アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.0-18 あの地平線、ギリギリ?

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‥‥‥魔界に悪魔が住まうように、天界にも天使たちが住んでいる。
 その姿自体は、魔法少女クエストでちらほら見かけたことはあったが、少人数程度で大勢いる光景と言うのは見ていない。

 村や町‥‥‥そこまで大きな規模の住みかはそうそう作ることはなく、そもそも天使ゆえに背中の翼で自由に飛び回り、あちこち適当に住みかにしやすいので大勢集まることがそんなにないのだ。


 だがしかし、物事には何事も例外は存在していた。

「うわぁ‥‥‥すっごい人数というか、人口密度高っ!!翼分余計に多いせいで人混みが多すぎるんだけど!?」
「予想外というか、ここまでいるのは驚きかも!!都会なのここ!?」

 天界の中でも、一番大きな都市とされる天空都市アルバディア。

 その都市に僕らは訪れたのだが、事前に情報を少し集めていたとはいえ、物凄い天使の人数に僕らは驚いていた。
 というか、天界の他の村々が田舎なだけで、ここだけ人口密度が過密な都市っぽいような‥‥‥あっちこっちでプレイヤーたちが人の川に流され、てんやわんやしているのが見えるだろう。


「おっちゃん、パンフレットちょーだーい!」
「あいよー!天空都市アルバディア、安全歩き巡りパンフレットだよー!」

 っと、流石にこの人混みの中、下手に動くと不味いのが周知されているのか、どうやら人混みの中をうまいこと抜けて目的の場所へ向かえるようになっているパンフレットが販売されているらしい。
 お値段30ALとなって案外安く思えるのだが、これは実は最低クラスのパンフレットの値段。安全な歩き方がしっかりしているほど高いパンフレットとなっているらしいのだ。


「でも、そこまで多く訪れるわけでもないので、高い値段を出して安全な道を行くのもどうかと思う人もいるからこそ、利用する人によって選ぶのは違うのか‥‥‥」
「お値段、一番高いので30000AL!?現実で30万円ぐらいのパンフレットってどうなっているの!?」

 それがここの常識なのならば仕方がない。

 でも、そこまで多く訪れるわけでもないし、できれば安全な道をというのもある程度妥協したいので‥‥‥トーカと話し合った結果、150ALの手ごろなものを購入した。
 ちなみに、そのお値段がぶっ飛んだパンフレットだと都市のVIPエリアとやらにもいくために必要な許可書となっているらしい。ああ、付属するものがあるならそりゃ高くなるのは納得するけど、VIPエリアって‥‥‥天使が住まう天界になんでそんなものがあるのやら?あ、でも魔界でもちょっと調べたら高級サキュバスやインキュバスとやらがいる同様のものが存在するらしいし、あちこちのフィールドにはちょっと頑張らないと向かいにくい場所があるんだろうな。



 そう思いつつ、安全面で妥協したパンフレットを開いて見れば、最高クラスとはいかずとも十分すぎるほどの内容になっており、どこの人混みをうまく流されれば労せずして目的の場所に辿りやすい方法が書いてあった。

「以外にも便利だったというか、そんな移動方法がというか‥‥‥飛べば密度解消できそうなのにしないのは、この地だけ飛べないからか」

 人口密度の密集理由の原因に、どうやら天使たちがここでは飛べないようになっているという秘密も書いてあった。不便そうだけど、その分便利な施設もいくつか存在しているので、文句を行くこともなく積極的に利用しているのも、この過密の状況を生み出したのだろう。一応、どさくさに紛れてスリや痴漢などの犯罪も発生しそうだが、やったら重い刑罰が存在しているようだ。冤罪をかけようとする人も出ることはあるらしいが、周囲がしっかりと見ているのでやらかしたらしっかりとお仕置きもあるようだ。

「さてと、目的の場所は‥‥‥ここだ、『タルモン妖精店』。瓶詰の妖精が販売されているってところだな」
「それ、色々と大丈夫なの?」
「そのあたりはきちんとしているらしい」

…‥‥妖精。ファンタジーをメインにしているアルケディア・オンラインというゲームの中だからこそ、出てくることは予想されていた存在。
 一般的なイメージと言えば小さな獣や羽の生えた人型の妖精なのだが、そのイメージに合わせた妖精が天界の妖精店限定で、瓶詰で販売されているというのだ。


―――――
『願いの妖精瓶詰』
願いを叶える妖精が、詰められた特殊な瓶。天界限定販売。
無理矢理捕らえられて詰められたわけではなく、妖精たちは生涯一度だけ人の願いを叶えるために働く必要があり、願いを叶える人を探す手間を省くために、自らビン詰めになり、自身を購入してくれた人のお願い事を一つだけ叶えてくれる。
なお、願い事の内容に関しては簡単なものしかできないので、無理すぎるお願いなどは不可能。精々武器の強化や珍しいモンスターの遭遇率・テイム成功率の上昇、職業でのボーナス発生率アップ程度しかできないが、それでも何もしない状態に比べるとはるかに良い効果が永続してつくことになる。
―――――

「でも、プレイヤー一人に付き一回しか購入不可能だからね。願い事は慎重になるけど、トーカの場合はこの遭遇率の方を願えば良いよね?」
「うん!!可愛らしいモンスター、それ以外でも何か可愛いものに出会えるようになるのなら願いたいかも!!妖精を解放せずに持っていたい気持ちもあるけど、購入して10分以内にやらないと自然消滅&購入不可能になるらしいし‥‥‥だったら、叶えてもらうほうが良いからね!!」

 ちなみにこの妖精の瓶詰情報、今トーカがいった自然消滅をやらかしたプレイヤーもいたようで、何人か嘆きのメールを運営に送り、できるだけ制限時間の延長や可能ならば2度目の購入をお願いしているらしい。
 ネットの掲示板では嘆きの声もあるようだが、これは確かに事前情報がないと逃しそうだよなぁ‥‥‥あ、でもきちんと購入時に注意事項も説明されているようで、特にこの制限時間に関しては目立つ表記で表示されるのか。なら何で、時間超えて‥‥‥際どいスクリーンショット狙いで無駄な根性を発揮した人が多いのかよ。大丈夫か、この人たち。



 ツッコミどころが色々ありつつも、妖精に願いを叶えてもらえるのは良いことだとは思う。

 トーカの場合は遭遇率の上昇を願うようだが‥‥‥僕の場合は、ちょっと迷うなぁ。

「面倒事回避、変態避け、これ以上なにか自然とやらかすことが無いように願う‥‥‥ちょっと願いたいことが多いなぁ」
【後半は無理そうデハ?というか、前半とほぼ変わらないようナ】
「すがりたい気持ちもあるんだよ」

 何かとあったし、だからこそ遭遇率云々を干渉できるならば、遭遇しにくくなるようにしてもらえることぐらいどうにかなるかもしれない。
 もしも無理ならば、せめて兄として妹の願い事を更に重ね掛けするようにお願いしても良いかと思うのであった…‥‥


「自分は今、物凄く解放されることを望むのじゃが…‥‥」

‥‥‥もしくは、妹の捕縛の犠牲になるものが増えないように、相手の逃走の可能性を1%でもいいから向上を願うべきか。のじゃロリ、ログアウトまで解放されないだろうなぁ。もうそろそろログアウトして良いんだけど、少なくとも妖精までは我慢してほしい。

 個人的な恨み?いや、それはないよ。突然出現してきて今のマリーたちになる要因というか流れを作ったとか、巨大なカニに襲われる原因になったりとか、突然ガーディアンと戦わされたりとかの恨み何て…‥‥コレッポッチモナイヨ?
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