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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~
ver.3.2-71 無くて助かり、無くて助からず
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「…‥‥休日に久しぶりに来たと思えば、これまたどういう進化の仕方をさせてこうなったんだ。トーカ」
「そんなこと言われても、私だってわかんないよー!!お兄ちゃんこそ、あの雪の結晶みたいだった子が、何でびっしり雪軍人女性になっているのさ!!」
「うん、こっちもこっちで分からんな」
お互いにテイムモンスターたちの成長ぶりを見てツッコミをいれ、溜息を吐き合う。
本日は休日であり、久し振りに妹の冬華が一緒に遊ぼうという事でログインしたわけなのだが…‥‥トーカとしてクラウンギルドに勤めていた妹は今、テイムモンスターたちがおかしな方向に進化していた。
コユキとほぼ同時期に妹がテイムしたメーちゃんとジラゴン‥‥‥鉄の小象とミニゴジラと言って良いようなモンスターたちではあったが、久し振りに会って見ればかなり姿が変わっていたのである。
【パフォォォォォォォン!!】
【オンギャァァァァァァス!!】
「進化して、『ホイップエレファント』と『ゴジリーナ』か‥‥‥確かに、なんとか可愛い方向性に持っていこうとした苦労がうかがえるが、ツッコミどころしかない」
―――――
『ホイップエレファント』
全身から甘いにおいを漂わせる、真っ白な象のモンスター。
ホイップのように柔らかい身体を持つが防御力がないわけではなく、普通の打撃程度ならばぼよよんっとはじき返すほどの弾力を持っている。
『ゴジリーナ』
ゴジラ頭にバレエダンサーの体が悪魔合体したかのような姿を持つモンスター。
華麗なバレエを披露して、踊りながら敵を蹴り上げて攻撃することが可能である。
特に得意なものとしてスキルにまで昇華した『白鳥の舞』というものがあり、舞い踊れば周囲になぜか白鳥の羽がひらひらと落ちてきて、味方全体の素早さが倍増する効果を持つ。
―――――
前者はまだ良いだろう。真っ白な象というのは理解を示しやすい。
だがしかし、後者がどう見ても見た目があかん。ピッチピチのスーツも何故か来ており、目に見える謎の暴力の塊としか言いようがない。
「私だって頑張って可愛く育てようとしたんだって!!でもなぜかこうなったのよー!!」
心の底からそう叫ぶ妹に、僕はものすごく同情する。
思いもよらぬ方向に進化してしまうのは、ココの運営の意地悪さが目に見えているからな…‥‥でも、少々見た目がヤヴァイ奴にしか見えないモンスターでも、手放す気はないらしい。
まだまだこれが最後の進化ではなく、最終的に僕の方のテイムモンスターたちみたいな華やかな姿になる事を夢見ているのもあるし、ここまで努力して育てからこそ嘆きはするが愛着もあるようなのだ。
【‥‥‥その代わり、犠牲になっているやつもいるんだゼ】
【---(声を出さぬ爆笑&笑いすぎてお腹が痛くなって動けない)】
「うん、こっちはこっちでどうなんだろうなぁ‥‥‥」
可愛く育てるための実験として、使用人ゆえに逆らうことなくなすがまま命令を受け入れたのだろうが‥‥‥執事のシーサーよ、男としては心の底から同情するよ、その恰好。そしてロロ、彼女が死にかけているレベルでびくびくと笑い悶えまっているのは珍しいと思うけど、無理はないのだろう。笑いよりも同情しかないし、彼の尊厳を考え、どういう姿になっているのか口には出さないけどね。
とにもかくにも、久し振りに妹が一緒に遊ぼうという事でログインして合流したが、このテイムモンスターたちの成長ぶりを見せあうだけなことはない。
「それでお兄ちゃん、これが話をしていたプチワームだったモンスターなの?」
「ああ、そうだよ。先日ついに繭になって、今羽化待ち中なんだよ」
巨大な芋虫に成長していたネアだったが、つい先日繭を作り、現在内部で着々と進化のために眠っているようである。
