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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~
ver.3.2-69 すくすく育てと、誰もが願うことはあるのだが
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【ピー♪】
むしゃむしゃと音を立て、美味しそうに世界樹の粉末がかかった葉っぱを食べるプチワームだったネア。
か細い鳴き声も育って来たらだんだん大きくなり、今はしっかりと聞こえるようになったのは良い事だろう。虫らしい鳴き声というか、もうちょっと高い音なら鳥っぽくも思える鳴き声である。
「でもまぁ、すくすく育ってよかったなぁ。糸を吐くまでもうちょっとだし、無事に大きくなってくれて良かったかもしれない」
【オォン‥‥‥】
【ユッキィ‥‥‥】
「いや、分かっているよアリス、コユキ。結構目をそらして考えないように、元気に育っている事だけに目を向けているだけだからね」
呆れたような声を出す二人に対して、僕はそう言葉にする。
本当に大きく育ってくれたことだけに目を向けて喜びたいのだが‥‥‥うん、ちょっとばかり大きくなりすぎたようだ。
「それで、カイザーシルクワームさん何か釈明はありますか?」
【流石にここまでのサイズになるのは、予想外ですけれども、きちんと安全性は確保してましたカ?】
【しているんだが!?というかここまで巨大に育つのは流石にこちらとしても予想外なんだぞ!!】
【ギャベィ?】
【シャゲェ?】
そしてそんな現実を作り上げた原因に対して、僕等は今少々お話を聞きに来ているのであった。そう、原因となった世界樹の粉末を作り上げたカイザーシルクワームさんをしっかりマリーとルトがそれぞれ巻き付いて逃さないように拘束してである。
「サイズはおよそ15~17メートル級、どこかで大進撃をしそうな巨人と言って良いレベルにまで育っているんだけど、どうしてこうなったのかな?」
【説明できるかぁ!!今まで何体の同族で確認したが、成長後に美しい羽根色になったりしたぐらいで、サイズ変更までは分かってないんだぁぁぁ!!】
ぎっちぎちに拘束された状態で、そう叫ぶカイザーシルクワームさん。
どうやらまったく意図していない事態のようだが…‥‥それならそれで、どうしてネアが超巨大なワームになってしまったのだろうか。
種族を見ると前は『プチワーム』だったのだが、この手の虫のモンスターは進化が少し特殊なようで、成長した時のログが表示されておらず、改めて確認すると『ギガントワーム』に変わっていたのである。
―――――
『ギガントワーム』
大体2階建ての一軒家ぐらいのサイズになった、巨大な虫のモンスター。
縮尺率を間違えて拡大したかのようなサイズであり、リアルすぎる造形ではなくどこかゆるっとしたゆるキャラ風な容貌になっているのだが、巨大なことには変わりない。
大きくなりすぎたので素早い動きはできなくなっているのだが、丸くなっての体当たり攻撃など、質量を活かしての攻撃が非常に脅威になる。
―――――
幸い、ネア自身は活発に動くようなものでもなく、大暴れをするようなことはない。
精々ここに来る道中で襲ってきたモンスターたちを体当たりで空の彼方にふっ飛ばしたり、植物のモンスターをぱくっと丸のみにしてドロップアイテムすらも捕食してしまうほどの、重戦車というべき様なとんでも質量物体に成り果てたぐらいだろう。
‥‥‥いや、それでも十分凄まじいけれどね。美しい人のような姿をもつようになったマリーたちに比べると、まだ許容範囲になっているのである。むしろこれを超えるのならば、50メートル級の超大型にでも成長した時ぐらいであろうか。
それはそれで感覚がおかしくなっているような気がするのはさておき、何故ここまで巨大化してしまったのだろうか?
