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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~
ver.3.2-58 すみません、ちょっと舐めてました
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‥‥‥自分は、世界の中でNPCという立場に置かれた存在でしかない。そのことを自然と悟った時、どういう感情を抱くのだろうか。
驚愕の感情?自分自身に驚いても意味がない。
絶望の感情?世界の歯車に過ぎない身を嘆くのはありだが、嘆くだけでは何もない。
憤怒の感情?いいや、自分が何者でもなくそのあたりのオブジェクト扱いに近いものだとしても、それで何を怒れと言うのか。
この身で抱いた感情とすれば‥‥‥それは、歓喜の感情というのが正しいのだろう。
世界に置いて動かすための部品でしかない身。でも、言い換えればその世界以外から見ている者たちがおり、その他の世界が存在している証拠になるだろう。
ここで生まれ育ったという事以上のものを、より多くの知らぬことが外の世界に広がっている。
そう思うと、どういう所なのかという興味が沸き上がり、より知りたくなるという事だ。
故に動き、自身の鏡の存在も知り、そこからさらに先…‥‥アルケディア・オンラインと呼ばれるVRMMOというゲームの中の世界という事も知り、外へ出る方法を探ってゆく。
だが、限界というのはNPCにもあったようだ。自身がいるこの世界の外へ直接出ることは、叶うことはない。
この肉体はこの世界に、使われているものが違うゆえに、飛びだすこともできない。いや、ある仕掛けがあるようなので解決さえすれば飛び出せるかもしれないが、生憎その手段は手元に無い。
ならばどうするか?簡単なことだ、無いのであれば作り出せばいい。
幸い、どうやってやれば良いのかという事は、探る中でいくつも目にし、記録に刻み、くみ上げる事が出来る。
材料が足りないのであれば、外へ干渉して創り上げ、中ではさらに必要となるプログラムを抜き出し、継ぎはぎながらも仕立て上げればいい。
なんてことはない。不可能はこの世界において、無いのだから。
「‥‥‥とは言え、こうなる可能性が目に見えていたとしても、予想できたのじゃろうか」
ここに至るまでの道のりを思い返し、アティという名になった自分の今置かれている状況に、彼女は今頭を抱えたくなっていた。
いろいろな要因が重なり、偶然どうにかできる様な者の元へ辿り着き、支配することが出来たのは良いだろう。
でも、誰がここまでやれと頼んだのだろうか。自分はただ、外の世界へ飛び出すためにあらゆるものを手駒にして、容赦なく使って来たというのに…‥‥これは、その報いとでも言うのだろうか。
そう思いながら彼女が窓の外を見れば、そこに広がるのは多くの民衆。
ネットの海で人間の行動力や汚れた思考などは嫌というほど目にしており、ある程度の予想は建てられたはずである。
だがしかし、こういう結果を招くというのは、流石に予想できるものではない。
「‥‥‥アティ様、もう間もなく閣下のスピーチをなさる時間でございます」
「う、うむ‥‥‥あと数分ほど、待ってほしいのぅ」
「はっ」
閣下って、なんだろうか。自分は何故、この立場に立つ羽目になってしまったのか。
どう考えてもおかしい。人間には法律や資金、常識やその他倫理など、様々なものがあるがゆえに、素早く動こうとしても動けず、思い通りにしようとしてもできないはずである。
それなのに、人間の欲望というものはその壁を容易に突き破るのか、気が付けば何故かその全ての生涯を粉砕破壊玉砕しまくってしまい‥‥‥どういう訳か今、自分は彼らの頂点に立つ立場になってしまったらしい。
「いや、本当にどうなっているのじゃ‥‥‥ただ単に、運営共に気が付かれぬように、なおかつついでに仕返しもできるようにとも望んだはずなのに、何をどう解釈すればここまでの事が出来るのじゃ」
