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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~
ver.2.6-63 いつぞやか、似たような奴がいた気がする
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‥‥‥魔界の門・裏は蠢いていた。
様々な要因によって混ざり合った結果、生まれた沢山の足を利用し、一か所に留まることなく裏魔界中をあっちこっち彷徨っていく。
とは言え、かなり多くの足をカサコソと動かしている割にはほぼ無音であり、誰にも気にかけられることなく、気配すら感じさせず、自由に動く。
けれども、門は感じていた。自身に近づく者たちがいると。
どういうルートをたどったとしても撒ききれず、適当なモンスターを挑発して擦り付けるようにしてみるもあっという間にその命が散るのを感じ取る。
このままだと確実に追いつかれ、門としての機能を果たされるのだろう。それが本来正しい事のはずなのだが…‥‥なんとなく、門はそれを良しとしない気持ちを抱いていた。
何故か。それは、自由に動ける足を手に入れたが故に、自分自身の思いのままに動きたいだけか。
あるいは、「門」という性質ゆえにいつの間にか混ざっていた要因の中に、彼らに討伐されたものの残留思念と言うべき様なものが混ざっていたのか。
どのような理由であるのかは門自身にも分からない。けれども、簡単に捕らえられる気はなかった‥‥‥が、その考えは、いともたやすくぶち壊される。
―――キュリキュリキュウ!!
音を立て、地面を揺らし、接近してくる大きな物体。
その上に、門を捕えようとするものたちが乗っていることを感じ取り、最後まであがいて見せようと門は足を加速させて動かす。
カサコソガシャガシャ、見る人が見ればちょっと気持ち悪いような動き方をしているが、そんな事は門の知った事ではない。動きたいから動くのであり、このまま翼でも生やして飛んでいきたいのだ。
「早っ!!ロロ、もうちょっと加速できないかな?」
【漕いでいる状態で動かしているのですが、これで全速力デスネ】
【シャゲシャゲ、シャゲー】
【空を飛ぶのに使用した混合爆裂薬のブースターですカ。あれはまだ、中身が空っぽなのですが…‥】
大地を走破する船だと門は気が付きつつ、何やら聞こえてきた会話に少しだけ耳を傾ける。
【ガウガウ?】
【すでに精製している、攻撃用の爆裂薬を転用デスカ。ふむ、爆発の調整をすれば可能かもしれまセン。5分ほど、少しお待ちくだサイ】
どうやら今のままでは、彼らは門に追いつくことはない。
けれども、船上の誰かが追い付く手段を構築する用で、残された時間はあと5分程度。その間に逃げ切れるかどうかがカギになりそうだ。
門は考える。どうすればいいかと。
船の大きさなどを考えると門とどっこいどっこいで、細かい動きをするには厳しいが…‥‥高さに関して言えば、門は横になれば薄っぺらくなれるので、洞窟辺りにでも逃げ込んでしまえば良いだろう。
そう思い、門はさらに足を速め、周囲を見渡しながら都合のいい逃げ場を捜す。
洞窟がどのようなものなのかは把握しきれないが、それでも中に入ってしまえば門に混ざっている様々な要因たち‥‥‥蠢く扉のモンスター『トラップトードア』、『デスデスドアーン』、そして『アイアンドォア』の経験を読みより、捕らえられない間に撒けるはずだろう。
うごめかし、駆け抜け、希望の場所を探し出す。
そしてついに、前方に都合のいい大きな洞窟を目にして、ここで逃げのびれる…‥‥と、思った次の瞬間だった。
ヒュルルルルル、ザクゥ!!