正直言って、最終的に某壁を越えた巨人レベルな繭になるとは思わなかったけどね…‥‥そのおかげでハウスシステム内に収まり切らない気がしたので安全な場所を考え、カイザーシルクワームさんに相談して、現在エルフたちが住まう大樹の森の一角、のじゃロリの拠点の祠近くに身を寄せているのであった。
「ここまで大きく育てるって、何を与えたのお兄ちゃん?友達がお兄ちゃんと同じようにワームを育てて糸を狙っていたけど、このサイズは無かったよ?」
「そうなのか」
「うん。皆普通の糸だったりナマコの糸だったり、金属、岩などで出来た糸で繭を作っていたけど、こんなのは無かったなぁ」
やはりというか、あの餌が元凶ではなかろうか。世界樹の粉末という怪しいものを、与えるべきではなかったのだろうか。
でも、ぐんぐんと元気に成長したので一概に悪いともいえないし‥‥‥ここまでのサイズが予想外とは言え、それでも無事に成長してくれたのは喜ぶべきなのかもしれない。
なお、繭から糸を取るとなると、蚕と同じような取り方をイメージするのだが、プチワームが進化して様々な種類のものになる前に得られるこの繭は、羽化したら無事に糸の塊にドロップするそうなので、無理に取る必要はないのだとか。
ただ、何の糸で出来ているのかは不明であり‥‥‥こればかりはドロップ後に詳細を確認するしかないだろう。なんか糸の色が見る場所によって違って見えるし、何で出来ているのか見当がつかない。
どう考えても不思議な繭になったが、おかしなものではないと思いたい。
「ちなみに、カイザーシルクワームさんに聞いたら、このサイズのまま羽化か逆に圧縮しての羽化になるって言われたなぁ」
「出来れば後者の方が良さそうかも。大きいと、大変そうだよ」
というか、このサイズで羽化したらレイドボスと言われても否定できない。
しかもシャレにならないような話なども出ているようで、最後まで安心はできないのもあるのだ。
プチワームを成長させ、後は糸を貰って手助けしてくれるようになってくれるのは良いだろう。
だが、そのことで良からぬことを企む奴はどこにでもいたようで、好物さえあれば食べてくれる習性を悪用してかなりえげつない薬物じみた餌を与え、異常な量の糸を狙ったやつがいたらしい。
しかし、そんな邪な心も利用するのか、はたまたはこれはこれで警告というべきなのか、そいつが育てたのは羽化後に突然巨大化して暴れ出し、レイドボス『巨大毒蛾ギガスモン』として出てきたという話があるのだ。
そんなぶっ飛んだ出来事があったのは、幸いにもどこかの孤島だったようで人的被害はなかったそうだが、その様子をたまたま船上から撮影していたプレイヤーがいたようで動画が拡散し、ワームの育成にはきちんとしたしっぺ返しなどもあると分かって、無理を強いる様なことをやる奴はいなくなったそうだ。
でもなぁ、このアルケディア・オンラインの初期のころ、テイムモンスターが実装された時にやらかした奴らの例があったから、そんなことをしたらどうなるのか分からなかったのだろうか?VRMMOとは言え、それでもしっかりとこの世界にいる彼らは生きており、気持ちを思うことはできなかったのか。
「残念だけど、そういう人が出るのは仕方がない事かも。いくら悪い例が前に会っても、いずれは自分なら大丈夫と思う人が出るからね」
「難しいというか、多種多様な人がいるからこそ起こる悲劇とも言えるか…‥‥」
厳しい天罰のようなものがあったとしても、喉元過ぎれば熱さを忘れるというのか、どうしようもない輩が出てしまうのは悲しいものだ。
とは言え、僕らに同行できる話でもないから、考えない方が良いかもね。
とにもかくにも妹と共に、この巨大な繭から何が羽化するのか、楽しく談笑していた…‥‥その時だった。
ペポン♪
「ん?メールか」
「誰からなの?」」
「えーっと、中三病さんからか…‥‥これは」
「ん?」
ふと、中三病さんから珍しく連絡があり、写真が同封されていたので確認して、その画像を見て僕は驚いた。
そこに映っていたのは、鏡面ののじゃロリ‥‥‥現実へ逃げて行方不明だったNPCなのだから。
