アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.1-50 潜入、探索やることそこそこ

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‥‥‥妖精郷に無事に入り込み、予定したとおりに事を進めることはできた。
 多少の犠牲は出たかもしれないが、今は非常事態とも言える状況なので、許してほしいとは思う。

「そして普通に妖精女王の城に忍び込めたのは良いけど…‥‥セキュリティ、結構がばがばだよね」
「そもそもあの女王自体が強いし、ココには悪意ある人はそう簡単に入り込めないようになっているのさ☆。だから、船底に張り付いて時々息継ぎしても、問題なかったのさ☆。まぁ、肝心の女王がゼアを捕らえたことでしっかり逃さないように彼に意識を向けていたのもあるけどね」

 流石にぐるぐる巻きに縛りあげている状態のゼアをは怪しさしかなかったはずだが、簡単に手に入れられそうな状況ならばどうでもいいのか、想像以上にすぐに食いついた。
 そして城から船を呼び寄せて、彼と乗船した隙にこっそり水中からくっ付いて潜入したのである。


「泳いでいくのもありだったけど、疲れるからな‥‥‥くっついていくのならば、まだちょっとは体力の消費を減らせるはずだと思ったけど、こうもうまくいくとはね」
「それにしてもこれ面白い道具だね☆。吸盤に棒がついているだけのものなのに、ぺたんぺたん吸着力がすごいのに簡単に外せもするよ☆」
「ああ、ルトの吸盤を参考にして錬金して作った道具、『キューちゃん』だからね」

―――――
『キューちゃん』
制作評価:5
効果:吸盤を参考にして作られた、用途次第で色々と化ける便利な道具。張り付いていくのもよし、複数用意して壁や天井を伝うのも良し、装甲をはがすのも良しなど、様々な可能性が秘められている。
また、備え付けられたスイッチを押すことで簡単にはがすことが出来るが、吸着力はすさまじく、最大3tほどの重量までならば吸着してぶら下げる事も可能である。
しかし、まだまだ改良点が多いので、評価向上の余地は十分にある。
―――――

 元々こういう潜入用に作ったのではなく、以前裏魔界に崖にぶつかった時に、崖を登る手段を取れただろうがロッククライミングの経験はほとんどないので出来ていなかった。
 そこでその経験を元にしつつ、いざという時にどこでも移動しやすいようにと思い、前もって作っておいたのである。

「製作過程で、魔導戦艦の一部を引っぺがすという事もあったけれども、こういう潜入に使えて良かったよ」
「何をどうしてそうなったの☆?」

 とにもかくにも、妖精女王の城内に無事に潜入できたところで、内部の探索の開始である。
 鏡面世界ののじゃロリ邪悪版の企みがどの程度進行しているのかは不明だが、のじゃロリ(真・改造され済み?)の残したメッセージではここにはそのカギとなる一つがあるはずだ。
 悪魔の方に関しては不明だったが、お城の中となるとある程度絞ることはできそうである。

「普通に考えると、壮大な企みを成し遂げるにはそれ相応のものが必要になるよね?」
「となると、そういうのがあるとすれば、簡単に出入りできるところよりも、厳重な警備が必要な場所になるかな☆」
「そう考えると…‥‥宝物庫かな?」

 お城の中で大事なものをしっかりとしまうのであれば、宝物庫は定番だろう。
 案外女王自身が何か大事なものを自分で守るために、自身の部屋に金庫を設置している可能性もなきにしもあらずだが、わかりやすそうな場所からやっておきたい。
 というか今、悪魔ゼアの捕縛情報を聞いて、さっさと既成事実を作るためかさわがしくなっているからね‥‥‥お邪魔しないほうが吉である。

「あとで骨は拾っておこう」
「残ると思うけど、干物になっているかもね☆」

 犠牲を出してまで来たのだから、確実に成果を上げないといけない状況。
 不法侵入でもあるので、城内の妖精の兵士たちに見つからないように天井に張り付き、壁に張り付き、時々ニガ団子を飲ませ嗅がせ注入し、目的地を探っていく。