何かが刺さった音がして、確認してみると門の扉に何かが刺さっていた。
よく見ると、どうやら後方から追ってきている船の‥‥‥
「良し!!逃げきられる可能性も考えて、イチかバチかアンカーを射出してみたけどうまいこといった!!」
【バルルルルゥ!!】
‥‥‥状況を見ると、あの船のアンカーを投げる事が提案され、実行に移して誰かがぶん投げてきたのだろう。
そして目論見通り、飛んできたアンカーが突き刺さったようだ。
この日、門は学んだ。世の中うまくいきそうな時ほど、希望が見えた瞬間に叩き落とされる絶望はすさまじいのだと。
しかし、その学びはいかされることはない。この後、しっかりとアップデートを施され、この記録は失われるのだから。
だがしかし、この絶望感に関しては後に拾い利用を考える者がいたので、結果としては後世に残すことができたというべきなのか…‥‥
「…‥‥ふぅ、ようやく門を捕らえたけど、後はこれをくぐればいいだけだよね?」
【そうですね。固定し、足も削ぎ落したので大丈夫でしょう。ただ、物凄く大人しくなっているのは気になりますね】
【観念したのかもしれないです】
‥‥‥門を捕らえ、くぐりやすいように固定し終えた後、僕らは確認を取り合っていた。
ようやく裏魔界から出られるのだが、何か他に間違いがあったらそれこそ目も当てられない事態になりかねないからだ。
けれども、杞憂だったようで大丈夫だという保証も貰い、ようやくここから出られることになった。
【さて、裏魔界から出られる前にここでお別れです。私達は今回の件に関して、命じられただけですからね】
【とは言え、こちらのミスにより、この度の騒動を引き起こしてしまったことを、改めてお詫び申し上げます】
裏魔界からの脱出のために派遣されたルルアとダリア。
ようやく脱出できる時が来たのでここでお別れになり、もう少し正式なお詫びの補償などは後日通達されるらしい。救助や先行体験などでは不十分なので、しっかりとやるそうだ。
【一応、ここまで大事になったことに関して、何人かは責任を取らされることになるでしょう】
【その事も確認できるよう、録画映像も後でお届けいたします】
「具体的な映像の内容としては?」
【そうですね…‥‥プレイヤー「ハル」様にはこのアルケディア・オンライン内で様々な活動をされているようですが】
【その中身に関して、社長が「ニガ団子」とやらに目を付けたので、ライセンス使用料を後で払うそうで、それを利用して行われるものだと思われます】
え、あれ何か特許みたいなものあったっけ?そう思ったが、どうやら最初に利用していたのが僕らだったので、今回の件の重さを認識させるために存分に活用させるようだ。
レシピ自体もかなり改良が広まっているそうで、初代ニガ団子とは比較にならないほどの凄まじいものが続々と爆誕しているそうで、だからこそ利用するのだという。
まぁ、ニガ団子を誰が利用しようと勝手だけど、それを使用されるとなると使われる側がどうなるのか想像するに容易い。
裏魔界やドラゴンでの迷惑を考えると妥当かもしれないが…‥‥うん、健康被害だけは確実に無いだろう。ニガ団子、一応武器に使えるほどの苦さがあるとは言え、改良されつつある中には薬草もごちゃ混ぜにされていると聞くからね。良い感じのものが用意されるはずである。
【それでは、お別れです】
【今後も、アルケディア・オンラインをお楽しみください。本件は誠に、】
【【申し訳ございませんでした】】
改めて深々と謝罪し、ルルアとダリアの二人はその場を去った。
「‥‥‥あの二人、また会えるかな?」
【会えるでしょウ。プロト使用人はある程度経験を積めば、普通の使用人として卒業できますからネ。彼女達を雇う相手がいれば、この先また出会えるはずデス】
ロロ曰く、プロト使用人はアップデートに備えてプレイヤーたちに問題が無いように様々なものをテストする立場にいる使用人だが、アップデートによって役目が終われば、普通の使用人として動くらしい。