ただ、なぜ一緒にいるとか言う疑問よりも、その状態を見てすぐに僕らは動くことになる。
何故ならば、彼女の姿が‥‥‥全身が、鏡に何かぶつけた時のように、ひび割れていたのだから…‥‥
「そんなこと言われても、私だってわかんないよー!!お兄ちゃんこそ、あの雪の結晶みたいだった子が、何でびっしり雪軍人女性になっているのさ!!」
「うん、こっちもこっちで分からんな」
お互いにテイムモンスターたちの成長ぶりを見てツッコミをいれ、溜息を吐き合う。
本日は休日であり、久し振りに妹の冬華が一緒に遊ぼうという事でログインしたわけなのだが…‥‥トーカとしてクラウンギルドに勤めていた妹は今、テイムモンスターたちがおかしな方向に進化していた。
コユキとほぼ同時期に妹がテイムしたメーちゃんとジラゴン‥‥‥鉄の小象とミニゴジラと言って良いようなモンスターたちではあったが、久し振りに会って見ればかなり姿が変わっていたのである。
【パフォォォォォォォン!!】
【オンギャァァァァァァス!!】
「進化して、『ホイップエレファント』と『ゴジリーナ』か‥‥‥確かに、なんとか可愛い方向性に持っていこうとした苦労がうかがえるが、ツッコミどころしかない」
―――――
『ホイップエレファント』
全身から甘いにおいを漂わせる、真っ白な象のモンスター。
ホイップのように柔らかい身体を持つが防御力がないわけではなく、普通の打撃程度ならばぼよよんっとはじき返すほどの弾力を持っている。
『ゴジリーナ』
ゴジラ頭にバレエダンサーの体が悪魔合体したかのような姿を持つモンスター。
華麗なバレエを披露して、踊りながら敵を蹴り上げて攻撃することが可能である。
特に得意なものとしてスキルにまで昇華した『白鳥の舞』というものがあり、舞い踊れば周囲になぜか白鳥の羽がひらひらと落ちてきて、味方全体の素早さが倍増する効果を持つ。
―――――
前者はまだ良いだろう。真っ白な象というのは理解を示しやすい。
だがしかし、後者がどう見ても見た目があかん。ピッチピチのスーツも何故か来ており、目に見える謎の暴力の塊としか言いようがない。
「私だって頑張って可愛く育てようとしたんだって!!でもなぜかこうなったのよー!!」
心の底からそう叫ぶ妹に、僕はものすごく同情する。
思いもよらぬ方向に進化してしまうのは、ココの運営の意地悪さが目に見えているからな…‥‥でも、少々見た目がヤヴァイ奴にしか見えないモンスターでも、手放す気はないらしい。
まだまだこれが最後の進化ではなく、最終的に僕の方のテイムモンスターたちみたいな華やかな姿になる事を夢見ているのもあるし、ここまで努力して育てからこそ嘆きはするが愛着もあるようなのだ。
【‥‥‥その代わり、犠牲になっているやつもいるんだゼ】
【---(声を出さぬ爆笑&笑いすぎてお腹が痛くなって動けない)】
「うん、こっちはこっちでどうなんだろうなぁ‥‥‥」
可愛く育てるための実験として、使用人ゆえに逆らうことなくなすがまま命令を受け入れたのだろうが‥‥‥執事のシーサーよ、男としては心の底から同情するよ、その恰好。そしてロロ、彼女が死にかけているレベルでびくびくと笑い悶えまっているのは珍しいと思うけど、無理はないのだろう。笑いよりも同情しかないし、彼の尊厳を考え、どういう姿になっているのか口には出さないけどね。
とにもかくにも、久し振りに妹が一緒に遊ぼうという事でログインして合流したが、このテイムモンスターたちの成長ぶりを見せあうだけなことはない。
「それでお兄ちゃん、これが話をしていたプチワームだったモンスターなの?」
「ああ、そうだよ。先日ついに繭になって、今羽化待ち中なんだよ」
巨大な芋虫に成長していたネアだったが、つい先日繭を作り、現在内部で着々と進化のために眠っているようである。
正直言って、最終的に某壁を越えた巨人レベルな繭になるとは思わなかったけどね…‥‥そのおかげでハウスシステム内に収まり切らない気がしたので安全な場所を考え、カイザーシルクワームさんに相談して、現在エルフたちが住まう大樹の森の一角、のじゃロリの拠点の祠近くに身を寄せているのであった。