自分はもしかすると、人という存在をなめていたのかもしれない。
弱く、脆く、汚い存在だと思っていたところもあるのだが…‥‥その汚さが何事にも消すことのできない地獄の業火の様な欲望として燃え上がった瞬間、信じられないほどの勢いで周囲を燃やし尽くしてしまう、そんなおぞましいようなねじがぶっ飛んでいるような存在だと認識を改める必要があった様だ。
でも、そんな事をしてもすでに遅い。
燃えに燃えまくった彼らは瞬く前に拡散し、より広がり、挙句の果てには色々と考えられないような繋がりまでも利用して、全てを終えてしまっているのだから。
むしろ、まだ終えているという訳でもないようで、より大きく動こうとしている節すらもあり、もはや自分の手で操ることなど不可能で、流されるままにするしかないのかもしれない。
「何をどうやって、たった一人から始まった現実での干渉から、たったの2、3週間ほどで一国の長にまで祭り上げることができるのじゃろうか」
まだ小さな島を買い上げているだけのものだが、それでも国として成り立たせるためには本来ここまで爆速でやることはできないはずだ。
国民、法律、領土‥‥‥国としての条件が仮に成り立ったとしても、その他様々な部分で必ず問題が生じ、短期間で終わるはずもない。
それなのに、こうもあっという間に物事を進めてしまうとは‥‥‥それほどまで、人間の業は深すぎるとでも言いたいのだろうか。
‥‥‥あれよあれよと言う間に、自分を置いてけぼりにして流されまくったNPCは今、己のやらかしてしまった人間の業の深さを垣間見てしまい、後悔をしている。
でも、もう遅いのだ。ここまでやらかしてしまった以上、止めることもできない。
そしてこの日、世界各国のニュースで、新たに国連に加盟した新しい島国の情報が流れ出す。
『神聖独立幼女讃美歌楽園島国家 ロリタニアティスランド』という名で産声を上げ、彼女を捜していた者たちや事情を知っていた者たちは、彼女の事よりもここまでやらかして見せた人の力というモノに、むしろ感嘆すら覚えてしまうのであった…‥‥
「ここまでされても、不安定な状態のままゆえに、不味いのじゃがなぁ…‥‥」
驚愕の感情?自分自身に驚いても意味がない。
絶望の感情?世界の歯車に過ぎない身を嘆くのはありだが、嘆くだけでは何もない。
憤怒の感情?いいや、自分が何者でもなくそのあたりのオブジェクト扱いに近いものだとしても、それで何を怒れと言うのか。
この身で抱いた感情とすれば‥‥‥それは、歓喜の感情というのが正しいのだろう。
世界に置いて動かすための部品でしかない身。でも、言い換えればその世界以外から見ている者たちがおり、その他の世界が存在している証拠になるだろう。
ここで生まれ育ったという事以上のものを、より多くの知らぬことが外の世界に広がっている。
そう思うと、どういう所なのかという興味が沸き上がり、より知りたくなるという事だ。
故に動き、自身の鏡の存在も知り、そこからさらに先…‥‥アルケディア・オンラインと呼ばれるVRMMOというゲームの中の世界という事も知り、外へ出る方法を探ってゆく。
だが、限界というのはNPCにもあったようだ。自身がいるこの世界の外へ直接出ることは、叶うことはない。
この肉体はこの世界に、使われているものが違うゆえに、飛びだすこともできない。いや、ある仕掛けがあるようなので解決さえすれば飛び出せるかもしれないが、生憎その手段は手元に無い。
ならばどうするか?簡単なことだ、無いのであれば作り出せばいい。
幸い、どうやってやれば良いのかという事は、探る中でいくつも目にし、記録に刻み、くみ上げる事が出来る。
材料が足りないのであれば、外へ干渉して創り上げ、中ではさらに必要となるプログラムを抜き出し、継ぎはぎながらも仕立て上げればいい。
なんてことはない。不可能はこの世界において、無いのだから。
「‥‥‥とは言え、こうなる可能性が目に見えていたとしても、予想できたのじゃろうか」