そしてそのアップデート自体もそろそろらしいので、案外再会は早いのかもしれない。
「なら、さっさとここから出ようか。その後ログアウトするけど、休みたいなら大丈夫だよね?」
【シャゲ!】
【ガウガーウ!!】
【バルルルゥ!!】
【ギャベィ!!】
【オォォォン!!】
【【【ヨーヨーヨ!!】】】
ペダルやその他手動で動かすために全力を尽くしていた他の皆も賛成のようで、僕らはそのまま裏魔界の門をくぐり直し、裏魔界から脱出できたのであった‥‥‥‥
【‥‥‥しかし、今回のケースは良い経験になりましたネ。魔導船、2次改装に活かせそうデス】
「改装まだできるのか」
【ハイ。どの様にするかは色々と迷うのですが、気絶などが分かりやすいようにしたほうが良いのかもしれませんネ…‥‥】
様々な要因によって混ざり合った結果、生まれた沢山の足を利用し、一か所に留まることなく裏魔界中をあっちこっち彷徨っていく。
とは言え、かなり多くの足をカサコソと動かしている割にはほぼ無音であり、誰にも気にかけられることなく、気配すら感じさせず、自由に動く。
けれども、門は感じていた。自身に近づく者たちがいると。
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このままだと確実に追いつかれ、門としての機能を果たされるのだろう。それが本来正しい事のはずなのだが…‥‥なんとなく、門はそれを良しとしない気持ちを抱いていた。
何故か。それは、自由に動ける足を手に入れたが故に、自分自身の思いのままに動きたいだけか。
あるいは、「門」という性質ゆえにいつの間にか混ざっていた要因の中に、彼らに討伐されたものの残留思念と言うべき様なものが混ざっていたのか。
どのような理由であるのかは門自身にも分からない。けれども、簡単に捕らえられる気はなかった‥‥‥が、その考えは、いともたやすくぶち壊される。
―――キュリキュリキュウ!!
音を立て、地面を揺らし、接近してくる大きな物体。
その上に、門を捕えようとするものたちが乗っていることを感じ取り、最後まであがいて見せようと門は足を加速させて動かす。
カサコソガシャガシャ、見る人が見ればちょっと気持ち悪いような動き方をしているが、そんな事は門の知った事ではない。動きたいから動くのであり、このまま翼でも生やして飛んでいきたいのだ。
「早っ!!ロロ、もうちょっと加速できないかな?」
【漕いでいる状態で動かしているのですが、これで全速力デスネ】
【シャゲシャゲ、シャゲー】
【空を飛ぶのに使用した混合爆裂薬のブースターですカ。あれはまだ、中身が空っぽなのですが…‥】
大地を走破する船だと門は気が付きつつ、何やら聞こえてきた会話に少しだけ耳を傾ける。
【ガウガウ?】
【すでに精製している、攻撃用の爆裂薬を転用デスカ。ふむ、爆発の調整をすれば可能かもしれまセン。5分ほど、少しお待ちくだサイ】
どうやら今のままでは、彼らは門に追いつくことはない。
けれども、船上の誰かが追い付く手段を構築する用で、残された時間はあと5分程度。その間に逃げ切れるかどうかがカギになりそうだ。
門は考える。どうすればいいかと。
船の大きさなどを考えると門とどっこいどっこいで、細かい動きをするには厳しいが…‥‥高さに関して言えば、門は横になれば薄っぺらくなれるので、洞窟辺りにでも逃げ込んでしまえば良いだろう。
そう思い、門はさらに足を速め、周囲を見渡しながら都合のいい逃げ場を捜す。
洞窟がどのようなものなのかは把握しきれないが、それでも中に入ってしまえば門に混ざっている様々な要因たち‥‥‥蠢く扉のモンスター『トラップトードア』、『デスデスドアーン』、そして『アイアンドォア』の経験を読みより、捕らえられない間に撒けるはずだろう。
うごめかし、駆け抜け、希望の場所を探し出す。
そしてついに、前方に都合のいい大きな洞窟を目にして、ここで逃げのびれる…‥‥と、思った次の瞬間だった。
ヒュルルルルル、ザクゥ!!
