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Ver.3.0 ~動き始める大きな世界~

ver.3.0-5 やらかす奴は、どこにでも出るらしい

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 天界に存在する湖は、雲の中に湖が出来ているという不思議な光景。
 さらに言えば滝も近くにあるようで、だだだだだっと勢いよく水が注がれつつ水しぶきに光が当たり、虹が出来て中々綺麗な光景になっている。

 また、こういう水場だからこそ多くの生物が集まりやすく、流石に争うような真似をすると後が怖いのか他のモンスターたちもやけにおとなしく、平和な集いの場になっているようだ。

【ギャベェェイ!!】
「ルト、滅茶苦茶元気に泳ぐなぁ」
【彼女は元々、水中出身ですからネ。水の中の方が体が楽なのでしょウ】

 観光スポットになっている湖だが、水泳も許可されているようでちらほらと泳いでいる人たちがいる中、この面子の中で水中に強いルトが嬉々として飛び込んでいた。
 なお、アップデートによって水中に入る際の仕様も一部変更されたようで、水中では呼吸が苦しくなることは無いそうだが、その代わりに一定時間以上過ごすとダメージを受けるようになったらしい。そのままHPが0になれば溺死判定になるそうで、特殊称号『溺れた者』も付くそうだ。

 また、一部隠しステータスなどが追加されたそうで、水中出身のものにはダメージが無かったり、全身火だるまのようなモンスターではHPの減少が倍増したりと、何かと周囲の影響をより受けやすくなっているそうで、攻略・前線組の情報収集が大変だとぽっけねこさんなどからメールも貰っていた。

「でもまぁ、海などもある分、今度は新しく水中専用装備とかもできたそうだし、これはこれで面白そうだから良いかな」
【シャゲシャゲェ】

 うんうんと頷きつつ、水着のパレオをちゃっかり来ているマリー。
 湖の中も探索しようという事で、売っていた水着を全員分購入してちょっと手持ちのALが痛い目を見たが、それでも光景としては中々良いだろう。

【オォン?】
【バルルルゥ!】

「…‥‥でも、ちょっと刺激が強いせいか、なんかプレイヤーの一部が赤い湖に沈んでいくんだけど」
【あのあたりはちょっと、凶悪ですからね…‥‥この面子は大きいのですが、あの二人がトップですからネ】

 何がとは言わないが、刺激が強かったのかあちこちに真っ赤な花が咲いていたりする。

 この天界を赤く染める気かと言いたいけど、そもそも何時からあんな赤い花も実装されたのか‥‥‥謎ではあるが、おそらくコメディ的な要素として追加されたのだと思いたい。
 僕は大丈夫かって?いや、流石に慣れたというか、黒き女神に成れる時点でなんかこう今さらな感じと言うか‥‥‥うん、何ともない。

 しいて言うのであれば、面子の中では控えめな方でもあるリンが少し面白く無さそうな顔をしているぐらいか。



 何にしても血染めにするようなことはさておき、今はこの湖の中に潜って調べてみるという目的がある。

 水着にもしっかり効果はあるようで、水中滞在時の時間を超えてのダメージを軽減できるそうで、溺死する危険性をかなり下げれているはずだ。

「と言うか、こういう時こそ船があるほうが良いのになぁ」
【まぁ、クエストが済んだら自由に乗り回せるようになりますヨ】

ペポーン♪
「ん?」

 っと、いざ潜ろうとしている中、何か音が鳴った。

―――――
>運営からプレイヤー『ハル』様宛にお知らせがあります。
>先日の騒動での改まったお詫びの品が、もう間もなく到着いたします。
―――――

「あ、お詫びの品のこと忘れていた」

 どうやら運営からのメールが来ていたようで、開いてみるとそんなことが書かれていた。そもそも、お詫びの品って言うけれども、あの先行情報の時点でそれなりによかったのだが、きちんとしたものを送りたいということで決まったらしいけど‥‥‥


 そう考えていると、何か風を切る音が聞こえて来た。


――キィィィィィィィン!!

 素早く突き抜け、あっと言う間に迫ってきているようで、出所を捜そうと目を向けた時にはすでに目の前に到達していた。

【お待たせいたしましたぁぁ!!運営より派遣されて届けに参りました、音速メイドのジェッターでございマース!!】

 どどどっと音を立てているのは、背中に背負っているらしいバックパックのジェットエンジンのようで、メイドと名乗りつつもロロやその他の使用人のメイド服とは異なり、何となくメカメカしい近未来的なメイド服。いや、メイド服に近未来とか何とかあるのかは不明だが、通常の使用人とは異なるのが分かる。

「ジェッター?」
【ハイ!先日の裏魔界騒動の件で正式なお詫びとして、その品を届けるために派遣されまシタ!!こちらが、そのお詫びの品と正式なおわび状、その他ALなどもありますが、まずは品の方を先にドウゾ!!】

 そう言いながら、どこからともなく取り出したのは小さな人形。
 なんとなくこう、コピーロ〇ットだとかそういうものが当てはまりそうな外見をしており、手に持つことが出来るサイズだ。

「なにこれ?」
【えっとデスネ、実体化装置と言うのを最近弊社では開発しているのは、ご存じですよネ?】
「ええ、まあ」

 会社の方で特別版が使用されており、やや怪しい状態になりながらもそれでも現実にモンスターたちが出てくるあれはすでに見ている。

【ですが、こちらはその実体化装置とは色々と異なりマス。あれはまだ、ホログラムや立体映像の域を出ないのですガ、それをはるかに凌駕して‥‥‥何と、お手持ちのテイムモンスターを現実へ質量を本当に持った状態で実体化させることが出来る『リアルモンスタードール(全種族対応型)』でございマース!!ココで使用することで、ログアウト後に現実でも・・・・テイムモンスターと本当に触れ合うことのできる代物なのデース!!あ、現実での発売は数年先ですが少しばかり出力制御しており、こちらは100%の状態で使用可能なものでございマース!!】
「‥‥‥はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

‥‥‥お詫びの品と言ってたようだが、まさかのぶっ飛んだものを、渡されてしまうのであった。


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