【ううむ、一応聞くのだが、粉末をかけたもの以外は食していないのだよな?】
「はい。きちんと用法を守って適量で与えているので、食べ過ぎってこともないんですよね」
知らぬようなので拘束を取り、改めてカイザーシルクワームさんと話をして原因を探り始める。
【ふむ…‥‥そうなると単純に、粉末と相性が良すぎたのかもしれぬ。栄養吸収からの成長の糧にするまでの効率が向上したのだろう】
考えられるのは、餌との相性が良すぎたが故の巨大化。
太ったと受け止められそうだが違うようで、成長に必要な分をより多くとってしまい、どんどんそのリソースを費やした結果今に至るらしい。
【だが、ここまで巨大になったとは言え、成虫になったときに同じサイズとは限らぬな】
「そうなんですか?」
【ああ、我々虫のモンスターは、ある程度予想外な変化をするようにされているのだ】
NPCに近いような虫のモンスターだからこそ少々メタイ話にもなるのだが、プログラムに運営から遊び要素的なものが仕掛けられているらしい。
ゆえに、超巨大に育っても成虫になったら超小さいものになっていたり、硬い身体になっていたと思ったらスライムのようになっていたりなど、どういう成長をするのか予測しづらくなっているそうだ。
【通常の虫のモンスターとは異なり、進化時の選択もプレイヤーが選択するのではなく、我々が自らの意思で選択することもあるのだ。分かりやすくいうならば、カブトムシになるんじゃなくてクワガタになりたいと思えば、そうなることはできるのである】
「いや、分かりやすくないような微妙過ぎる例えなんだけど」
とにもかくにも、この状態は何か心身に異常が出ているわけでもなく、単純にすごく成長しただけの健康な状態であることに変わりないらしい。
むしろ巨大化するほどの成長の勢いゆえに病気などの心配もなく、このまま無事に成虫になれることは確実のようだ。
【繭を作り、内部でさなぎになって羽化をする‥‥この様子ならば、あと数時間もしないうちに変わるだろう。大きく育ち、後はどうなるかはこの者次第だ】
【それって、自分が分からないから、何となくそうなるんだろうなぁとカッコつけて言っているだけですよネ】
【‥‥‥】
ロロの指摘に対して、黙り込んだ。どうやら図星だったようだ。
【ピー?】
「ああ、ネアは疑問に思わなくてもいいよ。異常がない事だけが分かったし、きちんと育ってくれてよかったからね」
でも、どういう風に育つのかがすごい気になる。
このサイズで成虫になると、なんか某怪獣映画の巨大蛾になるんじゃないかな‥‥‥リアルモ〇ラってどうなのか。それはそれで、背中に乗って優雅に大空を楽しめそうなのでいいけれどね。
あるいはここから小さくなって、綺麗な蝶のような姿になるのか‥‥‥それはもう、ネア次第だろう。
「大きく育つのは良いけど、後先考えて成虫になれよー」
【ピ♪】
うんうんと頷き返答するネア。
良い子に育ってくれたようではあったが、やはりその行き着く先先がどうなるのか不明であり、少々不安を抱えることになるのであった…‥‥
‥‥‥なおこの後、アルスさんたちにネアの現状をスクリーンショットで伝えたら驚かれていた。
『すごいサイズになっているんだけど!?何をどうしてこうなったの!?こっちのアルガリオみたいになっているよ!!』
何やら同じような例がすでにあったようで、そちらのほうも見せてもらうと確かに同じように見えた。
「うわぁ、超巨大なアクティオンゾウカブトみたいなやつだ」
【重戦車巨大甲虫モンスター『ブラックタンクビートル』のようデス。巨大な虫のボスモンスターから極稀に出ると言われる卵から育てたのでしょウ】
これはこれで、ちょっと少年心がくすぐられるかもしれない。というか、こっちのほうが良かったかも。
むしゃむしゃと音を立て、美味しそうに世界樹の粉末がかかった葉っぱを食べるプチワームだったネア。
か細い鳴き声も育って来たらだんだん大きくなり、今はしっかりと聞こえるようになったのは良い事だろう。虫らしい鳴き声というか、もうちょっと高い音なら鳥っぽくも思える鳴き声である。
「でもまぁ、すくすく育ってよかったなぁ。糸を吐くまでもうちょっとだし、無事に大きくなってくれて良かったかもしれない」
【オォン‥‥‥】
【ユッキィ‥‥‥】
「いや、分かっているよアリス、コユキ。結構目をそらして考えないように、元気に育っている事だけに目を向けているだけだからね」
呆れたような声を出す二人に対して、僕はそう言葉にする。
本当に大きく育ってくれたことだけに目を向けて喜びたいのだが‥‥‥うん、ちょっとばかり大きくなりすぎたようだ。
「それで、カイザーシルクワームさん何か釈明はありますか?」
【流石にここまでのサイズになるのは、予想外ですけれども、きちんと安全性は確保してましたカ?】
【しているんだが!?というかここまで巨大に育つのは流石にこちらとしても予想外なんだぞ!!】
【ギャベィ?】
【シャゲェ?】
そしてそんな現実を作り上げた原因に対して、僕等は今少々お話を聞きに来ているのであった。そう、原因となった世界樹の粉末を作り上げたカイザーシルクワームさんをしっかりマリーとルトがそれぞれ巻き付いて逃さないように拘束してである。
「サイズはおよそ15~17メートル級、どこかで大進撃をしそうな巨人と言って良いレベルにまで育っているんだけど、どうしてこうなったのかな?」
【説明できるかぁ!!今まで何体の同族で確認したが、成長後に美しい羽根色になったりしたぐらいで、サイズ変更までは分かってないんだぁぁぁ!!】
ぎっちぎちに拘束された状態で、そう叫ぶカイザーシルクワームさん。
どうやらまったく意図していない事態のようだが…‥‥それならそれで、どうしてネアが超巨大なワームになってしまったのだろうか。
種族を見ると前は『プチワーム』だったのだが、この手の虫のモンスターは進化が少し特殊なようで、成長した時のログが表示されておらず、改めて確認すると『ギガントワーム』に変わっていたのである。
―――――
『ギガントワーム』
大体2階建ての一軒家ぐらいのサイズになった、巨大な虫のモンスター。
縮尺率を間違えて拡大したかのようなサイズであり、リアルすぎる造形ではなくどこかゆるっとしたゆるキャラ風な容貌になっているのだが、巨大なことには変わりない。
大きくなりすぎたので素早い動きはできなくなっているのだが、丸くなっての体当たり攻撃など、質量を活かしての攻撃が非常に脅威になる。
―――――
幸い、ネア自身は活発に動くようなものでもなく、大暴れをするようなことはない。
精々ここに来る道中で襲ってきたモンスターたちを体当たりで空の彼方にふっ飛ばしたり、植物のモンスターをぱくっと丸のみにしてドロップアイテムすらも捕食してしまうほどの、重戦車というべき様なとんでも質量物体に成り果てたぐらいだろう。
‥‥‥いや、それでも十分凄まじいけれどね。美しい人のような姿をもつようになったマリーたちに比べると、まだ許容範囲になっているのである。むしろこれを超えるのならば、50メートル級の超大型にでも成長した時ぐらいであろうか。
それはそれで感覚がおかしくなっているような気がするのはさておき、何故ここまで巨大化してしまったのだろうか?