「ここまで大きく育てるって、何を与えたのお兄ちゃん?友達がお兄ちゃんと同じようにワームを育てて糸を狙っていたけど、このサイズは無かったよ?」
「そうなのか」
「うん。皆普通の糸だったりナマコの糸だったり、金属、岩などで出来た糸で繭を作っていたけど、こんなのは無かったなぁ」
やはりというか、あの餌が元凶ではなかろうか。世界樹の粉末という怪しいものを、与えるべきではなかったのだろうか。
でも、ぐんぐんと元気に成長したので一概に悪いともいえないし‥‥‥ここまでのサイズが予想外とは言え、それでも無事に成長してくれたのは喜ぶべきなのかもしれない。
なお、繭から糸を取るとなると、蚕と同じような取り方をイメージするのだが、プチワームが進化して様々な種類のものになる前に得られるこの繭は、羽化したら無事に糸の塊にドロップするそうなので、無理に取る必要はないのだとか。
ただ、何の糸で出来ているのかは不明であり‥‥‥こればかりはドロップ後に詳細を確認するしかないだろう。なんか糸の色が見る場所によって違って見えるし、何で出来ているのか見当がつかない。
どう考えても不思議な繭になったが、おかしなものではないと思いたい。
「ちなみに、カイザーシルクワームさんに聞いたら、このサイズのまま羽化か逆に圧縮しての羽化になるって言われたなぁ」
「出来れば後者の方が良さそうかも。大きいと、大変そうだよ」
というか、このサイズで羽化したらレイドボスと言われても否定できない。
しかもシャレにならないような話なども出ているようで、最後まで安心はできないのもあるのだ。
プチワームを成長させ、後は糸を貰って手助けしてくれるようになってくれるのは良いだろう。
だが、そのことで良からぬことを企む奴はどこにでもいたようで、好物さえあれば食べてくれる習性を悪用してかなりえげつない薬物じみた餌を与え、異常な量の糸を狙ったやつがいたらしい。
しかし、そんな邪な心も利用するのか、はたまたはこれはこれで警告というべきなのか、そいつが育てたのは羽化後に突然巨大化して暴れ出し、レイドボス『巨大毒蛾ギガスモン』として出てきたという話があるのだ。
そんなぶっ飛んだ出来事があったのは、幸いにもどこかの孤島だったようで人的被害はなかったそうだが、その様子をたまたま船上から撮影していたプレイヤーがいたようで動画が拡散し、ワームの育成にはきちんとしたしっぺ返しなどもあると分かって、無理を強いる様なことをやる奴はいなくなったそうだ。
でもなぁ、このアルケディア・オンラインの初期のころ、テイムモンスターが実装された時にやらかした奴らの例があったから、そんなことをしたらどうなるのか分からなかったのだろうか?VRMMOとは言え、それでもしっかりとこの世界にいる彼らは生きており、気持ちを思うことはできなかったのか。
「残念だけど、そういう人が出るのは仕方がない事かも。いくら悪い例が前に会っても、いずれは自分なら大丈夫と思う人が出るからね」
「難しいというか、多種多様な人がいるからこそ起こる悲劇とも言えるか…‥‥」
厳しい天罰のようなものがあったとしても、喉元過ぎれば熱さを忘れるというのか、どうしようもない輩が出てしまうのは悲しいものだ。
とは言え、僕らに同行できる話でもないから、考えない方が良いかもね。
とにもかくにも妹と共に、この巨大な繭から何が羽化するのか、楽しく談笑していた…‥‥その時だった。
ペポン♪
「ん?メールか」
「誰からなの?」」
「えーっと、中三病さんからか…‥‥これは」
「ん?」
ふと、中三病さんから珍しく連絡があり、写真が同封されていたので確認して、その画像を見て僕は驚いた。
そこに映っていたのは、鏡面ののじゃロリ‥‥‥現実へ逃げて行方不明だったNPCなのだから。
ただ、なぜ一緒にいるとか言う疑問よりも、その状態を見てすぐに僕らは動くことになる。
何故ならば、彼女の姿が‥‥‥全身が、鏡に何かぶつけた時のように、ひび割れていたのだから…‥‥
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