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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~
ver.3.0-8 何やってんのぉぉぉ!!っと、ツッコミをいれる人はいるかも?
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―――それはほんの、30分前のことだった。
「ふ~ふふん♪ふ~ん♪兄ちゃん、驚くかなぁ?」
一人の少女が鼻歌を歌いつつ、あらかじめ用意していた地図を見ながらしっかりと歩んでいた。
彼女の名前は青葉冬華。ハルこと青葉春の妹にして、中学3年生になった少女である。
肩まで届くような長い黒髪を風に吹かれつつ、それでいてどことなく幼げにも見える容姿はクラスの中でも人気が高く、既に何人もの告白者が出ているほどの美少女でもあった。
そんな彼女は今、社会人になった春の下へ向かっているのは、久しぶりに会いたくなったから。ただそれだけの理由だが、何となく勘で向かった方が何か面白い事があるかもしれないと思ったのもあるのだ。
なお、本日は平日だが中学校の方ではちょっとしたトラブルが起きたようで、休日になったのである。翌日は創立記念日で休みの予定でもあるが、休みが潰されることはないようなので偶然にも2日の休日が舞い降りてきたからこそ、向かうことにしたのだ。
高校受験を控えてる身ではあるが、たまには現実逃避したくなるというのも切実な理由でもあった。
そんなこんなで無事に春が今住んでいる家にまで来たのだが、どうも鍵がかかっている様子。
だがしかし、こんなこともあろうかとしっかり母親の方から合鍵を貰ってきており、難なく扉を開けて上がり込んだ。
「兄ちゃんがまだ働いているだろうけれども、サプライズで夕飯を作っていても良いよね~♪」
暗くなる前に帰宅してくることも見越しつつ、宿泊もちょっとできないかなと思い入ってみれば…‥‥
【おや?来客の予定は聞いていないのですガ‥‥‥?】
「…!?メイドさん!?何で何で!?」
扉を開けてみれば、そこにはたまたまロロが掃除を行っていたのであった。
‥‥‥そして今に至り、妹は大変ご立腹であった。
「ずるいずるいお兄ちゃん!!なんでメイドさんがいるのさ!!しかもあれ、アルケディア・オンラインプレイしている人が買えるメイドさんじゃん!!私もプレイしているのに、ママが高いからまだだめって言われているのにー!!」
「あはは、まぁこっちは色々とあって」
「それにこの子!!変わったのを見たけど、ネットだと数年後の予定のリアルモンスタードールじゃん!!なんで兄ちゃんがそんなものを持っているのさー!!その上テイムモンスターがこんなに可愛いのもずるいぃーー!!」
【オォォォン!!】
ぎゅううっと妹の冬華に抱きしめられ、じたばたと暴れて逃げたいのにかなわないアリス。
なんというか、秘密にしていたつもりはないのだが、うっかり連絡が遅れていたというか‥‥‥まぁ、この冬華、可愛いもの好きなので黙っていた部分もあった。
「と言うか、そこまで知っているという事は冬華もやっていたんだな、アルケディア・オンライン」
「うん。だってアルケディア・オンライン内専用の塾も開講していて、現実での勉強よりも濃密でためになるのがあるんだもん!!それをやる約束で買ってもらったんだよー!!」
「え?ゲームの中に塾?」
「うん、なんでもオンラインゲーム漬けになってゲーム脳みたいになっても困るし、制限されたくないのもあって保護者と子供たちの間で協議された末に出来たんだって。ゴリラな人が発案して、作られたらしいよ?」
…‥‥ゴリラな人と聞くと、ゴリラマンさんを思い出すんだが。そう言えばあの人、初心者プレイヤー向けの講義などもやっていたけど、ついに塾講師まで始めたのか。
とにもかくにも色々聞いてみれば、妹も本当に楽しんでいるようである。ただ、金銭的に関わる部分に関しては母から制限をかけられたようで、全部やり切れていないようだ。