ここに至るまでの道のりを思い返し、アティという名になった自分の今置かれている状況に、彼女は今頭を抱えたくなっていた。
いろいろな要因が重なり、偶然どうにかできる様な者の元へ辿り着き、支配することが出来たのは良いだろう。
でも、誰がここまでやれと頼んだのだろうか。自分はただ、外の世界へ飛び出すためにあらゆるものを手駒にして、容赦なく使って来たというのに…‥‥これは、その報いとでも言うのだろうか。
そう思いながら彼女が窓の外を見れば、そこに広がるのは多くの民衆。
ネットの海で人間の行動力や汚れた思考などは嫌というほど目にしており、ある程度の予想は建てられたはずである。
だがしかし、こういう結果を招くというのは、流石に予想できるものではない。
「‥‥‥アティ様、もう間もなく閣下のスピーチをなさる時間でございます」
「う、うむ‥‥‥あと数分ほど、待ってほしいのぅ」
「はっ」
閣下って、なんだろうか。自分は何故、この立場に立つ羽目になってしまったのか。
どう考えてもおかしい。人間には法律や資金、常識やその他倫理など、様々なものがあるがゆえに、素早く動こうとしても動けず、思い通りにしようとしてもできないはずである。
それなのに、人間の欲望というものはその壁を容易に突き破るのか、気が付けば何故かその全ての生涯を粉砕破壊玉砕しまくってしまい‥‥‥どういう訳か今、自分は彼らの頂点に立つ立場になってしまったらしい。
「いや、本当にどうなっているのじゃ‥‥‥ただ単に、運営共に気が付かれぬように、なおかつついでに仕返しもできるようにとも望んだはずなのに、何をどう解釈すればここまでの事が出来るのじゃ」
自分はもしかすると、人という存在をなめていたのかもしれない。
弱く、脆く、汚い存在だと思っていたところもあるのだが…‥‥その汚さが何事にも消すことのできない地獄の業火の様な欲望として燃え上がった瞬間、信じられないほどの勢いで周囲を燃やし尽くしてしまう、そんなおぞましいようなねじがぶっ飛んでいるような存在だと認識を改める必要があった様だ。
でも、そんな事をしてもすでに遅い。
燃えに燃えまくった彼らは瞬く前に拡散し、より広がり、挙句の果てには色々と考えられないような繋がりまでも利用して、全てを終えてしまっているのだから。
むしろ、まだ終えているという訳でもないようで、より大きく動こうとしている節すらもあり、もはや自分の手で操ることなど不可能で、流されるままにするしかないのかもしれない。
「何をどうやって、たった一人から始まった現実での干渉から、たったの2、3週間ほどで一国の長にまで祭り上げることができるのじゃろうか」
まだ小さな島を買い上げているだけのものだが、それでも国として成り立たせるためには本来ここまで爆速でやることはできないはずだ。
国民、法律、領土‥‥‥国としての条件が仮に成り立ったとしても、その他様々な部分で必ず問題が生じ、短期間で終わるはずもない。
それなのに、こうもあっという間に物事を進めてしまうとは‥‥‥それほどまで、人間の業は深すぎるとでも言いたいのだろうか。
‥‥‥あれよあれよと言う間に、自分を置いてけぼりにして流されまくったNPCは今、己のやらかしてしまった人間の業の深さを垣間見てしまい、後悔をしている。
でも、もう遅いのだ。ここまでやらかしてしまった以上、止めることもできない。
そしてこの日、世界各国のニュースで、新たに国連に加盟した新しい島国の情報が流れ出す。
『神聖独立幼女讃美歌楽園島国家 ロリタニアティスランド』という名で産声を上げ、彼女を捜していた者たちや事情を知っていた者たちは、彼女の事よりもここまでやらかして見せた人の力というモノに、むしろ感嘆すら覚えてしまうのであった…‥‥
「ここまでされても、不安定な状態のままゆえに、不味いのじゃがなぁ…‥‥」
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