アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
171 / 718
Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.1-39 大海戦

しおりを挟む
‥‥‥船同士のレースみたいな対抗戦だったはずだが、光景としてはどうなのか。

「戦艦は良いとして、あのタツノオトシゴ馬車と妖怪船がなぁ」
【絵面が酷いデス】

 他の船は帆船が多く、いくつかは魔導船のようだ。
 だが、形状としては普通の帆船などに近いのでまだ船と言えるのだが、あの二隻はどう考えても船の枠内に入るとは言い難い。

―――――
>プレイヤーが3名、乱入してきました!!
・プレイヤー「ハル」:魔導戦艦『グレイ号』
・プレイヤー「妖怪女王改め妖怪女帝」:妖界高速船『オボロヌシ号』
・プレイヤー「ケーバエナジー」:海戦強行馬車『ケルピーン号』
―――――

 妖怪女王って人はいたが、アレをプレイヤー名に改名したのだろうか?いや、女帝になっているという事はもしや恐竜や怪獣辺りを意識したのか。
 そしてもう片方はなんか競馬に出る馬っぽい名前だよなぁ…‥‥いや、そのまますぎる気がしなくもない。


 片や妖怪だらけ、片や水上を疾走するタツノオトシゴの馬車だが、どちらも常軌を逸脱している。
 それを言えば、こんな帆船が多い中で戦艦で突き進む僕らも人の事を言えないかもしれないが、それでも船の形状という点は守っているのでとやかく言われることはないと思う。

【バルヒヒィ!!】
「っと、どうしたセレア」
【どうやら馬のモンスターとしては、あっちのタツノオトシゴのようなモンスターに負けたくないようですネ】
「馬なのかなアレ?」
【図鑑だと『ケルピー』の進化先の一つですネ。『シーケルピー』のようデス】

 なんでも水中を泳ぐ馬のモンスターがいるようで、それが海で進化したことによって変わったのが、あのタツノオトシゴのようなモンスターらしい。
 名前がさほど変わっていないが、容姿は劇的に変化しているらしく、進化前のケルピーはまだ馬のようだがそれをどうしたらあんなタツノオトシゴになるのだろうか。

【ホェェェッェエン!!】
【バルヒィィン!!】

「おおぅ、お互いに雄たけびを上げて威嚇し合っているよ」
【翻訳しますと、あちらが『陸しかゆかぬ者よ、大海の覇者にひれ伏せ』で、セレアの方は『ひれ伏すわけがない』と叫んでますネ」

 どちらも馬のモンスターの進化系ゆえに、それぞれの歩んで道で誇りを持っているらしい。
 それゆえに、お互いにぶつかり合うようだが残念ながら海上では張り合うすべがない。

【バルルル、バルルル!!】
「わかったわかった、絶対に勝とう」

 海の上では走れないことが悔しいのか、このレースでこちらの勝利を欲しがるセレア。
 ぐらぐらと揺さぶられてねだられるが、船酔いしたら嫌なのでやめてほしいところではある。




 とにもかくにも、現在はどの船も速度を上げているが、この3隻で接戦となっている状態。
 グレイ号もかなり加速し始めたが、あちらも負けじと加速しモーターボートなんかよりも激しい水しぶきが出されていく。

「飛んだほうが早そうだけど、あくまでも水上レース形式だからなぁ…‥‥水の抵抗が大きいか」
【とは言え、まだまだ速度は出せマス。ブースターも点火可能デス】

 魔導戦艦のエンジンをフル稼働すれば振り切れるが、あちら側にもまだ隠し玉がありそうで、全てをさらすのは得策ではないだろう。
 とすれば、相手側の手をもう少し出してもらったほうが良いと考えていた…‥‥次の瞬間だった。


ドォォォン!!
【ガウガウ!!】
【ユッキー!!】

 突然砲撃音が鳴り響き、リンとコユキがすぐに反応する。

「そう言えばこの対抗戦、攻撃もありだった!!出したのはあの二隻で、ドクロとニンジンみたいなのが飛んで来たんだけど!?迎撃開始!!」
【ギャベェェイ!!】
【オォォォン!!】

 攻撃ありきの海戦でもあるので、すぐさま対空防御に入る。
 素早くルトとアリスが電撃と焔を装填させ、撃ち出し防御した。

ゴッァァァアン!!
ドッガァァァァアン!!

「ドクロはまだ爆発四散が分かるけど、ニンジンの方が凄まじい爆発を起こしているんだが!?」
【どうやらニンジンに見せかけたミサイルですネ】
「どんなこだわりだよ‥‥‥まぁ、良い、そっちがやる気ならこっちもやり返させてもらうだけだ!!全員戦闘態勢!!マリー、ルト、アリスは艦の砲弾装填から射撃!!セレア、リン、コユキは敵艦に白兵戦を仕掛けろ!!乗り込むためのもの、備えているな?」
【了解デス。白兵戦用ゲートチューブ発射!!】

 ロロがカチッと壁際にあったボタンを押すと、船の横から敵艦へ向けてチューブのようなものが射出され、撃ち込まれる。

「よし、乗り込め!!ここは思い切ってガンガン行こう!!」
【バルヒヒィィィン!!】
【ガウガウガーウ!!】
【ユッキユキー!!】

 号令をかけるとともに全員やる気満々な咆哮をあげ、意気揚々と戦闘を開始するのであった…‥‥


【ところで、マリーンズはどうしましょうカ】
「こちらに乗り込まれる可能性があるから、防衛用意とマリーたちの手伝いかな。船の航行自体はグレイ号に任せる」

‥‥‥船自体が自分の意思で動けるので、ちょっと操船を離れていても大丈夫なのが良い所である。
 たまに海賊を見つけて気に食わなかったら、上から押しつぶすけどね。
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

処理中です...