アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
185 / 718
Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.1-53 改造でしょうか、それとも素なのでしょうか

しおりを挟む
【OOOO036974rgf974t957t9$&((&(6%(&9!!】

 なにやら壊れているような声で叫んでいるのだが、その様相は不気味すぎる。
 元々は妖精女王だったのに、何というかホラー映画業界での大御所になっていそうなほどのものになっており、真夜中であればまず確実に叫び声を上げるほどの恐怖を感じただろう。

 幸い、妖精郷は晴れていたので恐怖度は半減されているようで叫ぶことは免れたが、それでもこの変わりようには驚かされる。

「どうなってんの妖精女王!?」
「ふっふっふっふ、こやつが夫を確保できぬことに憐れみを感じ、いざという時に備えて恐怖で捕縛できるように仕込んでおいたのじゃ!!‥‥‥まぁ、発動させておいてなんじゃが、めっちゃ怖いのじゃが」

 やった本人すらも恐怖を覚えるぐらいならば、最初からやるなと言いたい。
 そこは鏡面ののじゃロリであってもオリジナルと変わらないほどの迷惑をかけてしまうという事なのだろうか。

【%)’$&()R)'Y)H)G'(&R(6r86!!】
「うわっ!?なんか来たんだけど!?」
「おや?おかしいのぅ?」
「あれ?何でシルルの方に‥‥‥?」

 湖から這い上がり、うまく歩けないのか何をどうしてなのか、体をひっくり返してスパイダーウォークだとかエクソシスト走りだとか言われるような体制になり、何故かシルルめがけて駆け抜け、彼を追いかけていく。

「もしかして、妖精女王としての意識が残っているとか‥‥‥ゼアがいないから、この場にいるシルルの方に狙いを定めたのか?」

 悪魔ゼアを最初は捕らえていたのに、あの城崩壊のどさくさに紛れて手放してしまった妖精女王。
 あのような変わり果てた姿になっても結婚願望はすさまじく強く、狙いの一つであったシルルをしっかりと覚えており、この場で捕らえようとでも言うのか。

「いや、流石にあの状態じゃにするついでに、しっかりと都合よく動かせるように記憶もなくすはずなのじゃが‥‥‥恐るべき執念じゃな」
「記憶も消えるのか‥‥‥あ、いや、こうやっている場合じゃないんだった!!鏡面ののじゃロリ、こっちののじゃロリレティアを元に戻せ!!」
「っと、そうじゃったそうじゃった、あっけに取られている場合ではなかったのぅ」

 流石に妖精女王の惨状は予想外過ぎたのか、お互いあっけに取られていたようである。
 今の状況を思い出し、シルルが妖精女王だった者を惹きつけ生贄にているなっている間にこっちをどうにかしなければいけないので意識を向ける。

「そうでした、NPCコード367-R、ここで大人しく消去されなさい」
「あちらの怪奇女王は‥‥‥後でとりあえず技術部門に全力で治してもらいますので、あれを修理する代わりに消さないとか言う取引をするのは意味を成さないです」
「ちなみに治すついでに結婚させるとかは?番として妖精王だとオベイロンとかが有名どころだったと思うんだけど‥‥‥」
「「…‥‥」」

 ルルアとダリアもちょっとあの恐怖に意識を向けかけていたが、本来の任務を思い出したようで、鎌と砲を鏡面ののじゃロリへ向ける。
 質問を無視したようだが、高い技術があってもどうにもならないこともあるらしい。

「ぐっ‥‥良い感じの逆転道具になりそうじゃった妖精女王は使えぬか‥‥‥じゃが、遅かったな!!」

 少々悔しそうな顔を見せながらも、ニヤリと口角を上げる鏡面ののじゃロリ。

「すでに像のコードは解析済み!!まだ悪魔の分が無いので不完全じゃが、一旦ここは現実にサラバじゃ!!」
「っ!!待ちなさい!!」
「不完全な状態で行えば、それこそ!!」

 素早く二人が動くも、遅かったようだ。
 パチンと鏡面のじゃロリが指を鳴らした次の瞬間、彼女の姿は消え失せていた。

「技術部門、監視部門!!現実への干渉領域を測定お願いします!!」
「不完全な状態で、独自のプログラムの使用により、自壊する可能性もありますが相手はこちらのコントロールも奪おうとしていたNPCです!!援軍の増援をのぞみます!!」

―――――
>緊急要請、受諾されました。
>全プレイヤーに緊急連絡!!
>現在、とある異常により安全なプレイ環境が保証出来ない可能性があります。
>誠に申し訳ございませんが、緊急メンテナンスが行われます!!今から30分以内に、ログアウトをお願いします!!
>後日、今回のメンテナンスのお詫びを配布いたしますので、どうかご了承ください!!
―――――

 要請と共に、緊急メンテナンスのためなのかアルケディア・オンラインの世界に警報が鳴り響く。
 だったらあの鏡面ののじゃロリが動く前にやれよと言いたいのだが‥‥‥生憎、あちらの方が先に色々と手を打っていたようで、対応が遅れてしまったらしい。


「申し訳ございません、プレイヤー『ハル』様」
「あなた様も今回の件に関して動いてくれたようですが、このメンテナンスは全体の対象です。箱庭システムなどは使用可能にしていますので、私達の姉妹から随時連絡をいたします」

 そう言いながら深々と謝罪し、ルルアとダリアの二人もこの場を去った。
 とりあえず今は、一旦ログアウトして経過を見るしかないようであった…‥‥


…‥‥シルルとゼア?うん、彼等もNPCなら、このメンテナンスによってどうにか助かってほしいと思う。あ、でも今妖精女王だった成れの果てが、視界の端っこの方で捕らえたのを…‥‥見なかったことにしよう。




しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

処理中です...