるでしょ!!どこまで我々の宇宙進出を留める気なんだぁぁぁぁぁぁ!!」

【日頃ノ行イトイウモノデハ?】
【ピュルゥ】

 叫び悶える変態共に対して、この中で唯一の常識人枠に入っている彼らのテイムモンスターでもあるオークのマッチョン‥‥‥宇宙が解放されると同時に新たに『スペース・ロードオーク』となった彼の言葉に同意するかのように、こちらも宇宙開放で進化した番の『サテライト・アルラウネ』の『ジェリア』が同意するように頷く。

 なお、ジェリアは欲望戦隊の男どものテイムモンスターではない。
 元々は戦隊の中のミートンの孫娘がテイムしていたのだが、長い時間を掛けてマッチョンと愛し合うようになり、この度番になることが決定した。
 そうなると、別々に行動するのは可哀想かなという事で、割と初期のころからあった譲渡機能を利用し‥‥‥この度、永遠の空白になるかと思われていた戦隊のピンク色として加入した彼女に、譲渡されたのだ。

 そのおかげで一緒になる事が出来たのだが‥‥‥それでも、この光景を毎度見ていたのかと思うと、愛しいマッチョンへ物凄く同情をしてしまう。

「いや、同情している暇があればまずはこ奴ら沈めるのが先じゃろ」
【ソレモソウカ。我ガ主タチニ刃ヲムケルノハキガススマヌガ‥道ヲ開クタメニオ許シクダサイ】
【ピュルゥ、ルゥ】
「本当になんで、こんな忠義心のある奴が仕えているんじゃろうなぁ‥‥‥」

 そのつぶやきも、もっともであると、彼らを知る者たちが聞いたら同意するであろう。

 とにもかくにも、一時的に場を静め、ゆっくりと今後の対応について話し合いを始めるのであった‥‥‥






 そして宇宙のどこかで、無理やりなんとか国家権力なども使って救援を求める者たちがいる丁度その頃。

 別の場所では、これまた挑む者がいた。

「‥‥‥‥良し、帝国の最先端技術を奪うような形になったのは仕方がないが‥‥‥それでも、性能的には良かったというべきだろうか」

 ブシュウゥゥッと、一旦落ち着くためにエンジンを一時的に切り、彼はそうつぶやく。

【ギェゲェェェ!!】
【ガルベェェェ!!】
「わかっている。わざわざ合体機能のある機体を奪ったはいいけど、目的地がないとすぐに追いつかれる可能性があるってことだろう。その事に関して問題はない」

 各コックピットから聞こえる、自身も喰らっている植物と同じテイムモンスターたちをなだめつつ、事前に入手しておいた宇宙地図を広げた。

「さっきまではこの位置だったが、ココから先、星々を渡れば隠れられそうな星があることが分かっている。当分の間、ココを目指せばいいだろう」

 目的地があるのは良いのだが、そこに向かうまでの足が最近までは無かった。
 だがしかし、宇宙進出が可能になった今、結果としてそれに対応するための技術が周囲で急速に進み、向かうための足を今手に入れることが出来たのである。

「これで。今度こそあの狂暴凶悪最強最凶最悪災厄な姉から、逃れられるはずだ…‥‥ここからは慎重にかつ大胆に、一気に進む必要がある!!突破力のある高速形態へ切り替えて、向かうぞぉぉぉ!!」

 地の底から出るような呪詛を吐き出しつつ、そう叫ぶ男‥‥‥中三病。
 彼は今、宇宙という広大な場所で、砂漠に落ちたコンタクトレンズのようになろうと必死にあがき始めるのであった…‥‥

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