上 下
161 / 718
Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.1-30 姿を見せても、性能差は

しおりを挟む
‥‥‥先日、海上で偶然海賊船を見かけるや否や、船が勝手に動いて押しつぶした事件。
 まぁ、意思があるような船だと言うし、元々海賊船でもあったからこそ、海賊に対して個人的に思うところがあったのだろう。上から押しつぶすという力業は、ちょっと予想外だったが。

 とは言え、それに関しては特に問題ない。海賊を捕縛したことで懸賞金としてのALも稼げたし、襲われていた船も助かった。海賊も潰れたりしていいことづくめだった…‥‥はずである。

 だがしかし、世の中予定調和というか隠れて航行していたことがバレてしまったようで、空に注目が集まってしまったようだ。


【ガウガウー!!】
【左舷より、魔導船3隻接近!!発光信号を出していマス!】
「内容は?」
【旗艦、停止。ギルド、所属ドコダ。ナケレバ、入ッテクレナイカ?】
「断ると返信したら?」
【…‥‥返信、来まシタ。他、ギルド、取ラレル前ニ、ココデシトメル】

 魔導船を何処かで手に入れているプレイヤーはそこそこいたようで、大空を航行しているとどこからともなく発見し、やってくる魔導船が増えてきた。
 光学迷彩があるとは言え、主に船底の方に展開しており、横から見て分かったのだろう。艦全体を覆うことも可能なようだが、隠れ続けるのも息が詰まるものだ。

「よし、全速前進。魔導戦艦グレイ号、奴らから逃げきるぞ」

 ブォォォォォォォォ!!っと大きな汽笛を鳴らし、船が答えるように動き出す。
 幸いというか、見かける魔導船はどれもこれもまだ2次どころか改装自体をしていない、中古や新造の船ばかりのようで、こちらの船ほど経験や性能が無い。
 その為、ちょっとばかり船が力を出せば、砲撃し合うことなく振り切ることもできるのだ。

「とは言え、念には念を入れよと言うな。ロロ、ブースタ点火、アリスは火で補助ブースターの出力補助。あとルトは専用ユニットに着席し電流を供給、電磁シールドを発生。他の皆は、持ち場について戦闘態勢を取れ!!」
【了解、ブースタ点火、ついでに発煙薬を使用し煙幕を発生させマス】
【オォン!!】
【ギャベィ!!】

 各自が動き、何時戦闘が起きてもいいように態勢を整えたところで一気に加速する。
 大空にいる間に天界の方に少々寄って天界の鉱石を積み込み、ちょっとだけ改造をして船の性能はさらに上昇しているのだ。


ドォォォォォォォォォ!!
「あっと言う間に振り切れるけど、こうも出てくるのはなぁ。魔導船ギルドに、船ギルド、大空ギルドに飛翔ギルド…‥‥似たようなのが多いけど、もうちょっとどうにかならないものか」
【一応、ギルド勧誘合戦はそろそろ終わりそうですけれどネ。新人育成や、対抗戦までのスケジュールを考えると明日まででしょウ】

 勧誘もいよいよ大詰めというべきか、あちこちでより動きが激しくなっている。
 けれどもその分、いざ対抗戦に出すための戦力にならなかったら意味がないので、育てる時間も必要であるという事も周知されているようで、おそらくほぼ同じぐらいのタイミングで勧誘の熱は下がるはずだとか。

「こうなってくると、後はもう観戦の時間まで待つぐらいかなぁ…‥‥っと、そろそろ振り切れたようだ。総員、戦闘態勢を解除、通常航行に戻れ」

 追ってきていた魔導船も、追いつけなかったようで姿が見えなくなった。

 現在位置を確認すると、どこかの海上についていたようで思い切って空から一旦海へ着水する。
 大空を飛行し続けるだけじゃなくて、海上も航行することによって追跡されにくくするのだ。

…‥‥まぁ、そもそも元海賊船な船だから、海に浮かぶのはおかしくないんだけどね。空を飛び続けてもありだが、船旅の形にするならやっぱり海の上にいたほうが良いかもしれない。

ザッバァァァアンン!!
「…‥‥周囲に船の姿もないか。うん、しばらくここでなら大丈夫かな?」

 浮かべてこそ船というべきか、海上に漂って揺られるとこれはこれで安心はする。
 でもまぁ、油断せずに艦底部に張っていた迷彩は上部の方に移し、周囲への警戒を怠らないようにする。

「警戒態勢はそのまま、マリーンズ頼むよ」
【【【ヨーヨーヨー!!】】】

 船の一部からできた船員たちに警戒を任せ、僕らの方はゆったりとくつろぎ始める。
 船内では模擬戦を行ったりもするが、せっかくの海の上なので少しばかり海ならではの楽しみもやっておきたい。

「久しぶりに釣りもやるかなぁ…‥‥道具もあるし、ちょっと釣り大会をしようか」
【シャゲェ!!】
【ユッキ!!】
【バルルルゥ!!】

 のんびりと過ごしつつも、もう間もなくやってくるギルド同士の対抗戦の時。
 分野ごとに異なる勝負が待ち受けているようで、その試合の様子はあちこちで中継されるらしく、どこにいても観戦は可能だ。
 
 身内がいるクラウンギルドか、あるいは友人たちが所属するギルドか、どこをどう応援するべきか無所属で観戦に回る立場ゆえに迷うのであった‥‥‥‥


「でもまぁ、分野ごとの対抗戦ならぶつかることもそうないかな?」
【試合の組み合わせが気になりますね…‥‥私としては、使用人としての立場があるので、姉妹兄弟がいるところを応援したいのデス】
「あれ、使用人も出れたっけ?」
【戦闘に参加していたりするものなら、出場できるらしいですからネ。全ギルドの87%に使用人がいますので、応援するところを選ぶのに、非常に悩まされマス】

…‥‥一応、残り12%は使用人がいるけれども、対抗戦には出ないらしい。そして1%は使用人自体を雇っていないので興味もないようだ。
 ロロは色々あるが、普通は給金が必要な使用人システムだから、払う金もないところが雇えていないのかな?

「そう考えると、もしかしてその1%にタローンやミートン一家がいるのでは?」
【ギルドの数が多いので、1%でも手で数えるほどぐらいはあって特定は難しいデスネ】
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...