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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.2-57 プチっと、忘れていたことも回収して

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‥‥‥へんてこすぎる政党が出来たのはさておき、そちらに潜伏している可能性も考え、きちんと運営に通報しておいたので動いてくれるはずである。
 とりあえず今は、メンテナンスも終えてついでにちょっとアップデートされたのか、Ver.3.2になっていたアルケディア・オンラインへとログインすることに意識を向けた。
 本日の目的は2つほどあるのだが‥‥‥



「まずは、メンテナンスを終えて無事にデータだけなら・・・・・・・戻ってこれたのじゃロリもといレティアの様子を見に来たのは良いけど、大丈夫かコレ?」
「だ、大丈夫なわけないのじゃ‥‥‥」


 いつもの森の中にある祠へ訪れてみれば、先日鏡面のものの手によって書き換えられて囚われていたはずののじゃロリ。
 鏡面のやつが逃亡した際に、未だに囚われたままだとは思っていたのだが…‥‥どうやらこっちは、万が一に備えて作られていた、バックアッププログラムののじゃロリのようだ。
 ただし、その大きさは通常よりもはるかに小さく、親指サイズしかない。

「一応、この身はバックアップではあるのじゃが、修復プログラムでもあるからのぅ。本体が改造されまくっておったとしても、ぶつかればそれで元に戻るのじゃ」

 ならここに配置されずに、鏡面の奴捕縛舞台にでもくっついていけばいいんじゃないかと思ったが、そういう訳にもいかないらしい。
 こう見えてもこののじゃロリレティア、この大樹のフィールドを作る際の核に近いようなプログラムが入っているらしく、いないと安定しづらいらしい。
 その為、まだ体が帰還していないとは言え不安定なままにするわけにもいかないから、一時的なその場しのぎの策としておかれたようだ。

「まぁ、現実の方に囚われたままの身が不安じゃがな…‥‥バックアップ、オリジナルという違いがあったとしても、あれもこれも自分自身。変なことになってなければいいと願うのみじゃなぁ」
「ついでに聞くけど、何で瓶詰妖精みたいに瓶詰状態なんだよ?」
「あ、それは理由がありますよ。現実へ逃げた鏡の姉さんが狙ってくるかもしれないのでその防御策と、バックアップとは言え姉さんなのでやらかしかねないのもあって、しっかりと捕縛する意味合いを兼ねているそうですね」

 僕の問いかけた質問に、ここにいるのじゃの妹のロティがそう答える。
 オリジナルだろうが鏡面だろうがバックアップだろうが、のじゃロリはのじゃロリのようであり、どう考えてもロクデモナイことをしかねない可能性を拭いきれない。
 その為、様々な安全策も構築している中で、今回は防御壁にもなりうる特別製の瓶詰にすることで、解決策の一つとしたそうだ。

…‥‥なお、これは運営側の判断のようだが、妹な彼女としてはオリジナルだろうと何だろうと、最初からこの手段でここに留めておいた方が良かったのではないかと思うらしい。
 うん、その考えに関して言えば、僕らも同感です。というか運営よ、やらかすのが目に見えていたのに、なぜ今までここに縛り付ける様なことをしなかったのだろうが。絵面や自主性を重んじたとか言う理由もあるかもしれないが、その考えの甘さゆえに今回の様な大事が起きたとのだと思う。




 何にしても、徹底的にメンテナンスが行われ、あの鏡面ののじゃロリの様な脅威は今後生まれることはないそうだ。
 色々とその他見直すところもあり‥‥‥だからこそ、今回0.1分のアップデートになったのだろう。

「瓶詰ついでに、転がって移動したりすることが無いように糸で縛っておこうか?ここに来る前に、カイザーシルクワームさんから、転職できるようにしてもらったからね。早速転職しておいたよ」
「あら、早いですね」
「いやここにきてさらに束縛って、ひどくないかのぅ!?」

 そう、本日ログインした目的のもう一つは、この「糸使い」への転職である。
 未だに鏡面ののじゃロリが確保できていない現状ではあるが、万が一のことも考えて捕縛手段を増やしたほうがいいという事で、ちょっとずるいかもしれないが特別に転職できるようにしてもらったのである。
 ちなみに転職したのでレベル1からであり、ステータスも最初の頃みたいに大体10~15ほどの平均の数字になっているのかと思ったが、アップデートされたことで全体的なモンスターの強さも上昇したこともあり、大体45~50ぐらいの数値になっていたりするのだ。


「でも転職できたのは良いけど、この糸使いの職業を生かすには糸が必要なんだよなぁ」
 
 糸使い用の糸自体は、実はNPCが低価格で販売していたりする。
 だがしかし、来るであろう鏡面ののじゃロリを相手にするには強度が頼りない。そこで、もっと強靭かつ安定的に入手可能な方法を探すことが必要になったのである。

「それで、何か知恵を拝借できないかなと思いました」
「まぁ、森に住まう身ですし、衣服に必要な糸の入手なら知っているわ」

 カイザーシルクワームの糸も強いが、話によると他のモンスターから採れる糸や、加工を施すことで鉱石や木の皮から採れるものもあるようで、そちらの方に関して色々と知恵を持っているようだ。

「虫や草、鉱石などから得られるけど…‥‥この辺りなら、『ライトスパイダー』がおすすめね」

―――――
『ライトスパイダー』
白熱電球に蜘蛛の手足が付いたような姿のモンスター。
生み出す糸は静電気程度の電気でも光り輝き、服の装飾に使われることが多い。
また、強度がそこそこ強く、より合わせれば鉄を突き刺すことも可能なものに加工できる。
―――――

「へぇ、そんな蜘蛛のモンスターがいるのか」
「ええ。かなり有名な蜘蛛のモンスターとしてはアラクネという人身を持つ方がいるけれども、こちらは工房も構えていて、お店を出しているわ。その糸もありだけど、使うならライトスパイダーの方がおすすめよ」

 なお、テイムモンスターにもできるが、野生だとしても友好的な種族のようで、契約を結べば定期的に餌と交換してくれるらしい。
 テイムもありといえばありだが、今アラクネと言う言葉が出た時点で、やらないほうがいい気がするんだよなぁ‥‥‥マリーたちの様な例があるし、蜘蛛でその可能性が示されたのであれば、避けたほうがいい。


 何にしても、糸使いとしての糸の確保のめどがついたことは喜ばしい事で、お礼を言いつつ早速探しに向かうのであった…‥‥

【そう言えば主様、忘れているようですが良いのでしょうカ?】
「え?何を?」
【悪魔ゼアさん。堕天使の方はメンテナンスの隙をついて逃げることに成功したようですが、こちらはこちらで行方不明ですよネ?】

…‥‥あ、忘れてた。妖精郷にまだいるのか…‥‥うん、多分逃げ延びていると思いたいし、確認のメールを後で送っておくか。

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