何かが刺さった音がして、確認してみると門の扉に何かが刺さっていた。
よく見ると、どうやら後方から追ってきている船の‥‥‥
「良し!!逃げきられる可能性も考えて、イチかバチかアンカーを射出してみたけどうまいこといった!!」
【バルルルルゥ!!】
‥‥‥状況を見ると、あの船のアンカーを投げる事が提案され、実行に移して誰かがぶん投げてきたのだろう。
そして目論見通り、飛んできたアンカーが突き刺さったようだ。
この日、門は学んだ。世の中うまくいきそうな時ほど、希望が見えた瞬間に叩き落とされる絶望はすさまじいのだと。
しかし、その学びはいかされることはない。この後、しっかりとアップデートを施され、この記録は失われるのだから。
だがしかし、この絶望感に関しては後に拾い利用を考える者がいたので、結果としては後世に残すことができたというべきなのか…‥‥
「…‥‥ふぅ、ようやく門を捕らえたけど、後はこれをくぐればいいだけだよね?」
【そうですね。固定し、足も削ぎ落したので大丈夫でしょう。ただ、物凄く大人しくなっているのは気になりますね】
【観念したのかもしれないです】
‥‥‥門を捕らえ、くぐりやすいように固定し終えた後、僕らは確認を取り合っていた。
ようやく裏魔界から出られるのだが、何か他に間違いがあったらそれこそ目も当てられない事態になりかねないからだ。
けれども、杞憂だったようで大丈夫だという保証も貰い、ようやくここから出られることになった。
【さて、裏魔界から出られる前にここでお別れです。私達は今回の件に関して、命じられただけですからね】
【とは言え、こちらのミスにより、この度の騒動を引き起こしてしまったことを、改めてお詫び申し上げます】
裏魔界からの脱出のために派遣されたルルアとダリア。
ようやく脱出できる時が来たのでここでお別れになり、もう少し正式なお詫びの補償などは後日通達されるらしい。救助や先行体験などでは不十分なので、しっかりとやるそうだ。
【一応、ここまで大事になったことに関して、何人かは責任を取らされることになるでしょう】
【その事も確認できるよう、録画映像も後でお届けいたします】
「具体的な映像の内容としては?」
【そうですね…‥‥プレイヤー「ハル」様にはこのアルケディア・オンライン内で様々な活動をされているようですが】
【その中身に関して、社長が「ニガ団子」とやらに目を付けたので、ライセンス使用料を後で払うそうで、それを利用して行われるものだと思われます】
え、あれ何か特許みたいなものあったっけ?そう思ったが、どうやら最初に利用していたのが僕らだったので、今回の件の重さを認識させるために存分に活用させるようだ。
レシピ自体もかなり改良が広まっているそうで、初代ニガ団子とは比較にならないほどの凄まじいものが続々と爆誕しているそうで、だからこそ利用するのだという。
まぁ、ニガ団子を誰が利用しようと勝手だけど、それを使用されるとなると使われる側がどうなるのか想像するに容易い。
裏魔界やドラゴンでの迷惑を考えると妥当かもしれないが…‥‥うん、健康被害だけは確実に無いだろう。ニガ団子、一応武器に使えるほどの苦さがあるとは言え、改良されつつある中には薬草もごちゃ混ぜにされていると聞くからね。良い感じのものが用意されるはずである。
【それでは、お別れです】
【今後も、アルケディア・オンラインをお楽しみください。本件は誠に、】
【【申し訳ございませんでした】】
改めて深々と謝罪し、ルルアとダリアの二人はその場を去った。
「‥‥‥あの二人、また会えるかな?」
【会えるでしょウ。プロト使用人はある程度経験を積めば、普通の使用人として卒業できますからネ。彼女達を雇う相手がいれば、この先また出会えるはずデス】
ロロ曰く、プロト使用人はアップデートに備えてプレイヤーたちに問題が無いように様々なものをテストする立場にいる使用人だが、アップデートによって役目が終われば、普通の使用人として動くらしい。
そしてそのアップデート自体もそろそろらしいので、案外再会は早いのかもしれない。
「なら、さっさとここから出ようか。その後ログアウトするけど、休みたいなら大丈夫だよね?」
【シャゲ!】
【ガウガーウ!!】
【バルルルゥ!!】
【ギャベィ!!】
【オォォォン!!】
【【【ヨーヨーヨ!!】】】
ペダルやその他手動で動かすために全力を尽くしていた他の皆も賛成のようで、僕らはそのまま裏魔界の門をくぐり直し、裏魔界から脱出できたのであった‥‥‥‥
【‥‥‥しかし、今回のケースは良い経験になりましたネ。魔導船、2次改装に活かせそうデス】
「改装まだできるのか」
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