アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.2-65 某キング風なのは、難しい

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‥‥‥プレイヤーも一緒の、臨時パーティ。
 こういうのは何度か中三病さんやぽっけねこさん、その他色々と組んできたので慣れたものではある。
 でも、まったく知らない人同士で組むと連携も取りにくく、ちょっとばかり戦いにくくなるかなぁと思うところもあったのだが…‥‥

「『フレイム&アイスランス』!!ハクロ、続けて糸で相手の動きを封じて欲しい!!」
【分かったよ!!えーい!!】
「っと、動きを封じるのは僕らの方にもいるから手伝うよ!!ルト、電撃!!マリーは毒の霧!!」
【ギャベェェイ!!】
【シャゲェ!!】

 ぶわっと火と氷で出来た槍が巨大な芋虫のようなモンスターに突き刺さり、体を動かして分散させないように拘束して的確に高い威力でつらぬけるようにしていく。

「そっちのほうに巨大蛾こと『ギガントモース』が!!こっちは錬金術の時に作っておいた爆薬を投げるから、落ちてきたところを狙って攻撃してくれリン、アリス!!」
【ガウガウ!!】
【オォォォン!!】
「どうやら状態異常にしてくるらしいから、かかりにくくなる不浄封じのバフをかけるよ!!」

 アルスさんの魔法によってキラキラと二人の体がバフの効果で輝き、状態異常攻撃を防いでダメージを与えていく。


「げっ!!どろどろの『マッドアント』の群れか!!セレアは槍で薙ぎ払え!!コユキは兵士たちを大量に出して数には数で応戦を!!」
「ハクロ、こっちの方にはパペットを使ってくれ!!人形たちで応戦するんだ!!」
【バルルルゥ!!】
【ユキユキユッキ!!】
【【【ユキダルマァァァ!!】】】
【【【パペーッ!!】】】

 糸使いの職業で得るスキルなのか、コユキの雪兵召喚に負けず劣らずの数の人形が大量に出され、数で圧勝を仕掛けていく。
 連携が合うのかどうかという部分で不安な点があったが、僕等は今見事にお互いに連携をこなしていた。


「というか、思った以上に息がぴったりだよね?」
「うん、それは思った。多分、お互いに似ているような戦い方をしているからじゃないかな?」

 自分も動きつつ指示を出し、最善の手を出せるようにしておく。
 臨機応変に対応したり、いざとなればこうやって自分自身の力で加わるなどの戦闘の仕方が僕らは似ているようで、どうやらうまくかみ合っているようなのだ。

【シュルル、二人とも指示良いよ!結構戦いやすい!!】
【シャゲシャゲェ!!】
【ガウガウ!!】

 ハクロさんやマリーたちも僕等との戦闘で動きやすいようで、普段以上の力を発揮して戦う事が出来ているように感じられた。
 いつもはソロプレイだけど、こうやって力を合わせて戦うのも中々悪くはないというか、相性がいいとこうもうまくいくのかと驚かされる。
 なんというか偶然の出会いだったとはいえ、幸運なことだったのだろう。

「でも、いくつか倒してきたとはいえ、それでも僕らの方の目的の、ライトスパイダーに巡り合えないなぁ」
「ハクロ、同じ蜘蛛の状態になっているなら、場所分からないか?」
【うーん、ちょっと分からないかも。虫さん、あっちこっちで光る目撃情報話してくれているけど、違うの多いよ】

 人虫一体のスキルで、アラクネのような姿になっている彼女だが、どうやらその姿だと周囲のモンスターの言葉をより正確に理解することが出来るらしい。
 だが、噂話は当てにならないことが多いのは人であろうと虫であろうとモンスターであろうとも同じようで、目撃談を聞き出してもらってその場所に行ってみるも、巨大なホタルや発光するアブ、何故かその辺の期に生えているオッサンなどしか出てこない。…‥‥オッサンに関して言えばどうやらプレイヤーのようだったが、状態異常が『ハゲキノコ』となっていたようで、ちょっとスルーさせてもらった。うん、あの姿にはなり果てたくはない。


