上 下
135 / 718
Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.0-7 一応、法の整備なども進みつつ

しおりを挟む
‥‥‥リアルモンスタードールに関しては、現状は家の中でしか使えないようだ。

 何しろ、元々がアルケディア・オンラインに使用するVRMMO用の機器から電波やら何やらを受け取っているらしく、それから離れると効果を失うようだ。
 まあ、そのあたりは今後アップデートなどで範囲も広がるかもしれないし、今はまだ家の中にいてくれた方が都合が良いだろう。町中を普通にモンスターが動いているとなると、どう考えても騒ぎになる未来しか見えないからね。


 それでも現実に出れることだけでもテイムモンスターたちにとっては非常に好奇心溢れているようで、日中僕がログインせずに仕事に行っている間、ロロに見張ってもらいつつ部屋の中で好き勝手してもらうことにした。
 万が一に備えて防犯設備なども増やしたいが‥‥‥一応、現実でもゲームの中と同じような力が使えるのであれば、侵入者などがいてもその人たちの身の心配をするレベルになるだろう。炎や電撃の時点で、常人にはキッツいもんね。むしろ留守中の安全が高まった気がする。




 そんなわけで本日も見送られつつ、出社したのだが‥‥‥どうやら数年後にちょっとだけ制限をかけたものが発売されるという情報は公表されたようで、その話題に関して社内は盛り上がっていた。

「うぉぉぉぉ!!時間がかかるとは言え、それでも出てくるのであればそれで問題ない!!」
「延期されたとしても、うちのでっかいわんこを現実でももふるんだぁぁぁぁ!!」
「あほぅ!!ココは格好いいドラゴンでも呼べたらいいだろ!!」
「テイム出来ていないだろう?と言うかまだ、遭遇もできてないだろ?」
「いつか見つけ、テイムし、来るべき日に備えるだけだ!!」

「‥‥‥正確な発売日時や値段が公表されていないのに、凄い盛り上がりようだな」
「それでも楽しみなことは、プレイしている人たちなら同じだとは思うよ」
「ワクワクする発表、叶えるために頑張れるんだぁ」

 色々と楽しみになりつつ、やる気を出す社員一同。
 テイムモンスターを現実に呼びだせれば、それこそ寝ても覚めても共に生活を送れるような形なので、その生活を得たいのだろう。

 なお、社員のテイムモンスターを入手できているのは、実は半々ぐらいだったりする。全員がテイムモンスターを得ているわけではなくて、まだ得られない人もいるのだ。
 テイム条件や確率、こだわりに愛情を注ぐ作業などが多すぎる事で、まだその一歩を踏み出しきれなかったり、入ったとしても深みがあり過ぎてきりがない。

 まぁ、テイムモンスターに対して虐待とかするような人はここにはいないだろうなぁ‥‥‥いたとしても、どうなるのかは、テイムシステムが実装された時に判明しているからね。


 それはそうと、こういう現実に出てくる類となると人型のモンスターとかが人気になりそうだが、そうでない人も案外多い。
 モフモフ艶々つるつるふかふかもっそりんっと、様々な感触があるので、それらを楽しみたい人もいるようで、自分が得たテイムモンスターを純粋に呼び出したい人ばかりでもあるのだ。

「そう考えると、全員アルケディア・オンラインを楽しみまくっているなぁ。なんかドールが発売されたら、また社長辺りが何かやらかす気しかしないけどね」
「テイムモンスター品評会のような、自慢し合いと言うか、うちの子が一番可愛い選手権とかをやりそうだもんな」

 うんうんと同僚の言葉に、全員頷く。

 まぁ、楽しめているのであればそれで良いし、特に問題無さそう‥‥‥

「いや、でも技術が進んで出て来たとして、街中にでるとかありなのか?」
「あー、一部馬とか狼とか、重量がすごい奴や逆に軽すぎて飛ぶ奴もいるし、危ないかも?」
「そのあたりの法整備もされるのかねぇ?」

‥‥‥現実味のある言葉が出てきて、全員少しばかり落ち着いた。
 うん、夢のある話に対して冷静になれるのは良いけど冷まされるのもどうなのか。

「あ、その心配はないぞー!しっかりと考えられているからな!!」
「え?そうなの…‥って、太郎丸さん!?」
「いつの間に出社を!?」
「と言うか、遠方の方で仕事中では!?」

 ふと気が付くと、いつの間にかしばらく見かけていなかった太郎丸さんが社内にいた。

 いつの間にと言いたいが、どうやらついさっきようやくこちらの職場に戻ることが出来たようで、本日からまたココの部署で勤務するらしい。

「いやー、それにしても参ったよ。遠方の方の職場で働かされるのは、慣れない事ばかりで大変だったなぁ」
「一体何をしていたんですか?」
「メーゼ・イワド社との契約確認や、その子会社との新規契約、アルケディア・オンライン内でのプレイ確認やその他調整、細かい法律確認などなど…‥‥ははは、凄い激務過ぎて給料が上がったけどキッツいわぁ」

 女性社員たちによる儀式にも耐えていた人なのに、滅茶苦茶遠い目をする太郎丸さん。
 一応、残業とかは特になく、きちんと定時出社退社などはあったらしいが、その分濃密な内容が多く、非常に疲れたようである。

「とは言え、実体化して現実で触れ合えるドールなんていう代物の情報を聞いて、心を躍らせたね‥‥‥だって、得られれば確実に楽園が作れるじゃないかぁぁぁ!!」

 疲れているはずなのに、やる気をみなぎらせて彼はそう叫んだ。

 人の欲望と言うものは、無限のエネルギーを供給するのかと、その場にいた社員一同そう思うのであった…‥‥



「でも、テイムできないと意味ないですよね?」
「そうそう。そう言えば、太郎丸さんの好みのようなテイムモンスターって数はありますけど」
「まだ誰も、テイムしていないんですっけ?」
「‥‥‥ぐあああああああああ!!絶対に得たいのに、何故なんだぁぁぁぁ!!四六時中確実に可愛がりまくるのに、どうしてなんだぁぁぁぁ!!アルケディア・オンラインの中で孤児院とかがあるのを知ってそこでも積極的にやったのに、どういう訳か集まるのがオッサンばかりなのもどうなんだァァ!!」
「それ、孤児院とは違うのでは?」
「いや間違いなくそのはずなんだよ!!念のためバグかなと思って訴えてみたけど、そんな形跡もなく正常に稼働しているそうで、本当に分からなあぁぁぁい!!春、いや、ハルさん!!実体化させるドールが発売されたら全力で奢るので、どうにかこうにかアリスちゃんのようなのを増やして触れさせてほしいぃぃぃ!!」
「絶対に、断ります」

 まず、確実に触れる前に、燃やし尽くす気がする。

 うちの子に罪を犯させたくないし、絶対に今の時点でドールを得ていることは秘密にしておこう。

ぷぺぺぺ~♪

「あれ?誰かの携帯がなってますよ?」
「あ、僕のだ。ごめんごめん、マナーモードにしてなかった。でも、着信じゃなくてメールの通知音か」

 えっと、差出人は…‥‥おや?から?珍しいな。
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

処理中です...