アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
170 / 718
Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.1-38 インパクトは、意外なものほど結構強く

しおりを挟む
 フィールドそのものが爆破処理されるという事態が起きたりしつつも、対抗戦は進行されていく。
 あちこちの似たようなギルドが多いけれども、独特のものを生み出しより目立つところも出てきたようだ。

「でも、さっきの試合のクラウンギルドVSサーカスギルドも凄かったな」
【シャゲシャゲェ】
【バルルルゥ】

 大衆向けの娯楽としての分野での対抗戦であったが、これが多分一番盛り上がったと言っても過言ではないだろう。
 現実では見れないような危険な芸も多少あったが、そのぶんスリルもかなり強い。

「あとトーカが、でっかい象とゴジラに大きな玉の積み重ねの上から、ジャグリングとかはヤバかったけどな…‥‥クラウンギルド所属と聞いていたけど、現実でもできそうな感じでもあったなぁ」
【それに対抗して、インパクトある魅せ方をしようと相手のギルドマスターが体を張って、失敗したあの光景は偶然にも映画のような名場面になってましたネ。ぐっと指を立てて、マグマに沈みゆく様は失敗しつつも執念を感じさせられまシタ】

 何にしても色々と楽しめたが、もう残る対抗戦の数は指で数えるほどしかなくなってしまった。
 あちこちの分野でかなり多かったはずだが、夢中になるほどなぜこうも時間が早くなるのだろうか。


「そしてこの試合は乱入予定だけど…‥‥ロロ、整備は大丈夫か?」
【ばっちりデス。メンテナンス済みで、何時でも出航可能になっていマス】
「よし、それじゃ皆行こう!!乱入するぞ!!」
【ユッキ!!】
【オォォン!!】

 黒き女神の姿で出ない、とある対抗戦だが…‥‥まぁ、問題もあるまい。












「‥‥‥ふぅ、いよいよ緊張してきたな。船の準備は良いか野郎どもぉ!!」
「「「「おおおおおお!!」」」」

 対抗戦用に用意されたフィールドの中で、とあるギルドのメンバーは確認作業を行い、声をそろえる。

「やるぞやるぞ!!我らが船運を賭けて大勝ちするぞ!!」
「そう、運送ギルドやレースギルドなど強敵がいたとしても!!」
「「「我々大船団ギルドこそが、アルケディア・オンラインの海で一番の船乗りだぁぁぁ!!」」」

 巨大な帆船の甲板で叫び、気合いを入れるギルドのメンバーたち。
 海に浮かぶその船の他にも様々な船が浮かんでいたが、今のところこの船を越える者はいなさそうだと大船団ギルドのギルドマスターであるヒゲックは確信する。

 今回の対抗戦は海でのレース‥‥‥わざわざ作られた特別な海洋で競い合うのである。
 もちろん、武器の使用も戦闘も許可されており、状況に応じて船上で争うこともあるだろう。

「対抗戦、船分野‥‥‥ここで勝てばぁ、この海に我々の名が響きわたる絶好のチャンス!大海賊ギルドに流れて潰された馬鹿共もいたが、あれはあれで船乗り!!その船の魂も受け継ぎ、我々こそが海で最強だと知らしめろぉ!!」
「「「おおおおおおおおお!!」」」

 あちこちで叫びつつ、もう間もなく対抗戦の開幕合図が出ようとする。
 出港準備に向けて、帆の調整などの最終チェックを行っていた‥‥‥その時だった。


ザッバァァァン!!
「うぉ!?何だ今の水しぶきは!?」
「何処かのかが、出向前に沈没でもしたのか?」
「いや、違うぞ!!見ろよあれぇ!!」

 なにやら大きな水しぶきが立ち上がり、何かが海中から飛び出してきたようだ。
 対抗戦の会場の海上でクラーケンでも出現したのかと思ったが、そうではなかった。

「な、な、なんじゃありゃl!?でっかい戦艦が出てきたんだが!?」
「おいおいどこかの宇宙戦艦のようなやつがいるんだが!?あれも船で良いの!?」

 出てきた姿を見れば、それは巨大な戦艦だった。
 さらば~とか言って出てきそうな船ではあるが、この帆船が多い場においては異常な船であり、風に左右されないのであれば出向して早々即座にリードを取られるのが目に見えている。


「でっかい主砲に、その他の兵装‥‥‥狙われたらこの船、轟沈しないか?」
「馬鹿言うなぁ!!この我々の命の船、巨大船バルザバンが負けるはずもなぁし!!」
「それに戦艦ならば、そう早い船もあるまい!!我々も結構大きい帆船ではあるが、うまく風をつかめば勝機は見込めるだろう!!」

 というか、出て早々に速攻で逃げないと不味そうだが、大きすぎるがゆえに攻撃もし辛いはず。
 ならば、できるだけさっさと逃げたほうが良い‥‥‥と考えていた、その時だった。


ザッボォォォォン!!
【ヒヒヒヒヒヒィン!!】

「こんどはでっかいタツノオトシゴぉぉぉぉ!?」
「いや、ただのタツノオトシゴじゃねぇぞ!!よく見たら何か馬車っぽい形をした船を引っ張っていやがる!!」
「なるほど、あれはあれで船と言い張る気で‥‥‥そんな屁理屈通るかぁぁぁ!!」

 
ザッビャァァァン!!
「ギルドマスター!!今度はでっかい骸骨が浮かんできましたぁ!!」
「しかも中には、大量のお化けですぅ!!」
「せめて船であわせてこぉぉぉぉぉぉい!!」

‥‥‥なお、その後に出て来たログで彼らはその船の数々がギルドに所属していない乱入者であることを知ったのだが、それを知るまでツッコミをいれまくり、点検の一部で抜けてしまうところがでるのであった‥‥‥


「ああもぅ!!まともな船は我々だけだぁぁ!!やるぞ野郎ども、まともな船乗りはこうであれと見せつけるんだぁぁl!!」
「「「見せつけるぞぉぉぉぉぉ!!」」」



しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...