 とにもかくにも、彼らの方の虫の観察目的は達成されているのだが、僕等の方のライトスパイダーの探索、交渉、出来ればテイムの目的は未だに達成できていない状態だった。

【あっちで光っているのは、トンボリアンの反射した目玉。こっちで光っているのはゾンビィナァアリ。そっちで光っているのは怪獣巨大毛虫ケムシンガーの模様‥‥‥ろくなの、ない】
「んー、光っているだけの話だと色々と出るのに、全然違うのが出やすいな」
「現実の虫も光っている方で群がるやつが多いし、それで目撃しやすいんじゃないかな?」

 モンスターとは言え、ここにいるのは巨大な虫とほぼ同じなのであれば、目撃情報にある程度の本当のことがあっても、それが確実に目的のものであるとは言えないようだ。
 ちなみに蜘蛛限定での話とかに限ったら、こんどはアラクネの姿になっている彼女の姿の方がより印象強くなってしまうようで、こちらはこちらで全然話が出てこなくなる。

「となると、今日はちょっと引き上げたほうがいいのかな。まぁ、あくまでもライトスパイダーが最適かなぁと思うぐらいだし‥‥‥」

 情報として教えてもらった糸使いに最適なモンスターとは言え、こだわり続ける意味もないだろう。
 アルスさんたちに聞いてみると他にも糸を出せる魔物はいるようだし、そっちの方で探せばいいかなと思い始めていた‥‥‥その時だった。

【ガウガウ!!】
「っと、どうしたリン?」

 周囲を警戒し、この面子の中で一番探知が早いリンが、何かに気が付いたかのように鳴きはじめた。
 その何かに関して確認するために、案内をしてもらい‥‥‥大きく横たわった朽ちた木に僕らは辿り着く。

「ここに、何かいるのか?」
【ガウッ!】
【‥いる、というか何か助けを求めているよ。この下、潰されて動けないって】
「救援の声か‥‥‥それもかなり小さなモンスターの声とは、気が付きにくいな」

 どうやら助けを求める声のようで、僕らは顔を見合わせ、助ける判断をする。
 襲ってくるモンスターが基本的に多いのだが、今回のは罠じゃないっぽいし、ここまでの動きでお互いに信用できる仲間であると確信できるからこそ、怪しい類ではないと断定できるだろう。

「でも、この木をどかすのは苦労しそうか」
【オォォン】
「いや、アリスの火だと全部燃えるからね?」

 どかすのが厳しいなら燃やせえばいいんじゃとアリスが提案してきたが、彼女の炎だと丸焼きにしかねん。
 でも、ふとそれで思いついたことがあった。

「あ、そっか。どかせないほどのものなら、どかせるほど取り除けばいいのか」

 全部一気にやるのは、この面子でも苦労しそうなほどの枯れた巨木である。
 けれども、少しづつ切り取って動かせるようにすれば、僕等だけでもどうにかできるほどにもなるかもしれない。

 そこで、アリスの火を使って過度に燃え広がらないように注意しつつ、焼ける範囲を集中させて切り取っていく。
 切った後動かせる分だけを各々動かし、少しづつ切り分け‥‥‥そして、ようやく助けを求めていたモンスターの救助に僕らは成功した。

【----】
「ちっさ!!」
「現実の虫と大差ないサイズだよ!この巨大な虫が多い場所で、このサイズは逆に珍しいよね?」

 出てきたのは、滅茶苦茶小さなペンほどのサイズしかない虫のモンスターであった‥‥‥‥


「‥‥‥ただの虫ってことはないよね?」
「あ、図鑑の方に乗っているやつだ。『プチワーム』‥あ、これはこれで良いんじゃ?成長したら、糸を吐くらしいよ」
「本当に?」


 
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