僕の場合は、基本的に自腹だしなぁ。後は運営からのお詫びの品などもあってただみたいなところもあるけれどもね。
「メイドさんがいれば家事なんかも楽になるって言っているのに、ママったら『執事の方にアフタヌーンティーを入れられた方が、夢もロマンもあるわ!!』って言われて、駄目だったんだよー!!」
「そっちの方かよ!!」
【あのー、使用人用のドールなどに関しては、雇った使用人によって変えられますので、一体でもあればメイドも執事も、雇い次第できるのですガ】
「ママは執事の方にやっているのよー!!パパの方は『ああぁん!?メイド、執事だぁ!!そんなのよりも筋肉だぁ!!』って言いつつ、アルケディア・オンラインの運営会社の子会社が作ったメイド喫茶の方に行っているしー!!」
父は父で、何をやっているのだろうか。
ツッコミどころが増えたような気がしなくもないが、とにもかくにもそんな理由もあり、久し振りに僕の方に会って気持ちを整理したくもあった様だ。
休みのついでにという気もあるが、それでも多少は話せる相手がいたほうが良い。だからこそ、ここまで来てくれたようだが‥‥‥
「でもお兄ちゃんが羨ましくなったんだけど!!メイドさんにこのかわいい子ってずるいずるいよ!!どんなプレイをしているのか見るために、ちょっと一緒にログインしてよー!!」
「でも、プレイ用の機器は持ってきているのか?見たところ、持ってないようだけど」
「塾用に作られた、小型版ログイン用ゴーグルセットがある!!」
どうやら用途を限定することで、機能も少々抑えられるが小型化したログイン用のものを持ってきていたらしい。
まぁ、発売からそれなりに経っているので、新型が出ててもおかしくはないが、一応塾用の物なので通常プレイ用のものとはちょっと違うようだ。
取りあえず明日は休みと言うのもあり、せっかくなので兄妹そろってアルケディア・オンラインをやることにしたのであった…‥‥
「しかし冬華、学校だと清楚なお嬢様と言う様なスタイルを通しているのに、家の中だとここまではっちゃけるよね?」
「んー、いや、ちょっとね‥‥‥クラスの中でなぜかお嬢様風なイメージが付いていたようで、裏切りにくくなったのよ。間違っても無いけど‥‥‥」
「ふ~ふふん♪ふ~ん♪兄ちゃん、驚くかなぁ?」
一人の少女が鼻歌を歌いつつ、あらかじめ用意していた地図を見ながらしっかりと歩んでいた。
彼女の名前は青葉冬華。ハルこと青葉春の妹にして、中学3年生になった少女である。
肩まで届くような長い黒髪を風に吹かれつつ、それでいてどことなく幼げにも見える容姿はクラスの中でも人気が高く、既に何人もの告白者が出ているほどの美少女でもあった。
そんな彼女は今、社会人になった春の下へ向かっているのは、久しぶりに会いたくなったから。ただそれだけの理由だが、何となく勘で向かった方が何か面白い事があるかもしれないと思ったのもあるのだ。
なお、本日は平日だが中学校の方ではちょっとしたトラブルが起きたようで、休日になったのである。翌日は創立記念日で休みの予定でもあるが、休みが潰されることはないようなので偶然にも2日の休日が舞い降りてきたからこそ、向かうことにしたのだ。
高校受験を控えてる身ではあるが、たまには現実逃避したくなるというのも切実な理由でもあった。
そんなこんなで無事に春が今住んでいる家にまで来たのだが、どうも鍵がかかっている様子。
だがしかし、こんなこともあろうかとしっかり母親の方から合鍵を貰ってきており、難なく扉を開けて上がり込んだ。
「兄ちゃんがまだ働いているだろうけれども、サプライズで夕飯を作っていても良いよね~♪」
暗くなる前に帰宅してくることも見越しつつ、宿泊もちょっとできないかなと思い入ってみれば…‥‥
【おや?来客の予定は聞いていないのですガ‥‥‥?】
「…!?メイドさん!?何で何で!?」
扉を開けてみれば、そこにはたまたまロロが掃除を行っていたのであった。
‥‥‥そして今に至り、妹は大変ご立腹であった。