【ううむ、一応聞くのだが、粉末をかけたもの以外は食していないのだよな?】
「はい。きちんと用法を守って適量で与えているので、食べ過ぎってこともないんですよね」
知らぬようなので拘束を取り、改めてカイザーシルクワームさんと話をして原因を探り始める。
【ふむ…‥‥そうなると単純に、粉末と相性が良すぎたのかもしれぬ。栄養吸収からの成長の糧にするまでの効率が向上したのだろう】
考えられるのは、餌との相性が良すぎたが故の巨大化。
太ったと受け止められそうだが違うようで、成長に必要な分をより多くとってしまい、どんどんそのリソースを費やした結果今に至るらしい。
【だが、ここまで巨大になったとは言え、成虫になったときに同じサイズとは限らぬな】
「そうなんですか?」
【ああ、我々虫のモンスターは、ある程度予想外な変化をするようにされているのだ】
NPCに近いような虫のモンスターだからこそ少々メタイ話にもなるのだが、プログラムに運営から遊び要素的なものが仕掛けられているらしい。
ゆえに、超巨大に育っても成虫になったら超小さいものになっていたり、硬い身体になっていたと思ったらスライムのようになっていたりなど、どういう成長をするのか予測しづらくなっているそうだ。
【通常の虫のモンスターとは異なり、進化時の選択もプレイヤーが選択するのではなく、我々が自らの意思で選択することもあるのだ。分かりやすくいうならば、カブトムシになるんじゃなくてクワガタになりたいと思えば、そうなることはできるのである】
「いや、分かりやすくないような微妙過ぎる例えなんだけど」
とにもかくにも、この状態は何か心身に異常が出ているわけでもなく、単純にすごく成長しただけの健康な状態であることに変わりないらしい。
むしろ巨大化するほどの成長の勢いゆえに病気などの心配もなく、このまま無事に成虫になれることは確実のようだ。
【繭を作り、内部でさなぎになって羽化をする‥‥この様子ならば、あと数時間もしないうちに変わるだろう。大きく育ち、後はどうなるかはこの者次第だ】
【それって、自分が分からないから、何となくそうなるんだろうなぁとカッコつけて言っているだけですよネ】
【‥‥‥】
ロロの指摘に対して、黙り込んだ。どうやら図星だったようだ。
【ピー?】
「ああ、ネアは疑問に思わなくてもいいよ。異常がない事だけが分かったし、きちんと育ってくれてよかったからね」
でも、どういう風に育つのかがすごい気になる。
このサイズで成虫になると、なんか某怪獣映画の巨大蛾になるんじゃないかな‥‥‥リアルモ〇ラってどうなのか。それはそれで、背中に乗って優雅に大空を楽しめそうなのでいいけれどね。
あるいはここから小さくなって、綺麗な蝶のような姿になるのか‥‥‥それはもう、ネア次第だろう。
「大きく育つのは良いけど、後先考えて成虫になれよー」
【ピ♪】
うんうんと頷き返答するネア。
良い子に育ってくれたようではあったが、やはりその行き着く先先がどうなるのか不明であり、少々不安を抱えることになるのであった…‥‥
‥‥‥なおこの後、アルスさんたちにネアの現状をスクリーンショットで伝えたら驚かれていた。
『すごいサイズになっているんだけど!?何をどうしてこうなったの!?こっちのアルガリオみたいになっているよ!!』
何やら同じような例がすでにあったようで、そちらのほうも見せてもらうと確かに同じように見えた。
「うわぁ、超巨大なアクティオンゾウカブトみたいなやつだ」
【重戦車巨大甲虫モンスター『ブラックタンクビートル』のようデス。巨大な虫のボスモンスターから極稀に出ると言われる卵から育てたのでしょウ】
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