アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.2-63 奇妙な運命、一方でまた

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「‥‥‥えっとつまり、テイムモンスターじゃなくてプレイヤーなのですか?」
【そうだよー!スキル『人馬一体』ならぬ『人虫一体』!!自分で選んだ虫限定で、変身できるスキルなの!】
「そうそう、このスキルはどうやら虫系統のモンスターから教わることがあるらしくてね。ここに来る前にアラクネと意気投合して得ていたんだよ」
「なるほど‥‥‥RMPの自由度が高い虫限定のスキルのようなものなのか」

‥‥‥落とし穴の様な蜘蛛の巣から抜け出て、僕等は今、助けてくれた人たちと話をしていた。
 蜘蛛の身体を持っている女性の方はモンスターではなく、スキルでモンスターの身体を得ているプレイヤー、ハクロという名前らしい。そしてもう一人は男性だが、どうやら同じくプレイヤーのようで、こちらはアルスと名乗ってくれた。

 話を聞くと、どうやら二人は夫婦でこのアルケディア・オンラインを楽しんでいるようだが、本日はこのワームヘブン・フォレストに来たのは理由があるらしい。

【私達、この森には色々と観察に来たの!蜘蛛の身体も扱いやすいけど、他の虫の身体も気になったし、やってみたいと思ったの】
「そこで、知り合いに相談したらこのフィールドに大量の虫のモンスターが出現すると聞いてね。それで、僕等は参考にするために訪れたのさ」

 なんでもスキルで扱える虫の身体に関して、ハクロさんが色々と他の場合を学んでみたいと思ったそうで、そこでここに来ることにしたのだとか。
 現実の方でも図鑑やネットで調べる手段はあるだろうが、それでも実際に目に見たほうが動きもわかりやすいだろうし、しっかり観察を行っていたようだ。

「そんな中で、君たちに気が付いたんだよ」
「なるほど…‥‥助けてくれてありがとうございました」

 自力で脱出できそうでもあったが、それでも助けがあったのはありがたい。
 潰れた蜘蛛のモンスターはそのままドロップ品に変わり果てつつ、譲ってくれたのも嬉しい事だ。

「それにしても、君たち面白い集団だね。ほとんどが人に近い見た目のテイムモンスターのようだけど、綺麗な人が多いね」
「いやいや、アルスさんの方こそ綺麗な人がいて良いじゃないですか」

 というか、こっちはテイムモンスターたちに対して、あっちは現実でも夫婦らしい…‥‥うーん、何だろうこの物悲しいような何かこう負けているような気持ち。
 独身男性の目の前で綺麗な奥さんを得ている人に対して抱くこれって、もしや嫉妬とかそういう類か?何だろう、ちょっとだけ会社の女性陣の気持ちが分かったような気がしなくもないだろう。

 まぁ、まだ僕は独身生活だし良いか‥‥‥いや、良くないか。放っておくとあの両親がやらかしかねない可能性も無きにしも非ずだし、今度から婚活もちょっと考えるべきかなぁ‥‥‥色々あった挙句に修羅場が凄まじすぎて国外へ逃亡した伯父さんのようにはなりたくないしね。でもあの人、確か国外でもやらかして時々手紙が来るけど、同封されている写真に毎回恐ろしい違う人が写っているのは大丈夫なのだろうか?

 とにもかくにもお互いに話すとなかなか気が合って、僕等の目的と彼らの目的も相まって、ココでは一時的にだけれども、一緒にパーティを組むことにした。
 アルスさんたちは虫の観察で、僕等の方はライトスパイダーの探索および交渉、テイム挑戦で被る部分もないし、争うようなこともあるまい。

【シャゲェ、シャゲシャゲ】
【キュルル、面白いねー。私ココではモンスターではないけど、皆と話が通じて楽しいよ】

 スキルの使用中はモンスターの言葉も完全翻訳されて聞こえるようで、マリーたちと楽しそうに話し合っているようだ。
 やっぱり、同じような感じの人同士の集まりの方が何かと話しやすく、話が弾むものなのだろう。

「でも、男女比が凄まじいなぁ‥‥‥」
「んー、知り合いも呼んで中和したいけど‥‥‥あ、ダメだ。余計に濃くなりそう」

 ちょっとだけこの男女比率は男性陣として狭い気がするが、考えたらあまりいつもと変わらない比率だし、気にするようなことでもないかもしれない。
 でもこの一団、他から見たらすごいことになっていそう‥‥ちょっとだけスクリーンショットを取って、後でメールでほかの人と話すのもありか。いや、一部見せたら物凄く炎上しかねないので、やめておくか。

「ちなみに知り合いって?」
「犬と植物とその他かなぁ‥‥‥その他が100以上いるけど」

‥‥‥プレイヤーの事を言っているのか、それとも別の物なのだろうか。

 というか、その他の数が多すぎてまとめて良いのだろうか。どことなく遠い目をしていないか?
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