「ずるいずるいお兄ちゃん!!なんでメイドさんがいるのさ!!しかもあれ、アルケディア・オンラインプレイしている人が買えるメイドさんじゃん!!私もプレイしているのに、ママが高いからまだだめって言われているのにー!!」
「あはは、まぁこっちは色々とあって」
「それにこの子!!変わったのを見たけど、ネットだと数年後の予定のリアルモンスタードールじゃん!!なんで兄ちゃんがそんなものを持っているのさー!!その上テイムモンスターがこんなに可愛いのもずるいぃーー!!」
【オォォォン!!】
ぎゅううっと妹の冬華に抱きしめられ、じたばたと暴れて逃げたいのにかなわないアリス。
なんというか、秘密にしていたつもりはないのだが、うっかり連絡が遅れていたというか‥‥‥まぁ、この冬華、可愛いもの好きなので黙っていた部分もあった。
「と言うか、そこまで知っているという事は冬華もやっていたんだな、アルケディア・オンライン」
「うん。だってアルケディア・オンライン内専用の塾も開講していて、現実での勉強よりも濃密でためになるのがあるんだもん!!それをやる約束で買ってもらったんだよー!!」
「え?ゲームの中に塾?」
「うん、なんでもオンラインゲーム漬けになってゲーム脳みたいになっても困るし、制限されたくないのもあって保護者と子供たちの間で協議された末に出来たんだって。ゴリラな人が発案して、作られたらしいよ?」
…‥‥ゴリラな人と聞くと、ゴリラマンさんを思い出すんだが。そう言えばあの人、初心者プレイヤー向けの講義などもやっていたけど、ついに塾講師まで始めたのか。
とにもかくにも色々聞いてみれば、妹も本当に楽しんでいるようである。ただ、金銭的に関わる部分に関しては母から制限をかけられたようで、全部やり切れていないようだ。
僕の場合は、基本的に自腹だしなぁ。後は運営からのお詫びの品などもあってただみたいなところもあるけれどもね。
「メイドさんがいれば家事なんかも楽になるって言っているのに、ママったら『執事の方にアフタヌーンティーを入れられた方が、夢もロマンもあるわ!!』って言われて、駄目だったんだよー!!」
「そっちの方かよ!!」
【あのー、使用人用のドールなどに関しては、雇った使用人によって変えられますので、一体でもあればメイドも執事も、雇い次第できるのですガ】
「ママは執事の方にやっているのよー!!パパの方は『ああぁん!?メイド、執事だぁ!!そんなのよりも筋肉だぁ!!』って言いつつ、アルケディア・オンラインの運営会社の子会社が作ったメイド喫茶の方に行っているしー!!」
父は父で、何をやっているのだろうか。
ツッコミどころが増えたような気がしなくもないが、とにもかくにもそんな理由もあり、久し振りに僕の方に会って気持ちを整理したくもあった様だ。
休みのついでにという気もあるが、それでも多少は話せる相手がいたほうが良い。だからこそ、ここまで来てくれたようだが‥‥‥
「でもお兄ちゃんが羨ましくなったんだけど!!メイドさんにこのかわいい子ってずるいずるいよ!!どんなプレイをしているのか見るために、ちょっと一緒にログインしてよー!!」
「でも、プレイ用の機器は持ってきているのか?見たところ、持ってないようだけど」
「塾用に作られた、小型版ログイン用ゴーグルセットがある!!」
どうやら用途を限定することで、機能も少々抑えられるが小型化したログイン用のものを持ってきていたらしい。
まぁ、発売からそれなりに経っているので、新型が出ててもおかしくはないが、一応塾用の物なので通常プレイ用のものとはちょっと違うようだ。
取りあえず明日は休みと言うのもあり、せっかくなので兄妹そろってアルケディア・オンラインをやることにしたのであった…‥‥
「しかし冬華、学校だと清楚なお嬢様と言う様なスタイルを通しているのに、家の中だとここまではっちゃけるよね?」
「んー、いや、ちょっとね‥‥‥クラスの中でなぜかお嬢様風なイメージが付いていたようで、裏切りにくくなったのよ。間違っても無いけど‥‥‥」
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