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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.2-60 一方その頃、作り上げられた場所では

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「‥‥‥のじゃ、ひとまずこれでいいかのぅ」

 海上に浮かぶ神聖独立幼女賛美歌楽園島国家ロリタニアティスランドの、先日拡張された一角にて、鏡面ののじゃロリことアティはそうつぶやいた。
 追われている身ゆえに、本来ならばば密かに行動していくべきなのだろうが、何をどう間違ってこんな盛大な国づくりにまで巻きこまれてしまい、このままでは明らかに目立ちすぎるのは火を見るよりも明らか。
 だからこそ、相手が動く前に行動を起こすしかなく、この状況が好転せずともさらなる混沌化を避けるために今まで以上に頑張らなければいけないと理解していた。


 その為、島国になったから領土拡張の意味も含めて、どさくさに紛れて彼女専用のプライベート島を建設してもらったわけなのだが…‥‥無駄に能力があり過ぎる馬鹿の行動力はすさまじかったようで、注文以上の仕上がりなことに内心驚きを隠せない。
 何をどうしてか周囲には最新の機器がそろっており、改造するためのものも集められている。
 自分一人では難しいプログラムなども用意されており、様々な品々が揃う光景はめったに見られるものではないだろう。

「とは言え、驚いている暇もなく、さっさとしたほうが良さそうじゃ。幸い、30分ほど瞑想にふけるからという理由で一人になれたのは大きいのぅ」

 国家の長という立場にされたがゆえに余計に拘束される時間が増えたが、その分負担を考えて行動してくれる時があるのはありがたい。
 いや、負担があると理解しているならばそもそもここまで大事にして欲しくなかったのだが、それは彼らにとって制御することができなかったのだろう。出来ていたならば、国を作るような真似もしなかっただろうし、多くの国々で勝手に動いて色々と都合の良い法律を作ろうとする動きもやらないはずである。

「安定化処理は完了‥‥‥アルケディア・オンライン用の機材はそろっておるし、計算通りならばこれで問題はないはずじゃ」

 データ消去の危機があるとは言え、今の自分の状態だとされてもされなくても時間の問題なのは理解している。
 自分の体の状態ぐらいはしっかりとつかんでいるのだが、やはり不完全な状態で現実に来た弊害が出ており、このままでは消去どころかグロすぎる自己崩壊を引き起こしかねず、ならば防ぐためにも足りないものを補うしかないと結論付けていた。

「しかし、ここまで目立つ動きで運営側が動かぬのは気になるのぅ‥‥‥堂々と出ている時点で居場所はバレているはずなのじゃが、何じゃろうなこの不気味な静けさは」

 嵐の前の静けさという言葉もあるが、それとは違う様な静寂さ。
 消去部隊を仕向けるぐらいだから、現実の方でも堂々とやってくることは考えられたのだが、どういう訳かここまでのバカ騒ぎになっているというのにまったく動く様子を見せてこない不気味さがある。

 もしかすると、こんな国家運営をさせられる立場が罰にもなっていると言いたいのか…‥‥正直、消去されるよりも確かに人間の暴走する欲望がどれだけ恐ろしいのか分からされており、どっちもどっちだと言いたくなる。

「さて、起動っと。プログラム現実からオンラインの世界へ、転送開始。転移場所はD-23、78-ZZ地点、誤差は無いようじゃが、監視システムの穴を探り‥‥‥今じゃ!!」

 再び元の世界に、自分が生まれ育った場所へ帰還するためのスイッチを押し、意識が一瞬だけ墜ちつつも、次の瞬間には予定した場所へ到着したことを確認する。

「うむ‥‥‥成功じゃな。今のところは特に‥‥ん?どういう訳じゃ?監視の目が別の場所に集中しておるようじゃが?」

 ログインして早々に警戒して動きを探ると、何やら怪しい動きがあることに彼女は気が付いた。
 幸い、そのおかげで自分のログインは気が付かれていない可能性が大きいのだが、それでも不自然な動きが気になるだろう。

「…‥‥まぁ、良い。目が逸れているのならば、今のうちに狙うかのう。えっと、そのままになっているのならば妖精郷へ‥‥‥」

 見えていない状態ならば、今のうちに好き勝手したほうが良い。
 そう考え、アティの姿は瞬時に目的地へ改めて飛び直すのであった‥‥‥






「…‥‥監視の穴に、現実へ逃げ出した指名手配中のNPCを確認」
「消去部隊、緊急発進!」
「ただし、即消去の前に奴が持っているはずのプログラムやNPCの肉体などを確保を優先!!」
「また、現在最優先特別緊急事態SSSクラスが発動中!!そちらに向かう様な真似もしないように注意!!」

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