 中々城内が広いので迷いそうになったが‥‥‥進んでいくと、ようやく僕らは見つけ出すことが出来た。

「どう考えてもここかな?大きな金属の扉の上に、『妖精宝物庫』って書いてあるもんね」
「罠の可能性もありそうだけど、兵士たちが見張っているし‥‥‥入らないと分からないか☆」

 しかし、侵入しようにも先ほどまでどうにかできていた兵士たちとは違って、大事な場所を守っているせいかかなりできそうな番人がいるようだ。
 というか、兵士たちに妖精が採用されていたけれども、以前の結界騒動の時にあったように妖精以外も使役されているようで、小型のドラゴンらしいものが鎧を着て見張っている。

「『ナイトドラゴン』だね☆。ドラゴンの中で小型だが、対人戦に特化した種族だよ」
「対人戦‥‥‥一応、侵入者が来ることを想定しているのか」

 セキュリティは緩めだが、大事な場所はしっかりと守る主義だったようで、この様子ではそう簡単に入ることは叶わないだろう。
 テイムモンスターたちがいればよかったが、生憎ここに入る条件が無ければ来ることが出来ず、対応は僕とシルルしかできない。

 でも、まともに相手をするのも大変そうだよなぁ‥‥‥ニガ団子もそう多く作っているわけでもないし、相手が相手だけに効くのかちょっと怪しい所。

 どうしたものかと考えていた、その時だった。



ドォォォォォォォン!!
「「!?」」
【ゴッゲバァァァァン!?】

 突然宝物庫が大爆発を引き起こし、ドラゴンたちが真横を凄い勢いでふっ飛ばされていった。
 そして爆破されて吹き飛んだ扉の先から、影が見えてきた。

「けほごほっ。火薬の量をミスったかのぅ!!」

 せき込みつつも、何やら体に対して大きすぎる銅像のようなものを背負って出てくる少女。
 その容姿はのじゃロリに似ているのだが、よく見れば髪の向きなどがちょっと反対の・・・・・


「って、あいつの鏡面世界版のNPCだ!!」
「のじゃっ!?目撃者か!!」

 思わず叫んでしまうと同時に、相手の、鏡面世界ののじゃロリに気が付かれてしまった。
 とはいえすぐに誰なのかという事もバレて無いようだが、口封じのためか何か小さな球体を投げつけて‥‥‥あ、これ不味い。

「伏せろ!!」
「おおっと!?」
ドッガァァァン!!

 急いで伏せた途端に、爆発を起こした球体。どうやら爆弾だったようで、部屋を吹き飛ばしたものより威力は低いようだが直撃は危なかった。

「問答無用で爆弾投げつけて来るとか、あののじゃ厄災よりもたちが悪…‥‥いとは言い切れないけど、敵意を隠す気が無いな!!」
「当り前じゃろ!!目撃者がいればきちんと口封じを行うのは鉄則じゃ!!というかその話しぶりじゃと、どうやらここでの自分を知っているやつのようじゃな!!何かもとにしてきたのじゃろうけれども、相手をしている暇はない!!いでよ『フォレストデストロイヤー』たちよ、あやつらを徹底的に始末するのじゃぁぁ!!」

 ばぁぁんっといきおいよく地面に手を付けたかと思えば、すぐに何かがにょきにょきと生えてくる。
 ここが城内だというのに、天井すらを突き破り始め、巨大な木の巨人が出現し始める。
 そう言えば、あののじゃのじゃはガーディアン守護者の方を出していたけど、反対だからこっちはデストロイヤー破壊者を出せるようだ。守る者に対して、破壊する者とは、これまた迷惑な力を持っているようである。


 遭遇して早々大迷惑過ぎる行動は、鏡面世界のものとはいえ根本部分が同じなのかとツッコミをいれつつ、とんでもない事態になってきたようだった‥‥‥‥


「いや城内という空間で、何でこんな奴出すんだよ!?デカすぎて天井が崩落してくるんだが!!」
「こうなったらこっちも対抗して出すしかないかもね☆!!」

‥‥‥人選、ミスったかもしれん。そう言えば前にこっちはこっちでとんでもない奴を出した事例があった。
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