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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.2-59 友は覚えておいて、おいておく

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‥‥‥忘れていた悪魔の冥福を祈りつつ、僕等は糸使いの職業で使えそうな糸を探すため、得た情報を元に目的地へ向かっていた。

「と言っても、まだ船改装中だしなぁ‥‥‥こうやってフィールドを徒歩で移動するのも悪くは無いけどね」
【うーん、いま一つエンジンの方で、悩んでいることがあるので完全に動かせないんですよネ】

 改装用のクエストは出されてはいるのだが、どうも進捗具合としては良くないらしい。
 アップデートで多少は改善されているそうだが、それでも色々と悩むこともあるようで、改装自体が止まっており、船の使用ができない状態なのだ。
 まぁ、ルー〇のように移動できるのも良いけど、こうやって自力で歩いていくのもVRMMOの醍醐味かもしれないけどね。現実では見ないような光景を、落ち着いて楽しむことが出来るのも良いことだ。


「しいて言うのであれば、時折モンスターにエンカウントすると言えばするけど‥‥‥」

 今回の目的は、糸使いの糸として最適となるであろう『ライトスパイダー』との交渉、もしくはテイムモンスターにすることである。
 交渉して糸を譲ってもらうのもありだが、安定して得るとしたらテイムしたほうが良いとも思えるのだ。
 アラクネと言う人身蜘蛛の前例があるそうなので、今のこの面子を見ると不安を覚えなくもないのだが‥‥‥うん、電球に蜘蛛の手足が付いた奴ならば、何も問題あるまい。事前にどういう進化を経ていくのかネットで調べてみると、テイム確率は低いけれどもテイムモンスターとして得ることに成功した人は何人かいるようで、どれもこれも独特の進化になっているので大丈夫だろう。


「ギガ・ボンバースパイダーだけは勘弁してほしいけれどね…‥‥100分ごとに自爆して、常に全員ダメージを受けるってどういうやつなのそれ」
【シャゲェ‥‥‥】
【一応、爆発耐性のある防具を付ければほぼノーダメージになるようですが、ずっとスリップダメージを受ける様なのは嫌ですネ】

 なお、そんな情報もあったが、そのモンスターをテイムしている人は防具で防がずにずっと受け続けているらしい。何でも爆発が全身痺れるようで快感を覚えているというコメントがあったが、単なるドMな人だと思いたい。職業がタンクマンニューZαとか言う、余計に何か拗らせたようなものになっているようだしね。あの欲望戦隊の誰かかと思ったが、どうも違うようだし、世界には変わった変態がいるのだと思いたい。




 とにもかくにもそんなことを話しているうちに、僕等は目的地へ到着した。
 森のフィールドの中でも、特に虫系統のモンスターが出現しやすく、虫嫌いな人ならば絶対に訪れたくないエリア『ワームヘブン・フォレスト』。
 名前が何のひねりも無いように思えるが、まさに虫の天国というべき様な場所で、近くにいるだけでもう数多くの姿を見ることが出来ている。

【クエェェェェェ!!】
【グォォォォォゥ!!】
【アオォォォォン!!】

「‥‥‥というか、虫のサイズでかっ!!これ、カブトムシやクワガタの様な奴の大きい版は少年心をくすぐるけど、他の虫は嫌いな人が見たら即倒ものだろ!!」
【バルルルゥ】
【ギャベェェ‥】

 見た目で差別するようなことはしたくはないのだが、これはこれで生理的に来る人もいるだろう。
 というか、サイズがちょっと桁外れなのが多すぎて、自分達が妖精とかになったような感覚を味わえるだろう。喰われる側になるようなことが無ければいいんだけどな。リアルムシキ〇グな気分だけど、襲われたら見た目的にシャレにならん。

 面子的に全員そこまで虫嫌いでもないようだが‥‥‥それでも、多少ルトやアリスが引いている。逆にマリーやリン、セレアにコユキは平気そうだ。

「って、あれ?ロロは?」
【シャゲ】

…‥‥さっきまでいたはずが、マリーに何か渡して何処かに行ったらしい。中身を見ると『船の整備に戻りマス』とあるが…‥‥もしかして、この光景は流石にきつかったのだろうか。


「ま、まぁ気を取り直して、ライトスパイダーを探してみようか」
【ガウガウゥ!】
【ユッキー!!】

 人海戦術をとるのも良いのだが、こんな大きな虫の中で単独行動は流石に不味いので、全員で周囲を見渡しながら奥へ進むことにした。
 これでうまい事、ライトスパイダーを見つけられたらなぁ…‥‥

「‥‥‥あれ?でもここのサイズを見ると、もしかして相当大きいのか?」
【シャゲェ?】

 







‥‥‥ハルたちが糸を求めて虫の住まう森へ入ってきた丁度その頃。
 反対側の方では、同じように入って来るプレイヤーの姿があった。


「うわぁ‥‥‥ここまでリアルすぎると、ちょっと怖いかもなぁ」
【キュル‥‥‥でも、居心地良いよー?ココ、過ごしやすいかも】
「まぁ、最適化しているって話もあるけど、それでもここまで巨大化させたりするのは何かやらかしているような気がしなくもないが‥‥‥いつものことかな」
【そうかも】

 うんうんと二人で頷きつつ、彼等も森の中に入って来る。
 そしてもう間もなく、ハルたちと遭遇するのであった…‥‥

【わー!なんかすごい群れになっているよ!!おしくらまんじゅうみたい!!】
「巨大化しているのも考えものかな。密度が凄まじいよ」

 
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